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転移してのんびり異世界ライフを楽しみます。  作者: 秋色空
第一章「王都までの旅」
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7ページ目「ゆえに僕は仕返した」

「……ここは?」

「ああ、起きたか。ここはアジトだよ。」


 御者……もとい騎士さんが教えてくれた。どうやらあの後、数の暴力にあったらしい。捕まったようだ。


「リルは……?」

「……男達に連れていかれた。」

「……王女陛下は?」

「……同じく男達に。」


 盗賊の中には女もいた。男達が連れていったという事はそうなのだろう。何かモヤモヤしてきた。


「アジトの牢獄なんですね、ここは。」

「ああ、そうみたいだ。」


 手枷、足枷に鉄格子が嵌められた窓。入口には見張りがいるだろうし、扉も鍵が掛かっているだろう。僕のミスがあったばっかりに……。恐らくリルは僕の攻撃するなという命令を守っているのだろう。だけど女の子だ……。僕はモヤモヤしていた感情が煮え滾ってきた。


「おい、お前大丈夫か?」

「はい、何がですか?」


 騎士さんから見て、僕がおかしかったらしい。どこがおかしいのだろう。見た目には全く問題がある筈が……。


 ────僕は笑っていた。


「アハハハハ!」

「お、おい、本当に大丈夫なのか?」

「え、何がですか?ハハハ!」


 僕の煮え滾った感情が笑いへと変わった。自分でも分からない。意識が飛びそうである。今なら仕返しが出来そうだ。


『〈魔神の加護〉を得ました。よって〈スキル:闇属性強化〉、〈特別スキル:魔族召喚〉、〈特別スキル:魔族使役〉、〈特別スキル:眷属化〉、〈特別スキル:精神干渉〉、〈特別スキル:魔族化〉を得ました。〈称号:魔神に気に入られる者〉を手に入れました。先程手に入れたスキルが全てレベル10になりました。レベルが80まで上がりました。』


〈万能〉スキルがそう伝えた。が今のタクトには聞こえていなかった。笑い続けている。口角を上げて。


「そ、その角は……。」


 タクトの頭には2本の角が生えていた。〈魔族化〉スキルを発動させたのだ。闇属性と身体能力が強化される。


「ハハハハハ!!」


 感情がここまで冷えきった事があっただろうか。煮え滾った感情は冷え切っていた。それが笑いを生み起こしていた。これは……嘲笑である。


 タクトは扉に触れた。その瞬間、扉は開く訳でも壊れる訳でも無かった。黒い靄となって消えた。闇属性の魔法である。騎士には見覚えが無かった。騎士は立ち上がる事も出来ずに目の前の光景に呆然としていた。


「おい、お前!牢から勝手に出た────」


 叫んだ牢屋番は笑みを浮かべていた。〈精神干渉〉スキルである。タクトは相手を〈魔族化〉で魔族にして〈魔族使役〉で操った。


「ハハハハハ!!死ネ!」


〈魔族使役〉によって操られた牢屋番の男は首を自ら切った。終始、笑みを浮かべて。


「あ……。」


 タクトは声を上げた方を見た。気持ち悪い程の笑みを浮かべて。騎士は体を震わせた。恐怖でも悪寒からでも無い。力量差だ。既に騎士とタクトとでは、レベルが40ほど離れている。どう頑張っても勝てないのだ。勝てないと騎士は本能で悟ったのだ。


「だいジョーブですヨ?ハハハハハ!」


 魔族化した事で言葉が話せていないのだ。魔族化状態ではこの世界の人間の共通語である〈世界言語〉を上手く話せない。人間と魔族の口の構造上の問題だ。


 騎士は思わず反抗してはならないとコクコクと頷いた。


「次のあイテはダレですカ?」


 * * * * *


「悪魔だー!!逃げろ!アジトを捨てろ!」


 そう叫ぶ盗賊達の声が響き渡った。当然、リルと王女陛下がいる部屋にもだ。


「ど、どうする?」

「命の方が大切だ!逃げよう!」


 この部屋で何やら企んでいた男達は2人を置いて部屋から走って出て行った。2人は手枷、足枷を付けられている為に逃げ出せない。


「リルさん、どうしますか?」

「タクトなら助けに来てくれる。」

「そ、そうですか。」


 叫ぶ声が通路から聞こえてくる。扉は閉まっているため、音が小さくなっているが悲鳴だろう。その悲鳴は徐々に近付いていた。


「こ、こっちに来ますよ……!」


 王女陛下は怯えているようだ。リルでも分かる。この気配は只者ではない。レベルこそ低いが、危険すぎる。悪魔というのが本当であれば上級悪魔だろう。悪魔は魔族の中でも脅威的な能力を誇る。特に悪魔が持つスキルなどが危険なのだ。


 2人は息を呑んだ。扉のドアノブが回されて侵入してくる、と思っていたが扉は黒い靄となって消失しただけだった。あの魔法は無機物だけでなく、有機物も消失させるのではないか?そう、思った。それが自分達に向けられたら……。怖い。


 黒い靄が消え、中に入ってきた。その姿は半身が黒い靄に包まれたタクトだった。


「た、タクトさん!?」


 王女陛下は驚いている。見たら分かるだろう、この容姿。どう見ても魔族化している。どのような秘術を使ったのか分からないが、体の半分を悪魔に乗っ取られている。しかし、それは自らがしているのだろう。抵抗している素振りも見られない。


「タスけに来たヨ。」


 思わずリルは臨戦態勢に入ってしまった。しかし、それに意味は無かった。すぐにタクトから半身を覆っていた黒い靄が消え去ったのだ。角も消失した。魔族化を解いたのだろう。


「た、タクト、大丈夫!?」


 リルは急いで近付いてタクトを見た。どうやら死んでいる訳では無さそうだ。MP切れでもない。疲れたようだ。寝ている。


「タクトさんは大丈夫ですか?」


 王女陛下も近付いて言った。リルは首肯だけした。


「王女陛下、大丈夫ですか!?」


 騎士も来たようだ。騎士はタクトが牢を出て、数分。呆然としていたが騎士として王女陛下を守る役目を思い出した。走って来たのだった。何方かと言えば、魔族の姿になったタクトに殺されないかが心配だったのだが。騎士はタクトの姿を見ると、ホッと息を吐いた。


 * * * * *


「……ここは?」

「ああ、起きたか。ここはテントだよ。」

「……そのやり取り盗賊のアジトでもしましたね。」

「ああ、そうだな。」


 テントには騎士とタクトしかいなかった。王女陛下とリルはもう寝たらしい。盗賊に捕まったのだ。疲れたのだろう。


「あれ?盗賊は……?」

「……!?覚えてないのか?」

「何をですか?」


 タクトは全く覚えていなかった。怒りのあまりに記憶が飛んだのだろう。


「まあ、覚えてないなら別にいい。一つだけ言うとすれば、王女陛下を盗賊から救ってくれてありがとう。」

「……記憶には全く無いですけどね。」


 騎士の話によるとどうやら僕は何かの力を使って盗賊を全滅させたらしい。ステータスを確認してみる。


◆◆◆◆◇ステータス◇◆◆◆◆


神代拓人


種族:人間、魔族

年齢:8歳

性別:男

職業:冒険者(青色)


レベル:85

HP:105000/105000

MP:150000/150000


称号:

氷竜王が認める者

魔神に気に入られる者


スキル:

情報(固有)- レベル10

万能(固有)- レベル10

翻訳(特別)- レベル10

├竜言語(通常)- レベル10

└魔族言語(通常)- レベル10

魔族召喚(特別)- レベル10

魔族使役(特別)- レベル10

眷属化(特別)- レベル10

魔族化(特別)- レベル10

精神干渉(特別)- レベル10

保有地管理(通常)- レベル6

収納(通常)- レベル7

変幻自在(通常)- レベル5

氷属性強化(通常)- レベル1

闇属性強化(通常)- レベル10


加護:

転生神の加護

魔神の加護

氷竜王の加護


パーティメンバー:

リル


保有地:

刃蟻の根城

ブレイリルザードダンジョン

街道盗賊のアジト


◆◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆◆


 ……ツッコミが必要な所が多すぎる。


 まず、種族が人間、()()って何!?そして()()()()()()()()()()()()()()()も謎でしょ!?僕、何したの!?その影響か知らないけど、スキルが増えてる……これは嬉しい。でも危険そうなスキルばっかりだな。闇属性強化ぐらいでいいや。そして盗賊のアジトを保有してるし。それが一番謎だよ。


 まあ、いいや。スキル増えたし。


 タクトは称号よりも加護よりも保有地よりもスキルが大切なのであった。


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