プロローグ
プロローグ
西暦2020年にアメリカにて開催されたG8主要国首脳会議。
今回の会議に出席する面々は些か濃いメンツが多い事で知られていた。
各人が格闘技の段位を持つ武闘派首脳陣と呼ばれたG8+中国の各位は、会議終了後に恒例となった記念写真撮影に臨んだ。
記念写真の順番は主催国を中心に任期の長い順に内側から並んでゆくのが通例だが、アメリカ開催の時のみ通例を無視してアメリカに親密な首脳が大統領の横に並ぶ事が多い。
各国報道陣の前で首脳たちはそれまでのシカメ面を解き、にこやかな表情で撮影場所である庭園へと出た。
通例ではない並びなのでアメリカ大統領の顔を見ながら彼らは列を作り並び始める。
一見すると親密そうな雰囲気の中、撮影が始まった。
だが、報道陣のカメラからフラッシュの光が瞬き始めた時、突如各国首脳がそれぞれ地面に浮きあがった幾何学模様の光に包まれて、その姿を消失させてしまったのだ。
SP達は直ちに駆けつけるも何の痕跡も見いだせなかった。
彼らは警備本部へと緊急連絡を飛ばし、瞬く間に敷地内と周辺及び上空を閉鎖する。
正に水も漏らさぬ猫の子一匹抜け出せない厳重な警戒網が張り巡らされたのであった。
だが、肝心の首脳陣の姿は何処へも見いだせなかったのである。
テレビにて中継されていたこともあり、そのニュースは瞬く間に全世界へと駆け巡った。
警備担当のアメリカ政府の行動は素早く、緻密で、入念だったと云える。
国内外の情報組織や治安維持組織、そして軍事組織をも最高レベルの警戒態勢に引き上げ、関係する情報が無いか強硬に調査した。
「これはアメリカ合衆国の威信を懸けたオペレーションである。」と3時間後にホワイトハウスにて行われた副大統領による宣言が行われるに至った。
直ぐ様残った情報の分析が行われる。
だが、或る意味、凶悪犯に対する物よりも監視の目が多い衆人環視の中、高性能一眼レフカメラやテレビカメラも回っていたにも関わらず一瞬でいなくなっている事しか判明しなかった。
スローモーションでハイビジョン撮影されたカメラの映像を確認すると、パッパッと瞬くフラッシュの閃光の中で各首脳の足元に光の点が現れた、コンマ6秒経過後に真円と六角形からなる光の線が描かれ、コンマ3秒経過後に各首脳の姿が消失、それと共に足元の光の線も消失し、背景が見えるのだ。
数ヶ月ほど全世界が緊張に包まれながらもアメリカの正規、非正規組織による調査が行われ中間報告が副大統領から昇格した大統領により行われたが、未だに原因は不明であった。
技術的にはあり得ないが現実的な意見としては某国の陰謀説や、胡散臭いところでは宇宙人によるアブダクション説などが挙げられるが、その原因は杳として分からなかった。
ただ、消失時に撮られた数多くの写真の中、数枚の写真にシャーマン的な扮装の女性が写っていたという噂が非公式に流れただけである。
もう一つの異空戦騎が滞っているので新シリーズを始めてしまいました。
同じ設定で異なる世界ですが同じ舞台です。
ではでは。