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マイコレクション

 部屋のベッドの中にある箱に先ほど録音した会話を入れる。


誰にも気付かれないように慎重に隠す。

 

お姉ちゃんは私の部屋に勝手に入って私のものを使うから。


決してバレてはいけない。

気付かれないようこっそり録音して、こっそり隠す。


ばたばたばたばたばた


この慌ただしい足音はお姉ちゃんのものだ。きっと学校に忘れ物をしたんだろう。


がちゃっ


「あ。アンタいたんだ。シャーペン借りんね」


私のリュックから筆箱を取り出し、シャーペンを抜き取った。


借りる………ね。一度も返してもらったことないんだけど。貰うの間違えじゃないのか。



ばたんばたんばたんっ


今度は何だ?


「ちょっと、シャーシン入ってないじゃん。入れておきなさいよ。このブス!!」


バチンッと私の頬を叩き、怒鳴り散らかすお姉ちゃん。ここまで大きな声で怒鳴れるのはお父さんもお母さんもまだ帰っていないから。



「ごめんなさい」


逆らわず謝り、私のシャーペンにシャーシンを入れて渡す。


「全く使えないヤツ。」

 

ガルルルルル


ハスキーのレオが唸る。

私の味方をしてくれているんだね。いい子いいこと頭を撫でる。


「なんなの!!ちょっと、鈴香ちゃんと躾てよね!」


そう言い捨てると私の部屋を出た。



「何で鈴香は何も言わないんだ?」


はスカートが口をパクパクさせ喋る。その姿はとても違和感がある。


「だって、今強気に言うと後で面白くないでしょう?調子に乗らせてから奈落の底に突き落とす方が楽しいでしょう?」



「それもそうだな。あの女の顔がみものだな。」   


にやっと不適な笑いを浮かべた。

その姿はこれ以上ないくらいの違和感がある。


ふふふふふ。

くくくくく。


部屋の中に楽しげな笑い声が響き渡った。

それは可愛らしいものではなくて、禍々しいものであったのだが。

まさか弱気な鈴香がこんな笑い方をするだなんて隣にいる犬以外だれも知らない。


「そういえば。」


録音機器をベッドの下からとる。先ほどの会話を録音していたのだ。


そしてICレコーダーを大切に箱に入れた。

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