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忘れちゃいけないもの  作者: 冴あき
第二章 ー百合編ー
13/20

ホテルにて

第2章ー百合編ー スタートです。

「お父様・・・」

「おう、百合ゆりか、今日のドレスは一段とお前を輝かせているな」

「そう?ありがとう」

「もうすぐ高津こうづさんがお見えになる。粗相のないようにな!」

「えぇ、はい・・・」


 今日は6月23日。

 神戸メリケンオリエンタルホテルでのパーティがもうする始まる。夕刻から始まる父の会社モントロンダと高津オリエンシティとの合同パーティ。私はあまり乗り気がしない。18時には父の会社との共同声明が発表される。いわゆる共同出資にて新会社を設立させる意向の発表会も兼ねたパーティ。そんなパーティに私自身が呼ばれる事など今までは無い。でも父は今回だけはどうしてもと言うことで私は参加した。その理由は詳しくは知らない。だけど珍しく父が私に頭など下げる事などかなった為それを承諾した。


 メイク直しにとレストルームへと一人入った。少々化粧をし直しをする。頭に過るのは今回高津オリエンシティの代表取締役の高津と言う男と初めて合うという事。どんな男なのか。父は私の事をその高津に紹介したいらしいと内うちの噂で知った。まずそれが一番の懸念材料だった。高津オリエンタシティのホームページはチェックした事があった。代表取締役だと言うその男がどんなイケメンなのかと気にはなったからだ。顔はソコソコ男前。代表取締役と言う事もあり、パリッとスーツを着こなすその姿はそれなりに見えた。だがその目はどこか私のタイプでは無い。大きなまなこにインテリメガネ。でも幾らイケメンでも私はそんなに靡かない。


 学生時代からそうだった。

 父のお陰で私立のエリートコースを一応に進む事が出来た私だったけど、そのエリート校で知り合ったエリートたちの中でもイケメンと言う男たちは私には合わないと感じた。自分が一番だと言わんばかりの上から目線のただのおぼっちゃま達が。


 私の性格はお嬢様と言われるほどお嬢様っぽくない。自分の意見は持ち、それでいて相手の意見も取り入れたい。しかし、そのエリート校たちのイケメンと呼ばれる男たちは俺様タイプばかり。俺様タイプははっきり言って苦手だ。

 私の中の男と言うものは、普段はボケっとしていてヤるときにはヤる。そんな人が私のタイプ。そして一番は素直な感情を持った人が私の好みでもある。


 果たして高津という人物はどんなイケメンなのだろうか・・・。

腕時計をみると午後の3時半を回った。会場の準備は整っている。豪華レストランの貸切。それなのにどこかソワソワした人たち。一様に楽しむ様子も見受けられない。


 どうしたのだろうと、父の姿を探した。が、見つかったのは母親だった。


「お母様、父は?」

「さぁ?れんたちといっしょじゃないの?」


 れんとは私の妹だ。まだ小学生。そんな家族総出で挑むパーティのはずが、開催時間になっても、高津は愚か父の姿もどこかに行っていた。私は母の近くで会場のチェックをしている目付け役の東郷さんに父の居場所を訪ねた。


「さぁ?先ほどお手洗いに行くと仰ってましたのですぐに戻るのでは?」


 端的な言い回しで言うがどこか不自然さを感じた。東郷さんの視線がレストラン出入り口の方に一瞬目をやる。私はそこに何かがあるのかと思い、東郷さんの元を離れて出入り口に足を伸ばそうとした。が、東郷さんに引き止められる。


「お嬢様、もうすぐ戻ると思いますので、お待ちくださいませ」


 何かが可笑しい。そう私の一瞬の判断。その言葉を無視して私は出入り口に一目散に駆け足で急いだ。


「お嬢様、お戻りください!」


 東郷さんの叫ぶ声が益々怪しさを漂わせていた。

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