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インターミッション・中国の場合

 この小説はあくまでフィクションです、現実とは違う事を念頭に置いて読んで下さい。

 特定の国に対して偏った設定が成されています。

 中華人民共和国に対して好意しか持っていない人は読むのを止めた方が無難だと思われます。

 正直ここまで酷い事はしないでしょうし。

 異空戦騎 パラレルワールド大競争


 インターミッション・中国の場合。


 中国の国家主席は比較的若いとされる60代の人物だった。

 若い頃に人民解放軍の軍事教練にて京劇風格闘術を研鑽し、現在に於いても鍛錬を欠かさない生活を送っていた。

 勇者召還にて異世界に呼び寄せられた彼は勇者の装備を身に着け、無事に魔人の息の根を止めることに成功した。

 だが、その直後に響き渡った魔王の人類抹殺宣言に伴い、若き女王より提案された『勇者の軍勢』計画を聞き、それを国益に結びつける事を画策した。

 勇者の軍勢計画とは、異世界とこの世界の間に通廊を開き、勇者の故国から軍隊を派遣して貰う物だ。

 猶予期間は一年間、その後に魔王の軍勢が侵略を開始すると宣言されていたのだ。

 門を開く目標となる魔法装置を携え、逆召還魔法つまり送還魔法にて自国の政府機関へと戻った。

 彼は国家運営の長老に話を付けて毛主義の異世界バージョンである中国版『勇者の軍勢計画』、『第二次大躍進政策』を発動した。

 四川省の一角に一大鉄道施設を敷設し、多量の人員と物資の移送を支える設備を整えた。

 この当時、中国内部は歴史上何度も行われて来た易姓革命を繰り返すが如く、内患を病んでいた。

 高学歴を持っているにも関わらず就職先が無く不平不満を抱えるアリ族と呼ばれるインテリの若者達、バブルが弾けて建設ラッシュが終了し地方から建設業に従事していた農村戸籍の無職であるモグラ族と云った、『共産党に対して』非常に強い不平不満を抱いていた者達が大勢、無数に存在していたのだ。

 勇者が帰還する前までは、その内患を中国の外へと逸らす為に反日教育を主軸とした外征政策を推し進めており、その一環として中国の革心的利益を守るため日本国沖縄県を中華人民共和国琉球自治区とすべく尖閣諸島の軍事侵攻を実施していたのだ。

 人民解放軍を進軍させて、反撃がなければ軍の精強さを誇り、反撃があれば敵国の理不尽な攻撃を非難するべくマスコミに流す準備を進めていた。

 その事前準備として、中華人民共和国の国家主席が行方不明になったのはアメリカ合衆国の陰謀であり、混迷した世界情勢の中で中華人民共和国が被害を被る事を逃れ、中華人民共和国の発展的経済活動に必要な革心的利益の確保を行うという名目で、空母を含んだ海軍と尖閣諸島駐留の陸軍部隊を上陸させようと軍事作戦を開始した。

 何故この時に実際に軍事侵攻などと云う手を打つことが出来たのか、それはアメリカ合衆国が海兵隊と駐留部隊の一部を突如アメリカ本土へと引き上げると云う情報が流れたからだった。

 後に分かるのだが、この時に異世界に召還されていた大統領が帰還し、大統領の海兵隊は魔王討伐の作戦行動の為の準備を始めていたのであった。

 これはフロンティア精神と云うアメリカ魂が爆発した結果であり、新たに現れた未知なるフロンティアがどれほど迄にアメリカ人の心を捕らえたかが窺えるエピソードである。

 少なくとも沖縄を手薄にして日本に危害が加わった時に、アメリカの得る利益が失う利益よりも大きいと判断されたのだろう。

 よって沖縄周辺の軍事バランスは一時的に崩壊し、中華人民共和国共産党政権に軍事的手法の採用を躊躇わせなかったのだ。

 実際には日本国海上自衛隊の海上海中戦力と航空自衛隊の対艦攻撃部隊による迎撃を受け、多大な損害を被むる事になるのだが、この時点ではそれはまだ分かっていなかった。

 後にアメリカ海軍の増備により、沖縄本島や尖閣諸島、石垣島への手出しは適わなくなったのだが。

 ここに来て共産党政府は中国国内にいた観光客と日本企業関係者を逮捕監禁し日本資産の没収を実施、大使館関係者と民間人数名を処刑した上で日本政府に脅しを掛けてきた。

 更に日本国内の中国共産党が好きすぎて堪らない平和団体の一部が自衛隊基地の周辺で抗議活動を行った挙げ句に基地周辺の民間施設に対する破壊活動と「虐殺した中国人の数だけ自衛隊員も死ぬべきだ」と小学校教諭が自分の生徒である自衛隊員の子供を陵辱殺害する事件が発生した為に防衛活動が一時中断される事態に発展した。

 当然の如く国内のみならず国外からも第二のクウェート侵攻に匹敵する悪行であると非難の声明が発表され、中国に対する経済制裁や国連決議が提議されるなどの事態に発展し、流石の共産党政府も人質解放などの手を打つしかなかった程だ。

 その様な状況の中に帰還した中華人民共和国の勇者は、新たなる革心的利益への転換を提案し首脳部を説き伏せた。

 成果よりも損失の大きい日本の尖閣諸島に対しての軍事侵攻を一時棚上げし、自らの正当性を表明した後に出動していた人民解放軍を中国本土へと引き戻した。

 人民解放軍の部隊は故郷以外の場所に派遣されて「民兵狩り」、即ち中国各地に存在し暴動を繰り返していた俗に言う民主化を要求するアリ族と不満分子であるモグラ族を無差別に連行して民兵として簡単な訓練を施し人民服や青竜刀や銃火器及びサバイバル道具を付与し、通廊の開通を待った。

 だが、民兵組織通称「勇者の軍勢」の中に現役の人民解放軍の軍人は居らず、全員が土地の開墾と軍務を兼務とする屯田兵であった。

 これはかつて都会の住民を農村へと送り込んだ「大躍進政策」の結果を踏まえて画策された通称『第二次大躍進政策』であり、目的を完遂することよりも手段を重要視した作戦である。

 ここで正規の党軍である人民解放軍を投入しなかったのは例の転移事件以降に中国が画策した軍事侵攻が影響を与えていた。

 投入を躊躇ったのは周辺諸国の報復を恐れていた為である、となっている。

 そもそもの原因である軍事侵攻は、中国が主張すべき正当な『革心的利益』を確保する為に「中華人民共和国の発展に欠かさざるべき、重要で必要な利益を有する中国の領土であるべき土地を周辺諸国が不法に占拠している」として軍事力を用いてでも断固として対処した正義を示したのだと主張していた。

 その正当な事実に対して、理不尽にも周辺諸国が軍事介入を画策して来る事を懸念し、精鋭の人民解放軍は国家防衛の任務に備えて対応している為、異世界への助勢は民兵組織に一任せざるを得なくなったのだ、と云う非難の声明を諸外国に対して発表していた。

 というのは口実で何時いつ往来おうらいが出来なくなるか不明な場所に正規の軍隊を投入する事を嫌ったからである。

 もしも彼らの政治力の根幹である軍事力が無くなったらば、現政権の内部崩壊は明らかであったからだ。

 そこで憲法に記載されている党が指導するべき軍事組織のひとつである民兵を組織し、異世界へと侵攻を開始する事が計画されたのである。

 六ヶ月後、門が開かれ第一陣が門の中に入って行く。

 その間も中国各地から人民解放軍の人狩り部隊により男性達が着の身着のままの格好で強制徴収させられ、トラックの荷台に詰め込まれて行く。

 駅にて客車に詰め替えられた彼らは、三日三晩の車中生活を続けた後に新設された駅にて下車し、配られたカーキ色の人民服に着替えさせられて簡単な軍事訓練が行われて行く。

 その中でも人民解放軍に所属していた事のある人材は抜擢されて高い地位に昇る事が出来た。

 予告されていた魔王の侵略が始まり一年の後、中国が送った屯田兵の数は合計三億人に上った。

 彼ら屯田兵の最初の仕事は王国と周辺諸国の侵略であった。

 屯田兵達には事前に、土地の開墾は現地人が行ってくれている、それを頂けば良いのだと説明されていた。

 数を推して王国側の門に出た屯田兵達は町に住む王国国民の年寄り、男性、少年等を殴殺し女性は陵辱され町々は占拠されていった。

 王国側も最初は援軍の報に喜んでいたのだが、方々から寄せられる悲報に驚愕し、憤怒した。

 エメラダー女王が勇者に対して「約束が違う」と抗議するも話を聞く気もなく、通廊を近代兵器にて武装された人民解放軍の精鋭部隊によって守られて居た為に、王国親衛隊の逆撃は失敗し通廊封止を行い侵入を防止する等の手出しは出来なかった。

 叛乱を起こした角で王族は捕らえられた。

 宗教を禁じた共産主義に相容れない神を信仰する本拠地である神殿は破壊され尽くし、神官は思想改善の為に強制収容所で死ぬまで強制労働を強いられた。

 王国内を蹂躙し、周辺諸国を平定した民兵組織は破竹の勢いで近付いてくる魔王軍の進撃を防ぎ、逆撃に出る準備を進めていた、焦土作戦である。

 民衆から食料を取り上げ、河の堤を切り田畑を泥沼に変えて、森林を焼き払い、井戸に毒を投げ込み、街に火を放った。

 日中戦争中に自国で行った抗日作戦を焼き直した作戦を展開したのだ。

 その為に現地民に多大な被害が出ていたが、指揮官たる勇者は『大戦略の前にはそんな些細な事は毛ほどにも気にしない』と云った態度で平然としていた。

 そして魔王の侵略の尖兵が近付いてきた。

 魔王の軍勢は王国の軍を圧倒する五百の魔人族と五十万の大小の魔物によって構成されており、津波の様に王国を飲み込むはずであった。

 だが逆に近代化された人民解放軍では行われなくなった過去の遺物、共産主義に付き物の彼らが得意とした人海戦術に襲いかかられた。

 魔王の軍勢と云う津波は、三億人と云う屯田兵の大津波に呑まれて奮戦虚しく消耗し、壊滅した。

 だが屯田兵の歩みは止まらなかった。

 もともと軍屯という制度は、古代中国の時代から存在する。

 明治期に行われた日本に於ける屯田兵制度では、家族を伴い分譲された土地を開墾し、いざと云う時は軍人として軍務に就くと云った物であったが、中華文明に於ける屯田兵とは軍隊にて敵国を侵略し、適齢期の女性以外を虐殺、奪った土地や建物や嫁となる女性達を接収し、その地に定住すると云った物であった。

 基本的にチベット、ウイグル、モンゴル、満州に対する政策と似たようなものだ。

 だが、その数は三億人である、占領した王国の女性だけでは足りなかった。

 彼らは当然の如く周辺諸国にも襲いかかり、魔王領へと侵攻した者達の中には人型モンスターであろうとも女性達は容赦なく陵辱し、大半は虐殺された。

 その様は大発生した蝗の如くであり、全ての物を食い散らかして行く。

 水海みずうみバン・シュワー湖の水産資源は近代漁法を用いて無計画に取り尽くされ、人魚達は不老長寿の妙薬として容赦なく狩られ、緑豊かな山林は禿げ山と化し、長閑のどかな草原は荒野と化して行く。

 勇者の装備によって魔王の討伐が終了した後も屯田兵の徴収は続けられジャッジメントの時までに更に農村籍都市籍を問わず2億人の無生産者である老人男女や無職の中高年を含む男性がファンタジー世界へと放逐された。

 屯田兵に対する物資の補給はなく、全てが現地からの徴収とされていた為に生活は困窮していた。

 その為に通廊を占拠して中華人民共和国本土へと帰還を試みる人々も居たが、通廊を管理しているのは近代化装備に身を固めた人民解放軍の軍事教練にて鍛えられた本物の軍人達の部隊である、棒切れ片手に殴り掛かった謀反分子は敢えなく射殺されていった。

 異世界開拓と云う先取的国家事業に参加した人民による人民的英雄行為の結果、中国は共産党政府に対する不穏分子予備軍である人々と国家の負担となる無駄な人々を異世界へと追放する事に成功したのである。

 中国本土の都市に不法移住していた農村籍の人間を中心に余剰人口が激減した為に、国家の発展の障害となっていた失業者率が大幅に緩和され、新たな人的資源の発掘が行われる事になった。

 その結果、就職口が無くて無聊を囲っていた有能な若年層に新たな就職先を確保する事が出来た。

 また、暗黒街民チャイニーズマフィアに異世界に多数作られる事になった中華街チャイナタウンに対する便宜を図った事により都市部の健全化、若しくは暗黒街の中国共産党による直轄化を図り、より一層の全体主義化を行う事とした。

 これらの施策を実行する事により世界有数の人口を持て余していた中華人民共和国は最低限の投資で口減らしを実行し、現代社会を運営する上で適正な人口になった事でエネルギーや物資、食料に余裕が出来た為に都市部の再開発によるインテリジェンス化を押し進め、工業区の新設により煤煙排水等の公害対策を実施し、水資源の浪費を抑えて痩せ細った土地の地力回復に努めて農地の近代化と自然保護を可能とした。

 こうして金とコネを持たない生活弱者を切り捨てる事で、共産党員と都市戸籍を有する裕福な中国人民は伝説に伝わる古代中華文明の慇王朝以降の澱んでいた社会をリフレッシュして、新たな繁栄を始めていったのである。

 めでたしめでたし。


 PS.但し、文化大革命にて精神文化的なバックボーンを破壊し尽くしていた為に自己中心的で拝金主義的な行動は収まらなかったので、百年も過ぎたら元の木阿弥だったと云う。

 反日行動を基本とした社会規範では、教育を施す程に歪に育って行くばかりであったのだ。

 彼らは未来を切り開く為の新たなる価値観と社会規範の構築に失敗した。

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