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夏生詩集

山頂育ち

作者: 夏生

山頂生まれ、山頂育ち

思春期に下山を余儀なくされる


下山を拒む者続出

停滞する長蛇の列


上なら行くが、下はごめんだ!


大人のあがき、悲鳴を聞きながら

肩すくめて震える足で

それでも一歩踏み出した


立ち止まってあきらめて

宴をはじめる大人たち

宴に引き寄せれるこどもたち


それらを咎めることもぜす

ただ黙々と進んでいく老いた人々


静かなものを信じてついていく

うるさいものはいずれ消えゆく運命にある

から


霧がたちこめ、辺りは乳白色の海原

先が暗いのか、明るいのか

誰彼に聞いてみても、答えは

うなだれた視線の先にあるばかり


山頂からの眺めを思い出す

太陽に照らされ、守れた大地

煌く強く、大地にも満天の星が

輝いていた


そこが山頂である、とは誰もいわず

まだまだ上にある、金色の頂きを

目指していた


上ばかり見ていた



立ち止まって引き返す者

怒りにまかせて暴れる者

呆然とする者


皆、眩しげに上を見た

これ以上登れないなんて

道がないなんて


上に登るためにいらないものは

捨ててきた、とつぶやきが

あちこちから聞こえてくる


動いてみなければ、わからない


怖いもの見たさの怖いもの知らずは

うなだれた背中を越えて行った


上でも下でもどこでも

満天の星が煌くところがあると

信じて





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