3 ギルド〔ペルセウス〕
「入る。」
「......何に?」
「ギルドに」
「誰が?」
「ん、」
そう言って俺を指さしてくる。
ロリっ子に俺が困惑していると、そこでタッタッタッと、もう一人女性が走ってきた。
こちらは十分に目視可能なスピードで—ー明らかに全力ではないので、当たり前といえば当たり前だが。—-近づいてきたその女性は、さっきのロリっ子と違って、大人びていた。
といっても俺より少し年上で、JCとJKの間くらいである彼女は、おっとりとした顔立ちで、なんというか包容力がある。
黒いロングスカートと、上は白いシャツに濃いめの青いカーディガンを羽織っている。
息をついて、肩より少し長い程度の髪を揺らしている彼女はこれまた右手に棒状のものを持っている。
150センチくらいのそれは、木でできていて、上の部分で?マークを作っておりその中に赤い水晶が浮かんでいる。
杖だな。
その外見から明らかに魔法使いの彼女を見ながら、裏世界には魔法もあるのかーと思っていると、彼女は
「こら、桃花さん、新人に迷惑をかけないでって言ったでしょう?」
と、詰め寄ってきたロリっ子—ーもとい、桃花を叱ると、俺の方に向き、
「ごめんなさい。あらかじめ迷惑をかけないように言っていたのですが、私の監督不行き届きです。すいません。」
と、頭を下げてきた。
いえいえ、大丈夫ですよ。と言おうと思うと、そこで桃花がビュっと彼女の方へ向き、
「彩乃、この人ステ、知能30超え。ギルドに入れる。」
と、彼女—ー彩乃にしがみついていた。
......と、いうよりも、桃花は俺のステータスが見えているのか?
確かに俺は桃花の言う通り知能のステータスは30を超えている。
が、確か他人のステータスウィンドウは見れなかったはずだ。
誰でものぞける方法があるのなら、ステータスウィンドウを不可視にする必要がない。
それに—ー
「え‼本当!?」
「あ、はい。34ですけど。」
「嘘‼」
......彩乃の反応を見るに、少なくとも彩乃は見えてないのだろう。
と、考えると、
「えっと、桃花さんがステータスが見えてるのは、スキルですか?」
「!?」
そう。スキル。
ステータスで、魔力の下に書いてあった。
ラノベでよくあるようなスキルなら、桃花がステータスを見るスキルを持っているのもおかしくない。
「例えば、鑑定スキルとか。」
「なるほど。確かにあれだけの情報からそこまで考えるのはさすがですね。
はい。桃花さんがステータスを見えているのは、桃花さんのスキルですよ。視界におさめたあらゆる物の情報を読み取るスキル、【看破の魔眼】というスキルを持っているので、ステータスの高い人をうちのギルドに勧誘するために来ていたのでけど......」
ああ、そういえば何か勧誘されてたっけ。
「あの、そのギルドって何ですか?」
やっと聞くことができた。
ラノベで読んだ情報と照らし合わせると、ギルドって、冒険者—ーこの世界では狩人というらしい—ーを束ねる組織とされることが多いからさっきの本部がギルドだと思うんだが、うちのギルドって言ってたところをみるに、パーティーメンバーのことだろうか。
「あ、えっと、ギルドっていうのはチームのことで、何人かで集団を作って、一緒に狩りをしたり、生活をしたりするんです。オンラインゲームでいうところの、クランみたいなものです。
で、私たちは〔ペルセウス〕というギルドを作っているんです。
どうですか。ギルド〔ペルセウス❳に入りませんか?
もちろん、入ってくれたら戦い方とか裏世界にいてとか教えますよ。
無理にとは言いませんが。」
説明を受けて考える。
ゲーム感覚で考えていたが、この生活は正真正銘、命にかかわる。
最低限の技術や知識などの予防線を張っておかなければ死ぬ。
ある程度自立できるようになっても、お互いにカバーできる人がいてほしい。
デメリットとしては、収入が減ること......だろうか。
だが、その件に関して、俺はお金目的ではないから、ある程度の収入があればいい。
なら、安全を取るためにギルドには入るべきだろう。
どのギルドに入ってもいいけど、せっかく誘ってくれたのだから、このギルドに入ろう。
「わかりました。入らせてください。」
そういうと、2人は笑って、
「ほんと!?ありがとう。」
と言ってきた。
すると、彩乃が左手を体の前で動かした。
アイテムボックスを操作しているのだろう。
直後、俺の前に、ステータスウィンドウでもアイテムボックスでもないウィンドウが開かれた。
【ギルド〔ペルセウス〕から勧誘を受けました。加入しますか? Yes/No】
と書かれていた。
彩乃の方を見ると目が合って、うなずいてきた。
さっきは、これを出していたのだろう。
Yes
【ギルド〔ペルセウス〕に加入しました。】
「うん。—ーようこそ。❲ペルセウス❳へ。」
「ようこそ...です。」
「はい。よろしくお願いします。」
「今日は何時までここ居れるのかな?」
「えーっと、寮の門限が10時なので、9時くらいまでですかね。」
「へー寮生なんですね。では、これからホームに行きましょうか。」
「ホームですか?」
「はい。ギルドの拠点のことです。そのあとにさっそく実戦をするから、ホームに行くまでにいろいろと教えることにしますね。」
「はい、よろしくお願いします。先生。」
「うむ。よろしい。」
そう言って、俺たちはホームに向かった。
8話くらいまでは、説明会なので、何言ってるか全然わからないと思いますが、じっくりと読んでください。




