私はお姫様。
私は姫花。大きな二重の垂れ目、ほっぺたは常に桜色で、髪は桜がかった茶色。笑えば華のような笑顔で誰もが紅潮する。
私は絶世の美少女よ。名前の通り、私はお姫様。当たり前でしょ?こんなに可愛いんだから。可愛いお姫様な私にブスな脇役の妹。
ブスで脇役な妹の鈴香のことはとても大切に思っているわ。だって、だって───────────とても大切な商売道具。優しい姉を演じ、私の可愛さを引き立てる。素晴らしいでしょう?嬉しいでしょう?こんなに可愛い私の踏み台になれるんだもの。光栄に思いなさい、鈴香!
「一緒の大学に行こうねっ!!」
私の道具になってね。私の素晴らしい毎日の為に。
両親の前で可愛らしく鈴香に言う。だって此処で言えばお母さん達の前で断るわけにはいかないでしょ?
ふふふっ。私、あったまいいー
「えっ」
生意気に拒否反応した。
何で一緒に進学しなきゃいけないんだ。と顔に出ている。
アンタに選択権なんてねぇんだよ。
まだ分かってないの?全く勉強しない子ねぇ。
「お前、姫花に逆らうのか?優しい姫花がこう言ってくれているんだぞ!!その優しさを無碍にするつもりか!」
顔を真っ赤にして言う父親。
こんな不細工な豚みたいな人からよく、こんな美少女な私ができたなぁ。人間の神秘ね。
「そうよ!何て事を言うの!!全く……アンタなんて産まなきゃ良かったわっ!」
ほら。お母さんもお父さんもこう言ってくれる。
断れるはずがないのよ。でしょ?
「……………」
は?何も言わない??
ふざけんじゃねぇよ。了解しろよ。うん。って!
「痛っ」
脚を押さえ、鈴香を見る。まるで鈴香が私を蹴ったように。
「ごめんね。そんなに嫌だったんだね……ごめんね…」
泣くフリをしながらクズに謝る。ほら。こうすれば────。
「お前………姫花を蹴るとは何事だ!!」
勝手にお父さんが怒ってくれる。誰も私の言葉を疑う者なんていない。皆、皆救いようのない馬鹿ばかり。
そう言うと鈴香の顔めがけて殴った。すると、頬に当たって唇は切れ、頬は青く腫れ上がった。
「お父さんっ止めて!!やり過ぎだよ!!蹴られたのは痛かったけれど……」
そうするとごめん。と私に謝った。なんてチョロいんだろう。
ふふふふふ。
いい気味
頬は青く腫れ上がっていて、
唇からは血が滲んでいる。
ふふふ最高にブスだわ。
世界に私と同じ顔の人なんていらないの。
鈴香に駆け寄り耳元で囁く。
「どお?痛かったぁ?そうだよねぇ。痛いよねぇ。ふふふ最高な気分だわ。貴女はどんな気持ちなのかなぁ??ふふふふふ」
「………」
表情を全く変えない鈴香を見て、詰まらないと思った。私は悔しそうな顔を見たかったんだもの。
─────────この時の私はこんな毎日が続くと信じて疑わなかった。私が愛されて鈴香は嫌われ、苛められる毎日を。