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転移してのんびり異世界ライフを楽しみます。  作者: 秋色空
第一章「王都までの旅」
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2ページ目「そして僕は訪れる」

 転生神様によって転生した僕が現れた場所は、遠目で街が見える荒野だった。


 僕はこの街の名前を貰った〈固有スキル〉である【固有スキル:情報】で検索した。


 検索すると空中に液晶のようなものが出現し、光で文字が描かれた。それには────


◆◆◆◆◇検索情報◇◆◆◆◆


国名:リメレイド王国

領地名:グレーデルン伯爵領

地域名:未開拓地帯、カハメルから東に3km

保有:現在保有者無し

生息生物:刃蟻(カットアント)

推定生物平均レベル:10

施設:ダンジョンあり


◆◆◆◆◇◇◇◇◇◇◆◆◆◆


 と出た。転生した先の国は〈リメレイド王国〉のグレーデルン伯爵領か。ここは、未開拓地帯みたいだ。あまり手を加えない方がいいね。保有という欄がどういう意味か分からないが、通常は所有者がいるのだろうか。伯爵では無く?まあ、今後分かるだろう。


 それにしてもこの世界にはレベルという概念があるようだ。僕のステータスも確認してみた。


◆◆◆◆◇ステータス◇◆◆◆◆


神代拓人


種族:人間

年齢:17歳

性別:男

職業:旅人


レベル:1

HP:1000/1000

MP:10000/10000


称号:なし


スキル:

情報(固有)- レベル10

万能(固有)- レベル10


加護:転生神の加護


◆◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆◆


 のようだ。レベルは未だに1のようだが、これから上げるとしよう。ここには丁度、刃蟻(カットアント)という生物がいるらしい。平均レベルが10らしいが、倒せるだろうか。まずは小手試しも兼ねて1体の相手を倒すとしよう。群れで襲い掛かられては、流石に危険だろう。


 ということで僕は早速、蟻探しを始めた。しかし、何処にでもいる生物でも無いのか、全く見当たらない。


 どうしたものか……。とにかく【固有スキル:情報】で片っ端から情報をAR表示にして、巣穴を探してみた。


 荒野の広さは凡そ100km²ほどある。とても広い。未開拓地帯と言うだけある。何故、未開拓なのか不思議だが……脳内のメモ帳にでも留めておこう。メモメモ。


 蟻の巣穴を見つけるまで1時間は要した。日が傾いている。時間で言うところの午後3時ぐらいだろう。急いで遠目で見えるあの街に行きたいが、無防備過ぎる。せめて冒険者風の戦利品や装備などをどうにかしたい。と言っても装備は無理だ。なので、刃蟻(カットアント)を戦利品にして、旅人風に訪れる、というプランにした。


「まだ魔法が分からないからな……。」


 どうやって倒すのだろうか。巣穴の前で考えるが何も出ない。兎に角、殴って蹴ろう。それしか無い。それ以外、方法が何も無いからね。


 ギャルルルルララ!!!


 こんな音だろうか。鳴き声を文字に表すのは意外と大変なのである。巣穴から漸く1体の刃蟻(カットアント)が出てきた。遅い……遅すぎる。今更感が否めない。


 ……殴る、蹴る、殴る、蹴る、殴る、蹴る、殴る、殴る、蹴る、殴る、蹴る、蹴る……


 ボコボコにした。刃蟻(カットアント)の外装は薄かった。胴体は大きい個体ではあったが、見た目ほど硬くはなかった。柔らかいわけでも無かった為に拳は痛かったが、それら致し方ない。これが異世界なのだから。生きる為だ。これで割り切ろう。


 刃蟻(カットアント)の遅い攻撃を躱しながら攻撃し続け、自分の体が動かなくなった頃。既に100体以上倒している。明日は筋肉痛がキツそうだ。転生前も適度な運動はしていたが、ここまでハードな運動は流石に毎日はしない。1週間に1回、これぐらいだった。いつしか僕の前には死体の山が出来ていた。


「これで最後かな……っと!」


 最後に巣穴から出てきた刃蟻(カットアント)を倒した。体は痛みを通り越した。運動していると偶にするこの感じ。何というのだろう。成長……?いや、違うな。分からないや。最後の刃蟻(カットアント)は一段と大きかった。ボスと言ったところだろう。中々手強かった。こちらの攻撃を躱すのだ。少しばかり知能があったようだ。レベルもこいつが最も高かった。戦利品はこれで十分だろう。……で、これをどうするんだ。


 目の前には刃蟻(カットアント)。そして、僕は何も持っていない。どうやってこの量を運べと。無茶だ。


 それに示し合わせたようにとあるスキルが発動した。漸く〈万能〉スキルのお出ましだ。


刃蟻(カットアント)の巣穴の主を撃破しました。それに伴い、この未開拓地帯の保有者となる権利を得ました。保有者となりますか?』


 どうやらこの未開拓地帯の保有者は、先程まで刃蟻(カットアント)のボスだったらしい。それを倒した僕に保有権が移った、と。一応、冒険の拠点も欲しい事だし、保有することにしておこう。


 僕は保有者になった。すると久しぶりに〈世界の声〉が聞こえた。


『神代拓人が未開拓地帯の主となりました。』


 僕のステータスの欄に『保有地』という項目とそれに『未開拓地帯』、そして新たなスキルである〈保有地管理〉を手にいれた。これは、保有している土地を自由に管理できるようだ。天候まで変更できたりする。素晴らしい。


 僕はこの未開拓地帯に地名を付けることにした。今からここ(未開拓地帯)の地名は『刃蟻の根城』である。敢えて刃蟻(カットアント)の根城ではなく、刃蟻の根城とした。なんとなく英語と日本語の組み合わせが悪いような気がしたからだ。


◆◆◆◆◇ステータス◇◆◆◆◆


神代拓人


種族:人間

年齢:17歳

性別:男

職業:旅人


レベル:10

HP:5028/5028

MP:17683/17683


称号:なし


スキル:

情報(固有)- レベル10

万能(固有)- レベル10

保有地管理(通常)- レベル1

収納(通常)- レベル1


加護:転生神の加護


保有地:刃蟻の根城


◆◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆◆


 僕は刃蟻(カットアント)のボスを倒した時にスキルをもう一つ獲得していた。スキル名は〈収納〉。蟻に必要なスキルかどうかは不明だが、どうやら見えない鞄の役割を果たすらしい。他の人には見ることも触ることもできない収納鞄を使用できるのだ。折り紙付きの安全さだ。


 僕は〈収納〉に刃蟻(カットアント)の死体を収納した。〈収納〉はスキルレベルが上がる事に収納できる量も多くなるようだ。頑張ってスキルレベルを上げよう。


 そうして僕は街へ行くことにした。ダンジョンも行きたかったが、装備を整えてから挑戦したい。まだまだレベルも低いからね。


「街に入るのか?」


 僕は街の門番に話し掛けた。少し驚いていたのは、あまり街には人が来ないかららしい。


「はい。」

「じゃあ、証明書あるか?」

「……証明書?」

「何だ、持ってないのか?」

「すみません、どうやら記憶喪失みたいで。その時にその証明書も落としたんだと思います。」

「……そりゃ、そうだろな。何も持っていない時点で普通は有り得ねえからな。じゃあ、街に入ってすぐ左に役所がある。そこで発行してもらえ。」

「記憶喪失で大丈夫ですか?」

「そうだな……。しょうがない、俺の知り合いという扱いで証明書を発行してやるよ。付いてこい。」


 門番さんは優しい人だったようだ。街について説明もしてくれた。みんなこんな人ばかりだったら良いんだけど……。それは無いだろう。


「ここが役所だ。」


 日本の役所とあまり外見に違いは無い。一つあるとすれば文字、だろう。読めない。言葉は話せるのにな……。


 すると、何故か〈万能〉スキルが発動した。


『3分前に転生神より〈特別スキル:翻訳〉が与えられました。所有選択権はありません。』


 という言葉が脳内で。何故か所有するかしないかは選ばせてくれないらしい。有難いのでスキルを所有しない筈が無い。便利なスキルはどんどん歓迎だ。というより3分前って……遅くない?特別スキルというのも謎だ。


 スキルを持っているのならばスキルを使用する。僕が使うのは当然〈翻訳〉スキルだ。スキルを使うとすぐに役所の前の掲示板の文字が読めるようになった。転生神様ありがとうございます。


 その後に僕は役所で証明書を発行してもらった。ステータスが見られたりするのかと身構えたのだが、取り越し苦労だった。名前と年齢、性別、種族だけで良いらしい。どうやら付き添いの門番さんが取り持ってくれたそうだ。ありがとうございます、門番さん。助けてもらってばかりだな……。いつか恩返ししよう。


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