12 学校
表世界での出来事です。
1話だけ。
次話で裏世界に戻ります。
ジリジリジリリりりり—ー
朝、耳元で大きくベルが鳴った。
手を目覚まし時計の方へ伸ばして止める。
寝ぼけた目で時計を見ると—ー
7時20分。
—-やっべ。寝坊した。
◇
昨日は思ってたよりも疲れてたらしい。
ぐっすり眠ってしまい寝坊してしまった。
健一お兄ちゃん曰く、ずっとアラームはなっていたらしい。
—-起こせよ。
幸い、登校する準備はしていたので、急いで洗面と着替えを済ませ、食パンをかじりながら駅へ向かっている。
それにしても昨日のことは夢ではないよな。
夢だとしたら、昨日何してたか思い出せないので、おそらく現実だろう......と信じたい。
そんなことを考えていると—ー
—-ドンッ
駅まであと少しという曲がり角にかかったとき、向こうから来た人とぶつかってしまい、転んでしまった。
「あ、すいません。」
そう言ったところで、俺は自分の加えている食パンが目に入った。
寝坊、食パン、急いでる、食パン、曲がり角、衝突、食パン......
—-あ、これテンプレな美少女遭遇イベントじゃない?
そう思って顔を上げると、そこには—ー
筋肉ムキムキの男性がいた。
「わかってたよ。ご都合主義なんかねえって。チクショウッ。」
美少女が......びしょうzz......
おっと、あまりの衝撃につい本音が出ちまった。
「いえ、すいません。今のは忘れてください。」
「あ、ああ。そちらこそだいじょ......」
スーツ姿のキン肉マン—ーもとい、男性は俺に言葉をかける途中で言葉を止めた。
「えっと、なにか?」
「いや、すまん。大丈夫だったか?」
「はい大丈夫です。」
と、そこで、駅に電車が入っていくのが見えた。
「あ、すいません。急いでいるので、失礼します。」
そう言って俺は電車に駆け込んだ。
前のやつを押し込んでなんとか入った電車の中で、周りを見て、誰もこちらを見ていないことを確認し、俺は、
ステータス
==============================
神崎 直兎 14歳 人族 Lv.9
HP 91%
MP 100%
力 24
敏捷 20
器用 22
知能 39
耐久 29
魔耐久 2
魔力 14
スキル
【 】
独自魔法
==============================
ステータスを開いた。
やっぱり夢じゃなかったか。
よかった。
それなら今日の放課後に裏世界に行く約束をしているのも夢じゃないな。
5時間程度しかできないけど、Lv.12くらいはいきたいな。
◇◆◇◆◇
{side 飯島 夏鈴}
「ふぁーー」
伸びをして欠伸をする。
昨日ちょっと夜更かししすぎたかな。
まとめ買いした漫画がおもしろくてついつい......
「飯島さん......飯島さん?」
「あ、は、はい。」
呼ばれていたことに気づかず、あわてて返事をする。
私の名前は飯島夏鈴。
鳳凰学院中学校高等学校の2年Ⅾ組に所属する中学生だ。
今は月曜日の朝、ホームルームの時間で、担任の福島先生が出席を取っている。
先生が呼んだ生徒を目で追っていたところ、ふと—ー
「ん?」
直兎がいない?
もうすぐ呼ばれる神崎直兎が席に座ってないことに気づいた。
鞄もない。
遅刻?
直兎が?
珍しいな。
というより小学校の時もあわせて初めてじゃないか?
神崎直兎は私の小学校以来の幼馴染だ。
この中学校の特待生なので、頭がいいのはもちろん、運動神経もよく、芸術にも秀でてる。
というより、あいつはやれば何でもできるのだ。
秀才ではなく、天才タイプ。
おまけに顔も整っているから、生意気にも女子にモテる。
ほんとうなら、直兎ならもっと賢い学校に行けるのだが、小学生のころに両親を亡くしてしまい、いまは、身寄りのない子供たちの寮に住んでいるので、学費免除の特待生制度があるこの学校しかこれなかったらしい。
まあ、そのおかげで私も同じ学校に来れたのだけれど。
そこで、廊下のほうから足音が近づいてきたのが聞こえた。
「刈谷君」
「はい」
「神崎君......神崎君は、—-」
ガシャッ
「はい」
教室の後ろのドアが開いて直兎が顔を出した。
◇◆◇◆◇
{side 神崎 直兎}
ふー、何とか間に合った。
「神崎、遅刻か。珍しいな。」
教室に入ると、担任の福島先生が声をかける。
「あ、はい。すいません。寝坊してしまって......。」
「寝坊?ああ、今日の3限目に英語の小テストあったな。その勉強か。ほどほどにしとけよ。」
「え!」
テスト?
英語の?
勉強?
ナニソレ......
◇
昼休み。
「よお、直兎。テストどうやった?勉強してないんやろ?」
親友の水野大成が声をかけてきた。
「ん~。やばいな。満点取れてないかもしれん。」
「死ね。」
大成は、去年から同じクラスで、気の合う親友だ。
短めの茶髪に高身長で肉付きのいい体格。
見た目どおりの体育系だ。
もちろん、この学校にいる時点で、全国の平均よりは勉強もできるが。
「わかりきったことじゃない。知ってるでしょ?直兎が定期テストの数学と英語ではほとんどノー勉なの。」
横から同じく親友の飯島夏鈴が大成に声をかける。
夏鈴は、小学校時代からの幼馴染で、中2から同じクラスになった。
「そうやけどさ~今回は難しかったから、直兎だって点悪いかもしれないだろ?俺はいつもよりはできたから、初めて直兎に勝てたかも、って思って。」
「無理無理。あんたなんか100年早いわよ。」
大成が愚痴る。
ちなみに、2人の学力は40人のクラスのうち、
大成が33~38位くらい。
夏鈴が3~7位くらいだ。
つまり、大成は落ちこぼれで、高校には上がれないかもしれないレベルだ。
俺は1位(か2位)。
「それで?昨日は何してたの?授業中ずいぶんと眠そうだった—ーというか寝てたけど。」
「そうやそうや。直兎が勉強してないことはよくあるけど、睡眠時間削ることなんてほとんどないやろ。」
「......いや、睡眠時間削ったわけじゃなくて、昨日ボルダリングをやって、苦戦してさ、疲れてたからぐっすり眠っちゃって。」
「ふーん、直兎が苦戦か。」
「確かに、俺より運動神経いいくせにボルダリングで苦戦か。」
「いやあ、ちょっと難易度の高いやつをやってさあ。」
「まあいいけど。言いたくないのだったら。」
「ちょ、ほんまやって。」
「わかったわかった。それで?今日も自習して帰るの?」
「いや、今日はちょっと用事があるから帰るわ。」
「............そう。」
何だよその間。
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次回は10月25日0時予定です。(信憑性低め)
それではまた次話で。