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毎度毎度…

 どんなに酷いことはあっても地球は廻り、明日が来る。それに今日も学校がある。


ああ。怠いと思いながらドアを開ける。


「あ、お早う姫花!!」


ドアの前には彼の姿が。かなりの時間、姫花を待っていたらしく、頬と鼻は寒さで真っ赤になっている。


がちゃん


 うわっ嫌な者を見た。寒いのが嫌いな私には今日の寒さで機嫌があまり良くない。更にアイツを見てしまって機嫌は最高に悪くなった。


 きっと今のは幻想。今まで私を迎えに来た事なんてないもの。きっと私は疲れて幻を見てしまったんだ。そう言い聞かせる。まるで呪いをかけるかのように。


もう一度ドアノブを掴みドアを開けた。


そこにはやはり彼が居て、悔しいことに幻ではないようである。


「ちっ。なんだお前かよ」


機嫌悪そうに舌打ちをする。


 コイツなんかにお前とか言われた。死ね。

 心の中で悪態をつく。

 勿論表情には出していない。

 

「あ!おはよぉ茅斗!!来てくれたんだぁ嬉しい」


甘い声を出しながら小走りで来るお姉ちゃん。私の横を通った瞬間転んだ。


「きゃっ」


可愛らしい声を忘れずに。


転んだ姉を受け止める茅斗。大丈夫か?と言って姉の頭を撫でる。


「酷いっ!脚をひっかけるなんて!!鈴香の彼氏をとっちゃったようで悪いとは思うけど……!!ふ、ふぇーん」


またか…

 友達も親も全てこの方法で私の元から去って行った。何度も何度も私はやってもいないことをやったと言われて……。皆、姫花の言葉を信じる。こんなにもわざとらしい泣き声なのにどうして皆騙されてしまうのか。


「おい、お前!!何すんだ!お前の姉だぞ!最悪だな。」


 姫花の言葉を疑う者なんていない。

 普通ならわざと転んだと分かるはずなのに、姫花がそんなことするはずがない。本当に私がわざと転ばせたと思ってしまう。


 もう慣れてしまった。もう涙さえ出ない。

 心の涙さえ流れない─────。


ガツンッ


 目の前が一瞬真っ暗になった。 


「こほっ」


腹部に燃えるような痛み。


 どうやらお腹を蹴られたようだ。きっと痣になるだろうな。

 毎度毎度同じ展開。姫花が嘘をつき、それを信じた人が怒り、私に暴力をふるう。


茅斗に抱きついていたお姉ちゃんはこちらに顔を向け、にっこりと笑った。


そして口をパクパクと動かした。


い・い・き・み







─────────いったい私は何をしたっていうの?




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