第37話 結婚宣言
大体1000行を目安に更新してきましたが、週一更新も厳しくなってきましたので半分の500行にしました。
なので今までよりも大分短めですがご容赦下さい。
大怪鳥ロダンが天空より帰還した。
上空から見える城塞都市は戦闘の痕は残っている物の、既に最低限の整備は済んでおり商業ギルドが派遣した人員が片付けを行っていた。
彼ら、陽介とチキンハートがロダンに乗って降りて来るのを見て取った作業員たちが嬉しそうに手を振るのが見て取れた。
戦いは終わったのだ。
城壁の前にロダンを着地させると二人は地面に降り立ち、そのまま王宮へと向かった。
途中で態と敵を城中に引き入れた為に随分と荒れていたが、火事などで失われた部屋などもなく現在は女官や人足によって修復作業が行われている最中である。
その彼らもチキンハートが通りかかるとあからさまに顔を明るくしてお辞儀をしたり手を振ったりして親愛の情を示していた。
途中で付いた護衛の騎士と共に謁見の間の扉の前に立ち、合図を待つ。
「冒険者ギルド代表チキンハート殿、並びに交渉人長田陽介殿、御入室なされい!」
扉の前でポールウェポンを交差させていた身体の大きな衛士二人の内、右側に立っていた衛士が大声でそう宣する。
彼らはポールウェポンを外すと、重厚な造りの扉を押し開きふたりを謁見の間へと通した。
正面には玉座が聳え、国王陛下が座り、傍らに王妃が控えている。
玉座までの20メートルばかりの通廊には近衛部隊の高級将校5人と貴族達が並んでいる、だが元々この都市国家パレードは城塞都市でしかなかったので、貴族達の家族も含めて全部で50人に満たない人数に過ぎない。
その中に陽介の子供達も並んでいて、無事に帰ってきた陽介の姿を見て盛んに手を振っている。
もともとアットホームな雰囲気の王宮であるので咎められる事はなかったが陽介は目配せをしてエマナに抑えるように指示を出す。
ふたりは玉座の前に跪くと王の言葉を待った。
「二人とも大儀であった。報告を」
「はい。敵国王との一騎打ちに望んだ我々でしたが、援軍に駆けつけたPKFの航空母艦の艦上にて、長田殿の解呪を受けた敵国王の池面洋士から大魔王を名乗る魔法的存在が分離し、殲滅しました」
おぉと云うどよめきと共に陽介に視線が集まる。
陽介もここで顔を売っておくのも良いかと愛想笑いを返す。
キャーキャーと騒ぐ女性の声に気を良くして少し格好を付けて見てみると、自分の娘達だけが大騒ぎして浮いていた。
そんなに都合の良いことはそうそう起こらないのである。
少し恥ずかしい思いで顔を赤らめると、国王に向き直り陽介は報告する。
「国連停戦監視団の調停の元、今回の戦争の国際法廷が開かれます。現在この地で活動している調査団への調査権の付与と俘虜の取り扱いについてをよしなに」
「うむ。敵の首領の捕縛も手柄じゃが、全体の作戦設計の段階からの活躍。儂も悉に見させて貰った。論功行賞は国際社会での評価が定まった後となろうが、そうだな、長田殿が個人で負担した必要経費を先に支払っておくとしよう。お幾らかな?」
「さて、色々と使ったのですが、今回の作戦のみに限定すると。日本円になりますが。今回のお助け料は一億万円、ローンも可。ですね」
「……ローンが使えるとは嬉しい限りじゃな。財務大臣と相談して貰いたい」
一地方貴族から国王になったばかりでそれほど財産に余裕がある訳ではない(国家予算規模でのはなしだが)国王としては、陽介の話した金額が思いの外大きかった事に少々青褪めさせ、咳を一回入れると、仕切り直しとばかりにチキンハートを見て話を続ける。
「さて、今回の災難も冒険者ギルドの役割は大きく感謝のしようもない程だ。我々は冒険者ギルドを支援し、冒険者ギルドはこの地に住まい我らを助ける相互補完の関係にある。されど常に新たな感謝の気持ちを表明したい。そして優れた冒険者ギルドを導くギルド長にはこれからの活躍も祈念してモンスターの神に感謝の念を捧げようと思う。これからもよろしくな、チキンハート殿」
「はい、お互いの関係維持の為にも常にお互いの関係を意識して置くのは良い事かと。ただ、少しだけお断りしておかなければならない事がありまして」
そう言うとチキンハートは顔を赤らめて隣にいる陽介の顔を見た。
そして意を決して口に言葉を乗せる。
「今回の一件もあり、私の気持ちをハッキリさせる為にここに宣言します。わたくし、チキンハート事鳥山こころは結婚を機にギルド長の職を辞し家庭に入ろうかと思っているのです」
それを聞いた陽介は緊張に表情を堅くしてチキンハートの顔を見る、するとこちらを向いていたチキンハートと目線が合い彼女は耳まで真っ赤な顔をして俯いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
途中で邪魔が入った物の、ア・パ戦争は終結した。
戦争を仕掛けたアクアマンデ王国は10万人の兵力を編成しパレードに侵攻したのだが、侵攻部隊の大半が壊滅し、本土はPKFの多国籍軍によって陥落しており王族は国連停戦監視団の監視下にあった。
パレード側の戦況は防戦一方であったが、敵軍10万人のほとんどを捕虜として確保しており『負けなかった』以上の戦果を確保している。
横から殴り込んで来た第三勢力はPKF側からすると正体不明の武装勢力であったが、パレード側からの報告でゲーム時代に敵対していた冒険者ギルドのアイムジャスティスである事が判明していた。
彼らは宗教的結束によって意思を統一しており、地球の宗教の布教を積極的に禁止している条約に違反している為に国連側でも要注意団体として指定を受けることになる。
さて、国王を戦場で捕虜に取られたアクアマンデ王国は今回の戦争の調停を自国の首都にて行う事を宣言していた。
国連停戦監視団も施設の揃い地球との行き来が出来る次元通廊のある場所に近いこの場所は都合が良かったので、自衛隊の駐屯地を利用して戦力の展開と治安の維持を図ることになっている。
自衛隊は基本的に国連安保理の指示に従う事を基本方針としている事と、戦争前からアクアマンデ王国との関係が悪化し、軍事同盟が限定的に解消されており駐屯地からの撤退も視野に入っていた為に多国籍軍との関係も良好である。
次元通廊の管理は自衛隊が抑えているが、通行条件は多国籍軍関係で有ればほぼフリーパスに近い事になっている。
日本政府としては業腹だが、アクアマンデ側の暴走によって既得権益が失われ掛けていたのだから仕方がない。
戦闘が終了した後に艦内で休憩していたふたりであったが、三時間後に行われたミーティングにて今後の予定がローデン大佐から知らされており、チキンハートはメモりながらそれを聞いていた。
「国連の停戦監視団によって今回の戦争の経緯が調査され、それを元に国際法廷が開かれる予定だ。今回はPKFによって戦闘停止が成された事から公平に調査と裁判が行われる筈だが、侵攻したのがアクアマンデ王国側であり、パレード側は防戦一方だった事。敵兵の過半数を殺傷せずに捕虜に取った事。以上の事から調査団への調査権の付与と護衛を行う義務を持つ物とする。何か質問は?」
「捕虜の取り扱いですが、武装解除は済んでいるのですけど労働を課しても宜しいのでしょうか」
「捕虜については、武装を施して戦闘を強要したり、過酷な肉体労働は戦争犯罪となるので止めた方が心証が良くなると思われる」
「調査団への調査権ですが」
「戦闘行為が行われた場所、政府首脳の証言や記録の提出、兵士達の証言、その他の証拠は出来るだけ提出していただきたい」
「弁護人については?」
「国際法を熟知した辣腕弁護士を紹介しよう。君たちは侵略を受けた側であるし、負けなかったのだから相当に有利な立場にいることは確かだ。安心したまえ」
「ありがとうございます。いやぁ、正直いちゃもん着けられてウチらに非道い判決が出るんやないかと心配でたまらんかったわ」
「ふむ。心配しなくても大丈夫だろう。あ、そう云えばアクアマンデ王国の国王が目を覚ましたそうだが、面談するかね」
「はい、是非」
チキンハートは洋士に関する注意事項を思い出しながらそう答えた。
彼は感情を誘引するフェロモンを大量に発生させている事が推定されていた為に、完全擬体に搭載した循環系のフィルター機能を最大限にすれば問題ないだろうとチキンハートは考察した。
現に決着を着けた際には問題なかったのだから。
ローデン大佐がチキンハートの返事を聞いて艦内電話で何処かへ連絡を入れると、数分後には準備が整ったと連絡が入った。
三人は連れ立って面談室に設定された士官室へと向かう。
狭い艦内通路を通って歩哨が警戒する扉の前に立つ。
ローデン大佐がまず室内に入り、それからチキンハートと陽介を招き入れた。
室内には警備兵が自動小銃を抱えて警備しており緊張感が漂っていたが、机の前に優雅に座っていた洋士の印象でまるで宮殿の一室であるかの様に華やかな空気が漂っていた。
それを確認した陽介は、洋士から大魔王の呪縛が解けて内面からの違和感が解消して、そのカリスマが完全に発揮されている事が理解できた。
室内に入る前にチキンハートに確認した所、対ケミカル対策はバッチリや、と云っていたので不安を隠していたが、これはどうかと不安感が擡げてきた。
洋士は室内に入ってきたのが妙齢の女性である事を確認すると立ち上がり、優雅な動作で一礼する。
「やあ、チキンハートさん。私の不心得により魔王の呪いが掛かっていた為に貴女の様な素晴らしい女性に迷惑を掛けてしまい、誠に忸怩たる思いで一杯です。既にあなた方が魔王の仲間でない事は確信しております。どうかわたしを許していただけますか?」
そう言いながら洋士は自然な雰囲気でチキンハートの右手を取り口づけをした。
それはまるでおとぎ話に出てくる王子様そのものであり、乙女の琴線を直撃するロマンに溢れた濃密な甘さを含んだ空気であり、チキンハートはその波に呑み込まれてしまう。
「あ、はモガッ」
桃色の空気に一瞬にして染められたチキンハートは洋士の言葉を肯定しようと口を開くが、その開き掛けた口を背後から陽介が塞いだ。
「おっとそこまでですよ先輩。こんな所で戦争責任の追求を放棄させる言質を取ろうだなんて、相変わらずじゃないですか」
「おい陽介。今私は彼女と話をしているのだぞ。一国の国王と強力な組織の長との会話を邪魔する権利はお前にはない」
「精神操作するなと言っているんですよ。以前に会った時よりも強力になっているじゃないですか。そのエロ光線を抑えてからにして下さい」
「随分な言われ様だな。だがまあ良い、チキンハート、君はそこに座りたまえ。陽介はその横で跪け。そして私たちの話が終わるまで口を噤んでいるのだ。これは温情だぞ? 私から魔王の呪いを取り去った事へのご褒美だ」
「何を訳の分からない事を。と云っても椅子が無いから隣で立ってますよ」
陽介が室内を見渡して、この部屋には机が一つと椅子が二脚しかない事を見て取っていた。
なのでチキンハートに座らせて自分が立っていることを選択したのだ。
跪くなど論外である。
「まったく、勇者の指示に逆らうなど、宮刑ものだぞ。控えたまえ」
「だが断る。さて、今後の取り組みについてですが、先輩は裁判の時まで収監して貰いますが宜しいですね?」
「おいおい、国には私の帰りを待つ1,098人の奥さんとその数倍の子供達が居るのだよ? 一刻も早く姿を見せるのが恋人と親としての義務じゃないのかね?」
「それは貴方の私的な都合であって、戦争に負けて捕虜になった立場の人間の言葉じゃないです。チキンハートさんの意見は?」
陽介がそう言って水を向けるが、遂に対NBCスペックの体液濾過と解毒・分解を行う人工内臓の機能を超えたのか、洋士の発散するフェロモンに当てられて顔を赤らめたチキンハートが恋する乙女モードで語り出していた。
「はぁう。洋士様ってキラキラしてて素敵ですぅ。やはり戦いの時は魔王の所為でその魅力が殺されていたのですねぇ」
「おーい、チキンハートさん。正気に戻って」
「はっはっは、いえチキンハートさんも素敵な魅力に溢れた素晴らしいお方です。この様な人に愛を囁くのは私にとっての義務、いえ、自分の意志で貴方を愛している事を告白しますとも」
「はぁぁぅ。凄い心臓がドキドキしますぅ。貴方の一言が私の心をかき乱して、もう、もうもう、どうにかなっちゃいそう」
瞳の焦点が合わなくなり、いつもの凛々しさは10万光年の先に置いて来たみたいな様子で熱い息で興奮状態に陥ったチキンハート、それを見た陽介は戦慄と共に畏れ慄く。
「なにこれ、先輩のエロ光線が物凄くパワーアップしてるんだけど」
「ふふ、以前の私とは違うのだよ。自信がなかった頃の私はまた振られるのだろうと心の何処かで不安に思っていた。だが、彼女たちが私の自由を愛していてくれた事を知ってからは、心の底から自信を持って云う事が出来る。さぁ、愛しの君、僕の愛を受け入れてくれるね。結婚しようよ」
洋士はそう言うとチキンハートの手を取り魔法のポケットから取り出した、祝福の魔法が掛かった婚約指輪をさり気なく彼女の左手の薬指に填め、軽くキスをして自分の体臭をチキンハートの鼻腔に充満させる。
そして凛々しさと優しさを固めて作った様な顔を彼女の前に近付けながら目線を合わせて愛を囁いた。
だが、チキンハートからの色好い返事はなかった。
感情が高ぶり過ぎた彼女の意識は朦朧となり、もはや半分気絶したような状態であったのだ。
それからは自分の寝台にチキンハートを連れ込もうとする洋士を陽介は実力行使で阻止して、診療室にチキンハートを運んだ。
幸いにしてチキンハートの擬体に備えられた体液の濾過能力が全力になっていた為に鎮静剤のポーションを飲ませて暫くすると落ち着いて話が出来るようになっていた。
彼女に洋士の印象を聞くと、強い意志とかどうのよりも、脳の活動を化学反応から制御されていて、何を云っても激しい多好感が襲ってきて相手の云うがままになってしまう、との事であった。
取り敢えずここにいてもどうしようもないので、大怪鳥ロダンに乗ってふたりは帰還する事を決めて、休憩の後に帰還の途に付いた。
そして冒頭への場面へと戻る。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
チキンハートは意を決して国王へと告げた。
「わたくしチキンハートはアクアマンデ王国との親善の為に池面洋士国王と添い遂げる事を宣言します」
それまで隣にいた陽介との結婚話だとばかり思っていた国王を始めとする一同は激しく驚き、そして困惑した。
どう云う事なのか、それはこの国を裏切り、売り渡す行為なのではないかと激しい疑念が渦巻く。
「チキンハート殿。だがそれは、私たちを裏切ると云う意味なのか? それと陽介殿とそなたは良い仲だったのでは?」
「いえ、確かに陽介はんとうちとはそう言う仲でした。せやけど洋士はんはもっとずっとええ男なんですわ。比べ物に何か成りしまへんもん。怜悧で朗らかで眉目秀麗な勇者さま。魔王の影響が無くなったあの人はもう途轍もなく素晴らしい人やし、陽介はんへの好意なんか霞んで消えましたわ。あ、それと王家の未婚の娘はんも一緒にどうですやろか。洋士はんが握らせてくれたメモにも親善の為に王族の娘はんも嫁に欲しいって書いてありましてん」
「しかし現在王家には未婚の娘はプラム姫しか居らぬが、直ぐにマリオンと結婚式を挙げる予定だぞ。悪いが無理だな」
「せやかて、国の為ですえ? 今回の戦争に勝って有利な条件を勝ち取っても、結局はアクアマンデ王国が地理的要因で政治的経済的に有利に立つんやから、今の内から友好的にして置いた方がお得やし」
「う? う~むむ。だが、流石にそれは無いだろうよ」
「王家の人間は国家の為の道具、姫は政略結婚による国家間のカスガイやないでっか。よ~く考えた方がええと思いますえ?」
それまでは自分の組織の事、国の事を第一に考えて行動していたチキンハートだったが、視点が変わった途端に自分の嫁ぎ先で有利に活動できる様にするべくアクアマンデ王国と、都市国家パレードと冒険者ギルドの繋ぎを大きくしようと行動を開始し始めていた。
長い目で見れば確かにそれも正解なのだ。
だが、いきなり相手との友好関係を構築しようと云われても、ハイそうですかと頷ける訳もない。
国王は迷いの表情を浮かべて懊悩する。
「うむむむむ。はっ、陽介殿は何か意見が! おお?」
「…………orz……ぐぬぬ」
国王が救いを求めて陽介に話を聞こうとするが、陽介は激しい脱力感と共に床に這い蹲っていた。
その姿は哀れさと共に『The 敗北者』と云う作品名で美術展に出品されそうな悲壮感を漂わせている。
彼を見つめる貴族達も憐憫の情をもよおしていたが、敢えて近付こうとする者も居なかった。
だが娘たちは周りの雰囲気に構わず駆け寄ると陽介の周りに座り彼の頭を撫でたり肩を叩く。
「お父様、気にしないで下さい。お父様には私たちが付いています。私たちはお父様を裏切りません、絶対に」
「でも、女の子はお嫁さんに行ってしまうからなぁ」
「お嫁さんには行きませんっ!」
「うへぇ? いやいや、小さい頃は親にそう云う娘が多いそうだけど年頃になったらそんな事は忘れて、何処かの馬の骨……いやいや、女の子は花嫁になるのが当然ですよ」
「お父様、私たちはアクアマンデ王家の正統な血筋の人間ですよ。婿を貰うに決まっているじゃありませんか」
「え、あ、そうか……ってアクアマンデ王室の後継者はこの前生まれた男の子だろ? 今回の成果でも王位継承権にまでは届かないよ」
「ですから、例の件は進めておいて貰いたいのです。この地も安全て訳でもなさそうですし」
「まぁ。計画は進めておくつもりだったから。良いんだけど」
「流石はお父様」
「皆もそれで良いのかい?」
「「「「「「「「「はーい」」」」」」」」」」
「分かった。君達の意志が固いのなら僕もそれを目的にする事にしよう」
そう言うと陽介は目的に必要な資金と権力を算定し始めた。
とは云え、現在は王家の謁見の間にいるのであり、王様の御前である。
礼を失しては今までの成果も御破算になってしまう、慌てて姿勢を正すと子供達を後ろに整列させて王に向き直った。
「失礼しました国王陛下。国連PKFの手により侵略の魔の手から逃れられました事、誠に幸いであります。今後も共に敵に対処して行く事を願います。では、今後行われる事前会談の資料を纏めようと思いますのでこれにて失礼します。それから、戦闘中に我が娘等を護って頂きありがとうございました」
「「「「「「ありがとうございました」」」」」」
それまで見た事も無いほど意気消沈していた男だったが、自分の子供を前にして突然ヤる気を漲らせたのは同じ親として好ましいものであり、気持ちを理解できたので好意的な眼差しで国王は陽介を見ることが出来た。
「なに、親族に追われ亡命した姫君達を護ることが出来たのは名誉な事だからな、気にするな。今後とも頼むぞ」
「は、我が子等の為に」
「うむ。期待している」
キャイキャイとプラム姫に洋士の良い所を吹聴しまくり説得を続けるチキンハートを余所に、陽介と子供達は王宮を去った。
既に営業を再開していた高級ホテルへと足を踏み入れた陽介達は連日の疲れもあって直ぐにベッドに倒れ込み、そのまま翌昼までぐっすりと惰眠を貪った。




