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42.魔王との戦闘

「どうして勇者が行かないんだ!?」


 何があったんだ?


「ミオナさん、何かあったんですか?」


 ギルド職員のミオナさんに事情を聞く事にする。


「魔王が進軍している事は知ってますか?」

「はい」

「その事で勇者には魔王を撃退するように命令が下ったんです。でも勇者が城から出てこないようで…」

「…怖がっているわけではないですよね?」

「たぶん…ですが、誰も理由が分からないんです。こうしている間にも魔王が来ていると思うと不安で…」


「レイラはいないのか?!」

「今は依頼で遠方にいるんです。連絡はしたんですけど、遅くなるそうです」


 1人の男性冒険者の言葉に受付の人が答える。そうか、レイラはいないのか。


「他のSランク冒険者はいないんですか?」

「はい…」

「そうですか…それなら俺が行きます」

「え?ラソマさんがですか!?」

「はい。俺は魔族の大群を倒した経歴もありますし、せめて勇者が来るまで時間稼ぎをします」


 俺の提案にミオナさんは考え込む。まあミオナさんに限らず、誰に反対されても行くけどな。


「それじゃあ行ってきます」

「え!?本当に行くんですか?」

「はい」


 俺の決心にミオナさんは不安そうな顔をする。


「そんなに不安な顔をしないでください。無事に帰って来るので、笑顔で見送ってくれると嬉しいです」

「…分かりました。絶対に無事に帰って来てくださいね?」

「はい!」


 ミオナさんは無理矢理にでも笑顔になろうとしてくれている。絶対に無事に帰らないとな。

 それから俺は瞬間移動で家に帰る。


「ラソマ様、どうでしたか?」

「魔王が向かって来ているのは本当みたいだ」

「それでは勇者の方が撃退してくれるのですね」

「いや、何故か勇者は出発していないらしい」

「ど、どうしてですか?」

「それは分からない。Sランク冒険者も近くにいないし。だから俺が撃退してくるよ」


 俺の言葉にアミスとメルが驚く。


「い、いけません!魔王に勝てるのは勇者だけです。いくらラソマ様が強くても、危険です!」

「そうかもしれない。でも強さがあるのに、魔王が向かってきているこの時点で何もしないという選択肢はないよ」

「ですが!」

「大丈夫。絶対に無事に帰ってくるから」

「…本当ですか?」

「うん。信じて待っていてくれるかな?」

「分かりました…」

「アミスさん、良いんですか!?」


 渋々だけど納得してくれたアミスにメルが聞く。


「ええ。私達にラソマ様を止める権利はないし、ラソマ様が信じるように言ってるんです。信じないわけにはいきません」

「でも…」

「メルにも信じて待っていて欲しい。そして俺が無事に帰ってきたら、美味しい食事を用意してくれると嬉しいんだけどな」

「…分かりました。美味しいお食事を用意する事を約束します。ですからラソマ様も無事に帰ってきてくださいね?」

「うん。それじゃあ言ってくるよ」

「「行ってらっしゃいませ」」


 2人に見送られて俺は瞬間移動で国の端に来ていた。


(それにしても勇者はどうしてるんだ?)


 気になった俺は現在、勇者が何をしているのかを調べ始めた。

 まずは千里眼と透視で勇者の居場所を突き止める。千里眼で見えた兵士達の考えを読心で調べれば、勇者の居場所は簡単に分かった。


 …こんな時に何をしてるんだ…


 勇者の青年は王城内にある自分の部屋におり、ベッドに横になっている。しかし1人ではない。若い女と情事の最中だ。魔王が迫ってきているというのに、どういう考えなんだ?

 気になったので読心で勇者の考えを読む。


『くくく、魔王よ、早く来い』


 どうしてそんな事を…。

 詳しく読心で調べていくと、勇者の考えは、魔王に王都を襲撃してもらい、ピンチになった際に登場して魔王を倒すというもの。誰もいない場所で魔王を倒すよりも、命の危機に陥っている国民を奇跡的に助けた方が勇者として人気が上がると考えているようだ。


 酷い勇者だな。これがこの世界の勇者なのか?

 俺が魔王を倒さないといけないな。足止めなんかしても勇者は来ないんだから。

 そう考えて俺は魔王のいる場所に瞬間移動する。場所は草原。前に魔族の集団を壊滅させた時と同じ場所だ。


「あの先頭を歩いているのが魔王だな。そして、後ろに引き連れているのが魔族…前よりは少ないな」

「ほう、人族か」


 前方まで来た魔王が喋る。


「貴様、何用で我が前に立ち塞がっている?」

「その前に。お前は魔王で合っているかい?」

「そうだ」

「そうか。俺の目的は攻めてくる魔王を倒す事なんだ。一応聞くけど、魔王、お前の目的は何だ?」

「ハハハハハッ!」


 俺の言葉を聞いて魔王が笑い出す。しかし次の瞬間、笑う事を止めて、怒った顔で俺を睨んだ。


「貴様が我を倒すだと?」

「うん。理由次第だけどね。人族の国を襲撃しようとしてるんだったら倒すよ」

「…勇者なのか?…いや、貴様は勇者ではないな」

「まあね」

「勇者でもない者が我を倒すなど、分を弁えておらぬのか。やはり人族は知能が低いようだな」

「それで、お前の目的は?」

「決まっているだろう!貴様達のような人族に支配されている土地を奪いに来たのだ!」


 まあ、それしかないよな。


「それなら闘うしかないな」


 そう言って俺は魔王と魔族の集団を覆うように結界を張った。効果は結界内で魔法を使えなくする事。敵は俺が結界を張った事に気付いていない。


「我の火魔法を喰らえ!………ん?」


 魔王は掌を俺に向けたけど何も起きない。その事に魔王が不思議がる。


「魔法が発動しない、だと?!お前達、やれ!」

「「「おう!!」」」


 今度は魔族達が俺に向けて魔法を放とうとする。でも魔法は発動しない。


「ど、どうなってるんだ?」

「なぜ魔法が使えない?!」


 魔族達は慌てている。


「貴様の仕業か?」

「そうだ。今、この場所で魔法は使えない」


 魔族にとって魔法が使えないのは、戦闘時には致命的だろう。


「く!卑怯な!」

「闘いにおいて卑怯なんて言ってたら駄目だよ」


 魔族の1人に怒鳴られたので、俺は呆れてしまう。戦闘時に卑怯なんて言われるとは思わなかった。試合ならまだ分かるけど。


「あとは殲滅していくだけだね」


 魔王に俺の攻撃が通じるか分からなかったので、まずは魔族の集団に対して結界刃を放った。それは上空から魔族を狙ったもので、結界刃の見えない魔族達は斬り刻まれていった。


「ど、どうなっている!?」


 自分の後ろで魔族達がなす術なく斬られていく様を見て魔王は狼狽る。

 やがて魔族の集団は全滅した。残りは魔王だけだ。


「よくも!」

「人族の領地に入ってるんだから何が起こっても自業自得だよね」


 あとは魔王か。でも勇者にしか魔王は倒せないと言われている。勇者ではない、超能力者の俺による攻撃が通じるかは分からないけど、勇者が来ない以上、俺がやるしかない!


 まずは結界刃を魔王の首目掛けて放つ。でも、もう少しで当たるというところで魔王は下に屈んで避けた。


「今、何か放ったな?」


 魔王は俺を見ながら言う。魔族に向けて放った結界刃は分からなかったのに、自分に向けて放たれるものには分かるんだな。


「へえ、気づいたんだね」

「ハハハ!その程度で我を殺せると思ったのか?」

「その割には避けるんだから、効果はあるんだろうな」

「なんだと!?」


 俺の言葉に魔王が怒る。合ってると思うけどな。効かないなら避ける必要がない。


「普通なら当たるまで何度も放つだけなんだけど」

「フハハ!全て避けるまでだ!そして魔法が使えるようになったら、すぐに攻撃してやる!」


 いや、それは無理だ。俺の結界に制限時間はない。俺が解除しない限り結界はそこにあり続ける。教えないけど。

 …それにしても魔王にも結界の効果が通じるんだな。それなら念動力も通じるか?


「な、なんだ!?体が動かん?!」


 効いたよ。魔王の体を念動力で動けなくしたら、本当に動けなくなった。


「動けないみたいだな。それなら当たるな」

「貴様!」


 俺は結界刃を魔王の首めがけて放つ。念動力によって魔王は動く事ができず、結界刃は魔王の首に命中した。でも念動力で動きを止めているから魔王の体はそのままだ。そこで念動力を解除すると、切断された頭部は地面に落ち、体は倒れた。そのまま魔王は動かなくなった。読心も使えないから、本当に死んだんだろう。


「勇者でもないのに倒せるのか…」


 俺はその事実に唖然とした。

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