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戦争の令嬢  作者: sweet
〜D国にて〜
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6話 上陸


「お嬢、気付いてるか?船の左右が陸になってるのを」

「……言われてみれば!」


今まで岩山と木が片方でしか見れなかったのに、気付いてみれば船のどこからでも陸が見える。まるで川の両岸に巨大な壁が出来ているようだ。


「D大陸の船着場は、D大陸の中央の町にあるんだよ。『人間っぽい』奴らが大陸の外周の森を占拠しちまってるからな。大陸の残り4割の内側をD国が利用してるのさ」


「ちなみに直ぐそこの森に足を踏み入れたらどうなるんですか?」

「考えたくもねぇな」

「……」


◎ ◉ ◎ ◉


「そら!着いたぜお嬢!ここがD大陸、『中央の玄関口』の船着場だ!お嬢、ここから一ヶ月別行動になるぜ」


川岸(実際は海だが)沿いに巨大な街が造られている。アキュタのそれとは比べものにならない程の船の量と土地だ。アリアは自分の乗っているこの貿易船が有象無象のD国の船の中でも小さいということに衝撃を受けた。


「ありがとう。オスクリタのお父様に宜しく」

アリアは船のタラップから勢いよく飛び降りる。





巨大だ。呑まれる。その二言に尽きる。C国の中でも大きな街であるアキュタが片田舎のさびれた町だったかと錯覚してしまうほど、大きく、そして発展していた。アリアは街を眺めながら道の真ん中をフラフラと惚けながら歩いた。


「おい危ねえぞ!」


「えっ?」

ぶうぅぅううん!


「えっ、えっ!?」アリアは咄嗟に何かをかわし、転び、手をつく。


その何かが止まり、中から男が出てきてアリアに怒った。「どこ歩いてんだよお前は!」


「ご、ごめんなさい……」

「……ったく。どうせ、車の無いような国の生まれだろ。やだなぁ全く」

男はそう吐き捨て、その車とやらに乗り込み、物凄いスピードで行ってしまった。



「………あ、あれが車。………すごいっっ」


速い!(はや)い!自分と同じぐらいに!!!



『自然大国・D国』。アリアは自分に気付き始める



◎ ◉ ◎ ◉ ◎ ◉ ◎ ◉



「なるほど。この国には車道と歩道があって、歩く時は車道じゃないと行けないのか……」

なら走るときは車道なのかな……という奇想天外な考えをしながら、アリアは近くの料理屋に入った。


どうやらここは他国の観光客向けにD国の伝統料理を出す店らしい。ちょうどいい、D国の文化を知る機会だ。


「すみません、適当に何か一品おすすめを」

「かしこまりました」


店内の内装として、D国の先住民族の衣装や装飾品が飾ってある。先住民族と言うものが『ムー大陸』に存在しないので、不思議な感覚だ。

「淘汰されるって言うのはどういう気持ちなんだろう」



「お待たせいたしました。ウシヤドクガエルの姿煮でございます」


「………えぇー……」


D国ではこの『新生種』であるウシヤドクガエルが大量発生しているらしい。名の通り毒があり、手のひらほどの大きさである。『新たな人類』やD国の兵器を使って駆除にあたっているが、目立った数の変化は見られず、むしろ年々増加傾向にあるらしい。しかし、このウシヤドクガエル。猛毒があれどその毒は熱にとても弱く、D国は赤道に近くさらに大陸の中央、つまりD国民が住む地域は盆地になっているため気温が高く、常に無毒のでかいカエルである。そのうえ美味。一度ご賞味あれ。

「と観光客の皆様に言っているのですが、鮮やかな毒々しい色と大きさに皆様あまり食されないようで」


「………でしょうね」


給仕が困ったようにアリアに言う。

「ですが本当に美味なのですよ?D国民みんなだいすき。D国民、いつもこれ食う」


「なんで片言なんですかね」


アリアは恐る恐るフォークでカエルの肉をそぎ落とし口に運ぶ。肉質は物凄く鶏肉に近い。脂が乗って、しっかりした味付けになっている。不味くない。というか

「美味しい」


その言葉を聞いた瞬間店にいた客が一斉に自分のテーブルのカエル料理に手を付ける。奴ら自分を毒味に使ったな。

「有難きお言葉。ごゆるりとなさってくださいませ」



しかし全員の観光客の思いは一致する。

「二度目はいらねえな」と。



◎ ◉ ◎ ◉


「ありがとうございました。またお越しくださいませ」


丁寧な礼とともにアリアは店から送り出された。


「ふぅ、貴重な体験をした」

あれは食事では無くゲテモノ体験だと思う。


「さて、これからどうしよう。何をしよう」

大陸を、国を踏破するという目標を持つアリアにとって、その国の首都に行くというのは重要な事である。「首都を制覇してこそだよね!」

D国の首都を目指そう。



「多分あっちかな?」

地図を買わないのが浅窓クオリティ。


「おい嬢ちゃんそっちは森だぞっ、おい!……行っちまったよ」


自らフラグを立てるのも浅いからである。





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