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64.魔王の国へ出発!

お待たせしました。

 俺達は魔王の居る場所に瞬間移動した。


「む、あれが魔王か…」


 魔王を目の前にしてギルマスが唸る。魔王は女性だった。今までの魔王は男ばかりだったから、女の魔王は初めて会うな。それでも迫力がある。


「お前は!」


 魔王は俺達が連れて来た男を見て怒りを露わにする。それでも魔族の領地から出てこないところは冷静だな。


「魔王、少し良いか?」

「…お前は?」

「俺はラソマ。ここから先にある国の伯爵だ」


 Sランク冒険者と名乗っても分からないかもしれないから、伯爵だと言っておいた。


「その伯爵が何の用?私はそこの男に用があるのだけど」

「事情は知ってる。この男が貴女の国を襲撃したんだろう?」

「そうよ。私はその男を許さない」

「その件で今回、この男を引き渡しに来たんだ」

「…え?」


 俺の言葉に魔王が疑問を抱いている。当然だな。


「この男が魔族の領地で悪事を働いた。それはこの男の責任であり、罰も魔族の領地で決める。それがこの世界の決まりだからな」


 ギルマスが説明してくれる。


「ああ、言い忘れたが、俺は冒険者ギルドのギルドマスターだ。今回は俺のギルドの冒険者が迷惑をかけたな」

「この男は連行しても構わないかしら?」

「ああ、問題ない」

「待ってくれ!許してくれ!俺だって英雄になりたかっただけなんだ!」

「お前がした事は英雄の所業じゃない。自分が有名になりたい為に他人を巻き込んだ。最低の行為だ」

「お前が囮にした男も生きているわよ。一緒に罪を償ってもらうわ。お前達、この男を連行しなさい」

「「「はい!」」」


 魔王が声をかけると、魔王の後ろから兵士の格好をした魔族が現れる。


「そちらに入った瞬間、攻撃なんてしないわよね?」

「勿論だ。気になるなら、俺がスキルで男をそちらに運ぼう」

「そんな事ができるの?それなら頼もうかしら」


 許可を得たので、念動力で男を魔族の領地に運ぶ。


「それにしても、やけに大人しいわね」

「俺がスキルで捕縛してるからな。別に捕縛方法があるなら、そちらでしてほしいんだけど」

「そうね。少し待っていて」


 魔王がそう言うと、兵士達は男を囲んで詠唱を始めた。やがて詠唱が終わると、魔法が発動した。


「伯爵、もう良いわ。これでこの男は逃げ出す事ができないから」

「分かった」


 実際に念動力を解除したけど、男が暴れる様子は無い。それでもずっと文句は言い続けている。


「連行しなさい」


 魔王がそう命令すると兵士達は男を連れて行く。まったく…自分で責任が取れないなら、悪事を働かないでほしい。


「それにしても、よく人族の領地に入って来なかったな」

「それは…この先の国には勇者でもないのに魔王を倒した者がいるでしょう?その者と勇者、どちらも相手にしたくないもの」

「ラソマは魔族の世界でも有名になったのね」


 そう言ってレイラが笑う。


「ラソマ?その者の名はラソマと言うの?そこの伯爵と同じ名前なのね」

「いえ、魔王を倒した者と、ラソマ伯爵は同一人物よ」

「え!?ではラソマ伯爵が火の魔王と金属の魔王を倒してくれたの?!」

「そうだけど…倒してくれたって言い方が気になるな」

「私にとって、いえ、私と配下にとってあの2人は憎い相手なの」

「恨みでもあるのか?」

「ええ。名乗り忘れたけど、私は植物の魔王なの。火の魔王や金属の魔王、そしてその配下達は私達の領地に侵入して悪事を働いていた。私達の家や土地ならまだしも、配下達にも暴力を振るっていたの」


 それは酷いな。でも確かに火と金属なら、植物に対しては相性が良さそうだ。火なら燃やせるし、金属なら刃物にして切ることができるだろう。


「私はそれが許せなかった!でも私の能力ではどうする事もできなかったの。相性が最悪だから」

「そうだろうな」

「だから、火の魔王と金属の魔王を倒してくれたラソマには感謝してるのよ。それが私達を助けたわけじゃなくてもね」

「そうか。まあ感謝は素直に受け取るよ」

「もし良ければ今度、私の領地に来てくれない?歓迎するわよ」

「そうだな…行ってみようかな」

「本気?!魔王の国なのよ?」


 レイラが驚く。勇者だから、反対する気持ちの方が強いんだろう。


「俺は別に魔族に対して偏見を持ってないからな。敵対していないのに悪感情は持ってない。敵対するのは俺と同じ人族でも起こり得るし」

「それはそうだけど…不安はないの?」

「無い。俺はこれでも強い方だと思うし、何かあっても逃げる方法はある」

「そうね。ラソマなら勝つ事もできるし、逃げる事もできる、か」

「私は攻撃する気はないわよ。ラソマは恩人なんだから。下手な事をして殺されたくないしね」

「お前達、強者の会話が怖いな」


 ギルマスが苦笑いする。


「でもギルマスも強かったんじゃないですか?ギルドマスターになるくらいだし」

「いや、俺はAランク止まりだった。現役の頃の俺でも、お前達に遊ばれるだろうよ」


 Aランクでも十分凄いんだけどな。


「それじゃあ私も帰るわね。今からあの男に罰を与えないと」

「そうか。まあ落ち着いたら遊びに行くよ」

「ええ、待ってるわ」


 そう言うと植物の魔王は去って行った。


「俺達も帰るか」

「瞬間移動があると便利だな。この場所まで馬車を使っても結構かかると思うんだが」

「空間魔法にも同じような事ができるものがあるんですよね?」

「あるが…空間魔法を使える奴は少ない」


 スィスルのスキルは大魔法だ。全ての魔法が使える筈だから、瞬間移動もできるようになるだろうな。


 その後、俺達は王都のギルドに戻り、俺とレイラはギルマスの執務室に呼ばれた。


「やれやれ…今回は大変だったな。魔族の領地に行き、魔王を倒したところで英雄になれる筈がないのに。ラソマが英雄になったのは、人族の領地に侵攻して来た魔王を倒したからだ」

「考えたら分かる事なのにね」

「英雄になっても、英雄だと言われるくらいで、たいして良い事ばかりじゃないのに」

「そうなの?」

「別にチヤホヤされたくないだろ?目立つのはそこまで好きじゃないし」

「私もそうかも」

「何言ってるんだ。魔王を倒した英雄とSランク冒険者が目立ちたくないなんて…その肩書きで十分に目立ってるぞ」


 その上、レイラは勇者だしな。


「それにしてもラソマ、本当に魔族の国に行くつもりか?」

「はい」

「そうか…まあお前なら強いから大丈夫だとは思うが…気をつけるんだぞ?」

「勿論です。危険だなと判断したらすぐに逃げますよ」


 逃げる事は恥ではない、と俺は思っている。逃げずに死んだりしたら悲しむ人がいるからな。回避できる危険なら回避するさ。


 そんな事があってから一週間の時が過ぎた。

 そろそろ植物の魔族の国に行ってみようかな。一週間もあれば復興してると思う。していなければ手伝おう。同じ人族が侵してしまった事だからな。


 さて、植物の魔王の国はどこかな、と。この世界の地図はあるから、それを見て国の場所を確認して、実際に千里眼で見てから瞬間移動する事にした。


「それじゃあアミス、行ってくるよ」

「ラソマ様、本当に行かれるのですか?魔王の国なのですよね?」

「うん」

「危険ではないですか?」

「あの魔王なら大丈夫だと思うよ?」

「でも魔王ですよ?友好的なフリをして攻撃してくるかも…」


 過去を考えれば人族の、魔族への態度は当然だな。魔族も同じ気持ちだろうけど。やっぱり過去に戦争をして、終わった今でもちゃんと解決していないから、こうなってるんだろうな。


「アミス、俺は強いよ?今までに魔王を2人も倒している。そんな俺が大丈夫だと言ってるんだから心配要らない。それに危なくなったら瞬間移動で帰ってくるから心配しないで」

「…はい」


 アミスとしては不安なんだろうな。それでも引いてくれるから有難い。まあ立場があるからかもしれないけど。


「本当に気をつけてくださいね?万が一、危険があった場合、すぐに帰ってきてください」

「うん、それじゃあ行ってくる」

「はい。お気をつけて」


 本心はどうあれ、なんとか笑顔でアミスは見送ってくれる。俺は瞬間移動で植物の魔王の国の手前に瞬間移動した。いきなり国の中に瞬間移動したら、突然現れた人族に魔族が驚き、不審に思うかもしれないからだ。

 そう思い、国の手前から歩いて行く。と思ったけど、念動力で自分を浮かせて移動した。その方が楽だし、宙に浮いている程度なら、そこまで驚かれはしないだろう。


 今、俺は森の中にある道を移動しているわけだけど、前方に関所が見えてきた。

お読みいただきありがとうございます!

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