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47.再びの魔王

 ドラゴンを倒した俺はレイラと別れ、受付に行って紹介状を貰い、城に行く事にした。

 いつもなら瞬間移動で行くんだけど、行く場所が城だからな。ちゃんと歩いて行こう。と言っても城の近くまでは瞬間移動するけど。ギルドから城まで距離があるからな。


「何用だ?」


 城門に着くと、兵士に声をかけられた。


「俺は冒険者なんだけど、国からの依頼でドラゴンを狩ってきた。その素材を引き渡したいんだ」

「お前の名前は?」

「ラソマ。それと、これは紹介状だ」

「確認する。少し待て」


 そう言って1人の兵士が門の内側に行く。ちなみに立ち去った兵士以外にも、その場には兵士がいる。

 しばらく待つと、兵士が帰ってきた。


「ラソマ子爵、ようこそ!」


 兵士はにこやかに接してくるので、俺は驚く。


「いやー、ラソマ子爵もそうなら、そうと仰ってくだされば良いのに」

「今は冒険者として活動しているからね。それにしても、よく分かったね


 今の俺はバッジを付けていないから、貴族だと分からないはずなんだけど。


「ギルドからの紹介状に書いてありました。それでは中にどうぞ」


 成る程、紹介状には冒険者としてだけではなく、貴族という事も書かれていたのか。別にしてくれなくても良かったんだけど、王城に入るのだから身分の証明が必要だったのかな。

 それから兵士に言われて、門の内側に入る。内側には別の兵士がおり、兵士に代わってその人が案内してくれるようだ。


「それではラソマ子爵、行きましょう」

「よろしく」


 中を歩き、素材置き場に到着した俺は、ドラゴンの死骸を異空間から取り出す。近くでは別の魔物を解体している人(解体専門の業者)がいたけど、ドラゴンの大きさに驚いている。


「さすがですね。全てラソマ子爵が狩られたのですか?」

「いや、この依頼はSランク冒険者のレイラと受けたんだ」

「成る程、レイラさんと2人で倒されたんですか。5匹というのは多いですね」

「いや、全部で10匹いたよ。残りの5匹はギルドに渡してきたんだ」

「そうだったんですか!ドラゴンが10匹もいたなんて」


 兵士は驚いている。そりゃあ、あんな近くの山にドラゴンが10匹も集まっているなんて知ったら驚くよな。…いや、この兵士は依頼主じゃないんだから、依頼内容は知らないか。


「それでは、俺は帰っても良いですか?」

「ええ。ありがとうございました」


 兵士の許可を貰った俺は城内から出る。

 さて、今から何をしようかな。もう少し依頼を受けてみるか。まだ時間も早いし。

 という事でギルドに瞬間移動。


「ミオナさん、素材を渡してきました」

「分かりました。それでは、これからどうしますか?」

「他にSランクの依頼はないですか?」

「そうですね…」


 そう言ってミオナさんは手元の書類を調べ始める。少し経ち、ミオナさんは俺を見た。


「ないですね」

「ないっていうのも凄いですね」

「そうですね。Sランクの依頼は緊急性が高いものが多いんです。だからSランクの依頼がないという事は平和な証拠にもなるんですよ」


 なるほど。そういう考え方もできるか。依頼がないと報酬がもらえない、つまり生活ができなくなる可能性があるわけだけど、Sランクの依頼は国からのボランティア以外、報酬が高い。滅多に依頼を受けなくても大丈夫なんだ。とは言え、今日は暇になってしまったな。…帰るか。


「それじゃあ帰ります」

「はい。また来るのを待ってますね」



「お帰りなさいませ」

「ただいま」


 屋敷に帰るとアミスが出迎えてくれる。


「今日はどんな依頼を受けたんですか?」

「ドラゴンの討伐だよ」

「ドラゴンですか!?」

「うん」


 やっぱり驚くよな。

 その後、俺とアミスはリビングに行く。それから俺はメルを呼び、一緒に寛ぐ事にする。たった3人しかいないなら、一緒に寛いだ方が楽しいと思うから。他に使用人がいれば、使用人だけで楽しむのもアリだけど、俺以外にはアミスとメルしかいない。でも、今のところ、必要ないから人数を増やすつもりはないんだよな。


「無事で良かったです」


 ドラゴンを無事に倒してきた事を知って、アミスとメルが安心してくれる。


「まあ、俺の能力ならね。でも油断はしないから安心してね」

「はい」

「それに今日は俺1人じゃなかったし」

「誰かとご一緒だったんですか?」

「同じSランク冒険者の人だよ。初めてSランク冒険者と依頼を受けたけど、彼女も強かった」

「…女性だったんですか?」

「ああ。Sランクになるなんて凄いと思うよ」

「ラソマ様は、その人の事をどう思われます?」

「ん?今さっき言ったけど、凄いと思う」

「違います。女性としてどう思われましたか?魅力的でしたか?」

「魅力的…そうだね。魅力的だったと思うよ」

「そうですか…」


 俺の言葉にアミスの表情が少し暗くなる。


「まあアミスの方が魅力的だけどね」

「あ、ありがとうございます…」

「見せつけてるんですか?」


 アミスが頬を赤くして俯き、メルはニヤニヤしてくる。でも、こう言う風に言わないと、アミスが元気にならないからな。俺がレイラという女性冒険者と一緒にいて、さらに魅力的だと言った事を受けてアミスは落ち込んだ。まあ、俺を好きと思ってくれているんだから当然かもしれない。だからこそ、元気でいてほしい。元気な顔の方が笑顔も魅力的だからだ。


「今日はもう依頼を受けないんですか?」

「うん、次は明日にするよ。ドラゴン討伐の依頼は国からのもので、報酬がなかったからね。きちんと稼がないと」

「そんなに心配しなくても、子爵なんですから、国からのお金があるんじゃないですか?」

「2人に対しての給金は俺が働いて渡したいんだ。自己満足だけどね。無理そうだったら国からのお金を使うよ」

「無理はしないでくださいね?ラソマ様に何かあったら私は…」

「私も同じです」

「うん、気をつけるよ」


 アミスは俺が子供の頃から一緒だから悲しい気持ちになるのは分かるけど、メルはどうしてだろう?一緒に住んでいると、そういう感情がわくものなんだろうか。俺で言えばアミスも心配だけど、確かにメルの事も心配に思う。一緒に住み始めた時間は短いけど、そういう気持ちがわくものなのかもしれないな。

 その日俺は依頼を受けず、屋敷でのんびりする事にした。


 翌朝。俺の部屋の扉をノックする音で目が覚めた。


「アミスか…入って良いよ」


 透視でアミスだと確認し、入室を許可する。勿論、ドアを透かしただけだからアミスは衣服を着ている状態だ。間違っても裸を見てはいけない。

 俺はまだベッドに座っていたけど、問題ないだろう。


「失礼します」


 そう言ってアミスがメルと共に部屋に入ってくる。俺は貴族だけどドアには鍵がかかっていない。俺以外には信用しているアミスとメルしかいないから、鍵は必要ない。常に全身に結界スーツを張っているしな。

 それよりも部屋に入ってきたアミスとメルの表情が暗い事が気になる。


「どうかしたの?」

「また…魔王がこの王都に進軍しているそうです」

「またか…魔王は暇なのかな」


 苦笑いしてしまう。だって最近、来たばかりだろ?しかも倒されている。そんな状況で、わざわざ魔王を倒した人がいる国に来ようとしているなんて。


「分かった。とりあえずギルドに行ってみるよ。アミスとメルは屋敷にいてほしい。結界を張っているから、何があっても大丈夫だから」

「分かりました。本当ならラソマ様にも一緒にいてほしいのですが」

「ごめんね。勇者じゃないけど、魔王が現れたのなら、ここでのんびりしているわけにはいかないんだ」


 そういう義務はないけど、心情としては行きたい。どうせ勇者は行かないだろうし。


「分かりました。お気をつけください」

「ラソマ様、気をつけてくださいね」

「うん、ありがとう」


 2人に応援された俺は屋敷を出てギルドに向かう。ギルドなら情報がたくさんあるはずだ。

 ギルドに行くと既に冒険者で賑わっていた。

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