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私は影

学校に行けば私は姉ちゃんの影になる。

 影…お姉ちゃんという光を目立たせる物──────。


「くすくすくす」


 教室に入れば聞こえる笑い声。自分の机を見て溜め息をついた。


死ね

ブス

学校に来るんじゃねぇよ

出来損ない

姫花ちゃんが可哀想

ゴミ

生きている価値ねぇよ


 机にマジックペンで落書きしてあった。


机の中には生ゴミが詰め込まれている。それも腐った生ゴミである。虫が湧いていてさらに不潔である。よく、こんなもの持ってこれたな。感心するよ。



 姫花ちゃんが可哀想……?

 それだからこんな事をするの?

 こんな正義ぶっている人は嫌い。


 とりあえず机の中のゴミをゴミ箱捨てる。

 机に書かれたラクガキは消せないからそのままにした。


「おい、その机はどうした。」


先生が私に声をかけた。私を心配して…とかでは断じてない。


「学校の机だぞあの落書きを落とせ。」


先生が心配なのは学校の机。

 

「でも、私がラクガキしたんじゃありません」


消すのが面倒で反論した。マジックペンで書かれたものを落とす為には消毒用エタノール液を買うお金が必要だし、落とすのに時間もかかる。


「そんなことぐらい知っている。馬鹿にしてんのか?第一、そんな事を書かれるお前が悪いんだ。むしろ、書いてある事に共感できる。ほら、さっさとお前が消せよ。消し終わったら授業の時間を潰したから、体操着で廊下に立っていろよ」


今は真冬。外は雪が降っている、今日は特に寒い。

そんな日の廊下に薄手の半袖短パンで立つことは拷問でしかない。


 実は私、今の会話を録音しているの。だっていつも貴方は先生らしからぬ事を言っているでしょう。


 イラっときたからこの録音を証拠として教育委員会に訴えてやろうかしら?




くすくすくす


あははははは


 クラスが笑いに包まれる。


 その中には勿論茅斗も含まれる訳で。

 ついこの間までつき合っていたのに薄情な奴だ。なんでこんな奴とつき合っていたんだろう?


「止めて!!酷いよ!私の大切な妹なんだよ!!それなのに…それなのに……!!酷いラクガキをされたのは妹なのに、それを自分で消せだなんて……」


お姉ちゃんががたっと席を立って叫んだ。

 うっうっと嗚咽を混ぜつつ、涙を拭く。



 ふふふ。そんなキャラじゃないくせに。だって貴女の好きな言葉は〖人の不幸は蜜の味〗でしょう? 本当は泣くどころか、高笑いしているでしょう?



「悪かったよ……本当にごめん…」


そう言い、眉を下げ、口はきつく結ばれて、皆心底申し訳ないという表情で謝る。





─────────勿論私ではなく姉に。


 酷い事をされたのは私なのにね。皆は私ではなく姉を見ていて、私は目には入らないようである。

 中には女神様だ…!!と言って拝む者までいる。





 ねぇ、何で皆気付かないの?


 ほら、よく見て。


 お姉ちゃんの瞳には涙は浮かんでいる?


 ねぇ、本当に泣いているの?




 涙なんて浮かんでないし、口元をよく見て。

 ほら、これ以上ないくらい楽しそうに弧を描いているでしょう?










 今日も私はお姉ちゃんの“優しい姉”というイメージの為私を使っている。


 私、知っているんだ。

 今回もお姉ちゃんが机にラクガキしたこと。机の中にゴミを入れたことを。


 見ちゃったんだよね。

 なんとなくそうかな。とは思っていたけれど。

 字の形からしてね。もう少し工夫しなきゃ。皆にばれちゃうよ?






 覚悟していてね。お姉ちゃん。

 今は騙されておいてあげる。何も言わないでおいてあげる。


 けれど、それは今だけだから。



 …………………楽しみにしていてね。私の復讐劇を。じわじわと痛めつけてあげる。

虐めはこんな感じです。







姫花がラクガキ、机の中にゴミを入れる。


鈴香が目撃(←誰も気付かない)


更にクラスメートがラクガキをする。(姫花ちゃんが可哀想など)

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