第7話 ユイルという幼馴染(1/3)
ナミは二週間、幼馴染のユイルを探してみたが、ついに見つからなかった。
手がかりのない彼を探すのは、ナミにとって容易なことではなく、時には危険なこともあった。
それは、ユイルがいるかもしれないと思い、ある空き家に入ったときである。誰もいないと思ったその時、背後から物音がすると思って振り返ると、小汚い浮浪者が立っていた。そうやらその空き家に住んでいたようで、その者の足元には、僅かなごみが散らかっていた。そして、女と思われたその浮浪者は、ナミに食べ物を寄越せとせがんできたのである。
ナミは自分を虚ろな目で見る彼女を恐ろしく思い、近づいて服を掴もうとする彼女を振り払うと、小銭だけが入った財布の中身をその場にぶちまけて、一心不乱に逃げ出した。念のため、警察には届けたが、どうなったかは分からない。
その様な危険なこともあったが、ナミはこの日、目星をつけていた全ての公園と空き家を調べ終え、夕方に[「セレ・ドヴァイア・ミカラスカ」へ戻ってきていた。
「……疲れた。……眠い」
休日も使い、毎日のように彼を探し続けて疲れ果てていた。それでも、彼を探したかったのは、一瞬でもいいからユイルを見たかったからである。
「ユイル……どこにいるの?」
ナミはいつものように、腰を下ろすと膝を抱え顔を埋めた。