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15.時間を操る

『新たなスキルを解放します』


 12歳になる日、新たなスキルが解放された。本当に毎年あるのか。

 今度の超能力は時間操作というもの。名前の通り、時間を操作できるようだ。でもなぁ…時間というものを操作できると言っても制限が多そうだな。そこは実験してみないと分からないけど。


 翌朝。朝食の席で新たなスキルについて家族に話した。


「なに?!今度は時間操作だと!?」

「は、はい」


 毎年のようにスキルが解放されるから慣れてきていた父さんが驚く。


「そ、そんなに驚く事なんですか?」

「言葉通りなら時間を操作できるんだろう?時間というものは魔法でも操作が難しい。一応、時間魔法というものもあるが、瞬間移動のように、使える人の少ない魔法だ」

「そんなにすごい事ができるようになったのね!」

「ラソマ兄様、すごいです!」


 父さん、母さん、スィスルの順に、それぞれ感嘆の声をあげる。


「それは使いこなせるようにならないと駄目ですね。でも魔法であるのなら、スィスルも使えるようになるじゃないですか?」

「確かに…いずれは使えるようになるだろうな」

「やった!ラソマ兄様とおそろいです!」


 スィスルが喜んでいる。優劣をつけるわけじゃないけど、スキルと魔法、どっちの時間操作のほうが有用性があるんだろうか。


 朝食を食べ終えた俺はアミスと一緒に屋敷の庭に出てきた。


「それじゃあ今日は時間操作の訓練をするよ」

「はい!具体的にどういう事ができるんですか?」

「時間を止めたり、止めた時間を進めたりできるみたいだ」

「それでは時間を止めて、私にイタズラするんですか?」

「しないよ!?」


 アミスの中で俺はどんな存在なんだ?


「とにかく、今のところは、どの程度の間、時間を止める事ができるのか、そして、時間を止める事の出来る範囲は僕が決める権利を持っているのか」

「なるほど…実験する事が多いですね」

「うん!だから楽しいんだ」

「フフフ」


 俺の言葉にアミスが微笑む。


「まずは時間を止めてみようか」

「はい」


 どうやって止めるかはスキルが解放された時点で分かっている。

 時間停止!

 …これで時間は止まったはずだ。


「アミス?」


 俺の呼びかけにアミスは返事をせず、さっきと同じ顔をしている。瞬きもしない。呼吸は…していないように見える。脈をみる為、手首に触れるけど止まっている。心臓は…そこを触る勇気がないから分からないな。時間は止まってるけど、触る事に抵抗がある。

 …さて、時間を動かすか。


「…ラソマ様?時間は止めないんですか?」

「もう止めたよ」

「そうなんですか!?」

「時間を止めている間の記憶はある?」

「ないです」

「もう1度、時間を止めるよ」

「はい」


 俺は時間を止めて、アミスの手を握る。


「あれ?ラソマ様、もう終わりですか?」

「ううん、まだだよ。時間は止めてる」

「でも私、動けますよ?」

「それはアミスの時間を動かしたからだよ。他の人たちは動けていないはずだ」


 これは検証しなくてもスキルが増えた段階で分かっていた。動くように念じながら触れると、そのものの時間は動き出す。今の状況で言えば、アミスの時間を動かしたんだ。


「それではラソマ様と私だけが動けるんですね」

「そう、僕たち、2人きりの世界だね!」

「2人きりの世界…」


 そう言ってアミスは頬を赤くしていく。


「今なら、ラソマ様に何をされても誰にも気づかれませんね」

「そうだね」


 何もしないよ。本当にアミスは俺を何だと思ってるんだ。…確かに12歳にもなると、そういう興味も湧いてくるけど………まさかアミスは、そんな俺の気持ちを読み取っているのか?

 はっきり言っておいた方が良いんだろうか。


「アミス、僕はアミスが好きだけど、エッチな事をしようとは考えていないから、安心して良いよ」

「安心できないです!ラソマ様になら、されても私は大丈夫です!」


 …どういう反応が正解だったんだ?

 まあ考えても仕方がない。忘れよう。


「…さて、時間操作の訓練を再開するよ。少し待ってもらって良いかな?千里眼で世界中を見てくるよ。時間が止まっている範囲を知りたいんだ」

「分かりました」


 …結論から言うと、世界中で時間が停止していた。

 まあ一部で時間が止まり、他の場所で時間が動いていたら、止めた時間を動かし始めた時に時間が狂ってしまうからな。

 俺が時間を止めた時は、世界中の時が止まってしまうと考えて問題ないだろう。


「世界中の時間が止まってしまうなんて凄いです!」

「そうだね」

「でも時間停止をすると、一部ではなく、世界中の時間を止めてしまうのは便利なようで不便ですね」

「そうなんだ。対象の動きだけを止めれるようになれば良いんだけどね。まあ、そのためにも訓練が必要か」

「ラソマ様ならできますよ!」

「ありがとう。さて、あと検証したいのは、時間をどの程度の間、止める事ができるのかだけど…」

「ラソマ様の事ですから、限界が無いかもしれないですね。しようと思えば、世界中の時間を永遠に止める事も可能なんじゃないですか?」

「…そうかもしれない」


 確かに自分のスキルを検証してきて、限界があるスキルはなかった。


「ラソマ様が選んだ人間だけが動けるようになる…完璧な支配者ですね!」

「う、うん…」


 アミスは楽しそうだ。俺としては支配者になりたいとは思わないけどな。


「でも検証はしてみるよ」

「世界の時間を止めるんですか?」

「ううん、まずは世界中ではなく、何かの時間…そうだな…」


 俺は考えて花壇の近くに置かれている空の小さな植木鉢に土を念動力で入れた。


「僕の部屋に移動するよ」

「はい」


 アミスと土の入った植木鉢を持って自分の部屋に瞬間移動する。

 そして窓際に植木鉢を置き、念動力で少し土を持ち上げて落とす。その瞬間、落ちている土の時間を止めるように念じた。結果、土は落下せず、空中に浮いたままになった。

 アミスは…うん、動いている。ついでに千里眼で近くの街の状況を確認した。人々は動いている。世界の時間は止まっていないようだ。1回で成功したな。


「これで、どうするんですか?」

「土が植木鉢の中に落ちた時が時間を止めていられる時間だと思ってね」

「では、この浮かんでいる土も念動力ではなく、時間停止で、この状態になってるんですね」

「そういう事」


 成る程、傍目には念動力で止めているようにも見えるんだな。


「さて、時間操作で検証したい事は…早送りと巻き戻しだな」

「早送りと…巻き戻し、ですか?」

「そう。たとえば果物の時間を早送りすれば腐る。逆に巻き戻せば…種になるのかな?」

「成る程!時間を止めるだけではなく、進めたり、戻したりするんですね」

「うん。できたら面白いでしょ?」

「はい!」


 できることの幅が広がる事は良い。


「それでは果物を持ってきますね」

「うん」


 そう言ってアミスは部屋を出て行く。千里眼と瞬間移動を使えば簡単に果物を取る事はできるんだけど、流石に無断で取るわけにはいかない。アミスならメイドとして、俺に持ってこいと言われたと話せば、簡単に持ってこれるだろう。

 少しして、アミスが部屋に戻ってきた。お盆を持っており、その上に2つの果物が乗っている。


「それじゃあ実験を始めようか」


 まず念動力で1つの果物を浮かせる。そして結界で囲む。腐らせたら臭いがするからな。臭いを防ぐための結界だ。さて、時間を早送りしてみるか。

 早送りするように念じると、果物が腐っていく。俺は途中で時間を止めた。そして今度は時間を巻き戻す。すると腐りかけている果物は、元の美味しそうな状態に戻り、やがて蕾のようなものに変わった。うん、種に戻るわけないな。


「成功ですね!」

「うん、成功したね。それにしても果物は1つで良かったですね」

「いや、その残った方は2人で食べよう」


 さすがに実験に使った果物を食べようとは思わない。


「ではラソマ様、どうぞ。今、切りますね」


 アミスは手際よく果物を切ると、一緒に持ってきていた皿に盛り、俺に手渡してくる。


「ありがとう。でも僕は2人で食べようって言ったんだから、アミスも一緒に食べるんだよ?」

「…よろしいのですか?」

「勿論だよ」

「ありがとうございます!」


 そうして果物は2人で食べた。俺1人で食べてもつまらないからな。食べるなら、皆で食べないと。

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