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菜種博士

作者: 西山鷹志

 ここ某県に、腐乱巣フランス村という不思議な村があった。何故か朝からウルサイ。

 人呼んで菜種博士こと、園道油久(そのみちゆく)55歳は雄叫びを上げた。

 「わぉ〜ついに、ついに完成したぞ。ワッハハハ」

 それを聞いた助手の園道郁代(そのみちいくよ)は、慌てて駆け込んで来た。

 「とうちゃん、本当に出来たのけっ?」


 「ばか者! 研究所では博士と呼べと言っているだろうが」

 「何を今更かっこ付けてるのよ。研究費用だって娘の私が稼ぎ出してるのよとうちゃんが16年前に発明した

馬豚糞ガス装置で、村民栄誉賞の副賞として毎年出してくれた研究費だって、既に打ち切られてるでしょうが」


 「おお、そうじゃたな馬豚糞ガス装置バットンも近頃じゃな、この村も近代化して、近頃は

すっかり売れなくなったしなぁ」

 「それより、とうちゃん大量生産の見込みがたったと言うこと?」

 「そうだよ、公害の出ない新しい油がな。菜種と竹の子の成分と桜の木にゴムの木のエキスをまで混ぜて

完成していたが、なかなか良い菜種油が出来んかったが、新しくスギ花粉の成分を混ぜたら、これが見事な油が出来たのじゃよ」

 「とうちゃん・・・なに言ってるだかサッパリ分かんないよ」


 菜種博士の言う事には。

 菜種油でディーゼルエンジンは回せるオイルはあったが、何せ手間が掛かる工程で、どこの農家でも本格的に菜種を生産するものは居なかった。

 そこで園道油久博士が桜の木に、菜種の花を咲かせることに成功した。

 つまり移植したのだが、しかし世間からは桜に菜種の花を咲かせるとは邪道だと顰蹙を買った。

 しかし竹の子の成分を混ぜたことで成長が早くなった。

 それにゴムの木の成分加えたら桜の木の切り口にホースを充てると自然と菜種油が出てくるという手間要らずの

画期的な発明だったが今ひとつ油の成分が足りない。そこでスギ花粉を混合したら燃費が良くなった・・・筈だ?

 「なに!? やっぱり分からんって。まぁとにかく出来たのじゃ」


 「本当かい? とうちゃん。それなら村長に見てもらおうか」

 「おお〜そうだな。旨く行けば村の活性化と発展に繋がるしな」

 娘の園道郁代は、半信半疑の村長を連れて来た。

 「ユクさんよ。あれから16年だっぺ完成だ完成だってロクな物が出来んじゃないかもうこれ以上の研究費用は出せんぞなもし」

 「村長、今度は間違いないって。そうだ。村長の息子が害車持ってるべぇあれでテストしてみよう」

 「ガイシャ? 害車じゃなく外車だろうが・・・」

 「いやいや、公害を撒き散らす害車と村のみんなが言っとるがな」


 そして嫌がる村長の息子、悟を郁代は脅かして連れて来た。

 「郁代、なんでオラの一千万もするランボロボロギーニを実験に使うだに〜」

 「なに断るって言うのけ? それなら私に夜這いかけたのを村中に・・・」

 「わぁ、わっ分かったよ。でもお前のとうちゃんの実験、本当に大丈夫かぁ」

 「大丈夫よ。苦節16年の成果を信じてよ。これが成功すれば公害のない燃料は地球に優しく、まさに世紀の大発明ノーベル賞だって夢じゃないだべ」


 そして実験が開始された。

 「俺の車はハイオクだぜ。菜種油でエンジン壊れないかぁ・・・」

 「大丈夫だぁ〜油を吸入するぞ。どうだエンジン掛けてみろ」

 ブルンブルンギャンギャンガア〜〜〜〜〜

 けたたましいエンジンの音が田園一帯に響き渡った。

 グワ〜〜〜ンと、ランボロボロギーニが疾走していった。

 まさに大成功だ。それを聞いて村人達が我も我もと新菜種油を使った。

 それから一ケ月、園道油久博士は二度目の村民栄誉賞を受賞する事になっていたが何故か村の診療所は、花粉症の患者で溢れていたと言う。


 怒った村長は再審査するまで、村民栄誉賞を保留にした。

 ハッ〜〜ハックショ〜〜〜〜〜ン

 「とうちゃん風邪引いたの?」

 「いや、どうやら花粉症になったらしい」

 「え〜いままで花粉症になったことなかったのに・・・やっぱりあの新開発の菜種油が原因?」

 怒った村長は村民栄誉賞を取り消して、研究費用もご破算となった。

 「ちくしょう、こうなったら花粉症の薬を作ってやるぞ」

 なぜか村民栄誉賞に拘る博士、一向に懲りないようである。


 了



これは不真面目なギャグ小説である。

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです。短いのにしっかりまとまってて読みやすかったです! ノーベル賞より村民栄誉賞にこだわる博士なんていいですね〜。
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