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煌天の蒼月 第1部  作者: 天空朱雀
第4章 魔耀石の力
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第4話

一体何事かと皆は模擬戦を止め、一斉に声の主──一同が所属する隊の隊長、マディックへと視線をずらした。


「…あ、隊長だ。何かあったのか?」


「う~ん、何だろうね? とりあえず、話聞いてみよう」


訳が分からずきょとんとするセオとユトナも、マディックへと視線をずらせば耳を傾ける様子。

大体の騎士達が自分に視線を向けてくれた事で、マディックは改めて口を開いた。


「模擬戦の最中に呼び立てて、皆済まなかったな。…さて、呼び立てたのはそろそろ若手にも魔耀石を使わせようという事になってな。私含め、騎士としての経験が長い者は、もう魔耀石を操れるだろうが…」


ユトナにとっては聞き慣れない単語らしく、不思議そうに首を傾げてみせる。


「魔耀石…? 何だそりゃ?」


「俺も詳しい事は知らないけど、武器に装着したりする事で、魔術にも似た力を発揮する事が出来る不思議な石の事だよ。でも扱いが難しいから、騎士の中でもベテランしか持つ事を許されないんだ」


頭上に“?”マークを乱舞させるユトナに、さりげなく耳打ちして丁寧に説明してやるセオ。

そうこうしているうちにマディックは該当する者の名前を挙げてゆき、その中にはセオとユトナの名も含まれていた。


「……以上の者はこれから私の後についてくるように。別の場所で魔耀石を渡した後、実際に使って貰う。他の者は今まで通り訓練に勤しんでくれ。私からは以上だ」


マディックは淡々とそう言い放つなり、さっさと何処かへ向けて歩き始めた模様。

名を呼ばれて驚くのも束の間、置いて行かれる訳には行かないと慌ててマディックの後を追いかけるセオとユトナ。


ちなみに、すでに騎士としての経験が長いキーゼとネクトは魔耀石を使いこなす事が出来るため、セオ達とは別行動を取っている。


「いや~、それにしてもオレ達も選ばれるとは思わなかったぜ。へへっ、何かわくわくしてきたぜ」


「俺も正直、吃驚したよ。ユトナも、まだ騎士団に入ったばかりなのに凄いなぁ」


そわそわした気持ちを抑え切れないのか、マディックの後をついていく道中も逸る気持ちを抑え切れず、ひそひそと耳打ちする2人。

それに気づいているのかいないのか、マディックは2人を諌める事無くとある場所へと足を踏み入れた。


そこは、主に宮廷魔術師が自らの魔術の腕を磨く為に使用される広い空間。

騎士団が使用する訓練場と、広さも使用用途もほとんど変わりないと言っても過言では無いだろう。


興味深そうに中をきょろきょろ見回すセオ達をよそに、マディックはさらに歩を進めていきすでに此処で待機していた人物の元へと向かう。

ちなみに、セオ達の他にも選ばれた騎士は何人もいるようだ。


マディックは待機していた人物に何やら説明を済ませれば、その人物はふむふむ、と納得したような仕草をしてから改めて此処に集められた騎士達の姿をじっくり見渡す。

おそらくその人物は国の宮廷魔術なのであろう、一見まだ年若い少女のようにしか見えないが、その風格は見た目以上の年齢を重ねている事を匂わせた。

そして最も特徴的なのは、少女の頭から生えた黒い猫のような耳と、これまた黒猫のような尻尾であろう。


「…皆、ついてきたようだな。私は魔耀石についてはよく知らない故、今回はこちらの魔術師に説明をお願いした。詳しい事は、彼女に聞くといい」


「……、全く…面倒じゃのう。何故妾が騎士団のお守りなどせねばならんのじゃ。まぁ、特別に報酬も貰ったし、貰った金貨分の働きはしてやろう。まずは妾の名はセルネ=ネロガット、心して覚えておくが良い」


改めて一同に向き直ってから口を開くマディック、そして気怠そうにしつつも尊大な態度で自らの名を名乗る魔術師──セルネ。

セオ達はそんなセルネの態度に若干戸惑いを覚えつつ、それでも真剣な面持ちで彼女の言葉を待つ。


「さて、無駄話は嫌い故、本題を話すぞよ。お主らは、魔耀石を使うんじゃったな? まず、魔耀石には全部で六つの属性がある事は知っておろう。最初に、自分はぞの属性に素質があるのか、それを見極めて貰うぞ」


セルネの説明の通り、魔耀石にはそれぞれ火、水、風、土、光、闇の6個の属性が存在し、それぞれ一つの属性のみ扱う事が出来る。

これは自らの意志や訓練でどうにかなるものではなく、生まれた時にすでに決められているもの。

そして、自分はどの属性に適しているのか…実際に魔耀石を扱い確かめるのが、まず第一歩という事になる。


「あの…でも、どうやって見極めるんですか?」


イマイチ要領を得ていないらしいセオは首を捻りつつ、控え目に片手を上げながら質問してみる。

すると、セルネは面倒臭そうな眼差しを向けつつ、


「それはこれから説明する。今から1人一つずつ、魔耀石を配るぞよ。それを手に握り、強く念じれば少しずつ石の色が変わってゆく筈じゃ。その色によって、属性を判断するのじゃ」

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