Ⅱ
2025年 10月6日 日本時間23時12分 鈴岡 春香
あの事故にあって、2日が経った。
家族は全員亡くなり、ただ一人でずっと部屋にいた。
悲しさと、悔しさと、虚しさで。
ご飯もろくに食べていない。
私は、このままではいけないと思い、玄関のドアを開けた。
前を向き、周りを見回す。
そこに、人が通り過ぎた。
ふと見ると、変な感覚があった。
その変な感覚はすぐに収まり、なんだったんだろうと思いながら、足を進めた。
深夜のスーパーは、無人の自動精算機での支払いで、人はいない。
材料を買い、店を出る。
家の方向に体を向け、歩き出す。
歩いている最中、反対側の歩道に人が見えた。
その人を見た瞬間、頭に何かを感じた。
その瞬間に、私は怖くなった。
何故か。それは、死を感じたからだ。
目の前の人が死ぬと言う紛れもない感覚。
その数秒後、物凄いスピードでバイクが目の前の人に向かって走っていったその直後、バイクが突っ込んだ。
その瞬間、目の前にあるのは曲がってはいけない方向に曲がった体と、真っ赤な道路だった。
私はすごく怖くなった。
死ぬと言う感覚の直後に人が死んだ。
その怖いことに耐えきれず、私は逃げた。
そして、家に帰った。
家に入った瞬間、フッと力が抜け、謎の安心感と、恐怖で、私は泣いた。