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9 順調なレベル上げ






 「じゃ、Lv3ならこの先も言って大丈夫やろ。」

 「そうね。」


 空白のスキルについて、すこし騒動(?)があったが、仕切り直して、進むことにした。


 「そろそろ次の段階の魔物出てくるわ。......ゴブリンやな。」


 ゴブリン

 ファンタジー物の定番だ。


 なんで表世界(フェイスワールド)の空想の生き物が......逆か。

 裏世界(バックワールド)の生き物が表世界に伝わって、それが使われてるだけだろう。


 閑話休題。(それはともかく、)

 ゴブリン、個体差は—ーなぜか—ーあるが、ランクにしてF~F⁺の強さだ。

 ちなみに、グリーンスライムとスケルトンはF⁻だ。

 ゴブリンは、太い木の棒を使って攻撃してくる。

 スケルトンと違って、しっかりダメージが入る。

 全体的なステータスが上がる感じだ。

 ボーっとしてると、ほんとに命を落としかねないから、気を引き締めないといけない。

 ......だそうだ。


 そのあと、スケルトン2体とグリーンスライム1体を倒したところで、そいつらは現れた。

 身長は130センチくらい。

 薄緑のぶよぶよした皮膚に覆われていて、醜悪な顔をしている。


 右側のビルの陰から雄のゴブリンが3体。

 出てきた後、こちらを見て戦闘態勢に入った。

 

 こちらも剣を顔の右側で剣先を相手の方に向けて、腰を落とし、戦闘態勢に入った。

 完全に我流の構えだ。


 日本の剣道のようにまっすぐ構えると、後ろからの攻撃に対応できない。

 あれはあくまで、対人戦で、ルールにのっとって正々堂々と戦うための構えだ。


 腰を落とすのはいち早く飛び出すためだ。

 走り出すときは、一度腰を下ろす予備動作が必要なので、最初から下ろしておくのだ。


 俺が考えられる中では一番いい構えだと思うが、あくまで我流だ。

 この対戦が終わったら、翔馬に戦い方を教えてもらおう。


 そうやって構えていると、真ん中にいたゴブリンが駆け出してきた。

 木の棒を上から降り下ろそうとしていたので右にずれる。


 すると、後ろからついてきてた別のゴブリンが飛び出し、木の棒を振り下ろしてきた。

 右にはもういけないから、切り返して左に行こうとするも、先のゴブリンが左から殴りかかってくる。


 2つを同時に防御はできないから、あわてて後ろにとぶ。

 お腹と顔の前を木の棒がすれすれで通り過ぎる。

 というか鼻先がかすった。


 素晴らしい連携だ。

 知性ないんじゃなかったのかよ。


 3メートルほど後ろで着地、滑りながら構えなおす。

 思った以上の跳躍力に驚きながらも、ゴブリンを見ると、まだ棒を振り切った姿勢のままだ。


 その隙をついて走り出す。

 すれ違いざまに左のゴブリンの動体を切る。

 慌てて腕を戻そうとしていたが、間に合わなかったようで、体を切った感触が手に伝わる。


 肉体を持った人型の動物を切ったことに少し忌避感を覚えるも、そのまま振り向いて、右にいたゴブリンにむかう。


 さすがに体勢は構えなおしたようで、俺に合わせて棒を振り下ろそうとしている。


 それを見て俺は的を変える。

 近づき、ゴブリンの体ではなく棒に対して、スライムを切るように刃を立てる。

 棒と剣があたり、ゴブリンの棒が半ばからスッパリ切れる。そのまま剣を切り返して胸元を切る。


 崩れ落ちるゴブリンを視界の端に収めながら、最後の1体の方を向く。


 すると、3体目のゴブリンは背を向けて逃げているところだった。


 追いつけないことはないが、深追いはやめる。


 そのまま油断はせずに構えなおして周りを見る。


 するとちょうど後ろを向いたときに、赤い炎が迫ってきた。慌てて横にとんでよけ、転がって止まる。

 

炎のあった方を見ると、小さくなっていく炎のその陰から、中型犬くらいの灰色の犬が飛び出してきた。

 起き上がってたら間に合わないと考えて、さらに横に転がる。

 

 2回転くらいしたところで立ち上がると、犬はまた迫っていた。よけようにも、ビルの間に入ってしまったらしく、左右はビルの壁だ。

 とっさに左腕を掲げて盾にする。

 目論見どおり、犬は左腕にかみついた。


 ッ—ー


 噛みつかれた痛みに顔をしかめる。

 だが、これはチャンスだ。


 さっきの炎を使わないのはMP切れだろうか。


 腕にかみついたままの犬を右手に持った剣で犬を薙ぎ払う。


 スピードと攻撃力があった代わりに、耐久力はあまりなかったのか、犬は血を流しながら倒れた。


 「キュウ~ン」


 ......なんか、すごい罪悪感を感じる。


 「大丈夫!?」


 そこで彩乃たちが顔を出した。


 「おお、初見でコボルトを倒したんか。すごいな。

 腕は大丈夫か?」


 コボルトだったのか......。


 そう言えば腕かまれてたっけ。


 「うん。大丈夫。」


 ステータスウィンドウをあけてみると、


==============================


 HP  96%


==============================


 しっかりとダメージはくらってた。


 「ちょっと、はやく回復しないと。」

 「はいはいっと。【聖なる光よ。このものに癒しを—ー小治癒(キュアヒール)】」


 翔馬が俺の左手に手をかざして詠唱を唱える。

 

 すると、左手が光って、傷口がふさがった。


 「あ、ありがとう。」

 「ん。ほな戻ろか。」


 そう言って、元の道に戻る。


 少し危なかったが、勝利だ。

 それをたたえるように、


 《経験値が一定に到達しました。Lv.3からLv.4になりました。》


 そう、頭に音声が流れてきた。











最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。


誤字報告をしてくださった方、ありがとうございます。

修正まで時間がかかるかもしれませんが、助かっています。


「おもしろい!」

「応援してる!」

「はよ次更新しろ!」


そう思っていただいてる方、この下の評価欄で評価してください。

最大10ポイントです。

10ポイントはほんとに助かります。


ブックマークもしていただけるとありがたいです。


次回は9月22日0時予定です。


それではまた次話で。



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