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第13話 帰還の勇者

 年内投稿はこれまで、また来年もよろしくお願いします。

 風邪引いた、喉が痛し。

 異空戦騎 パラレルワールド大競争


 第13話 帰還の勇者


 連絡が入ったのは夕方の事だった。

 王宮からの使いが陽介の屋敷を訪れ、「勇者がボートで帰還を果たした」と伝言を伝えて来たのだ。

 陽介は使いの者に礼を言い現在の勇者の居場所を訊いたのだが、今は女王陛下と面談を行っており会えないと陽介は告げられた。

 だが、彼が一緒に連れてきた外務省の役人が女王陛下との謁見が終了次第この屋敷に連れて来られるので、持て成しを頼むと勇者から伝言があったとの事。

 陽介はそのお願いに了承したが、正直言って「専門学校中途で異世界へとドロップアウトしてしまった自分が、良い所の大学を卒業して国家公務員の中でもエリートのキャリア組の人と会うのはイヤだな」等と考えていた。

 取りあえずティアンムを呼び、勇者様が王都へと帰還した事と勇者が連れてきた日本国の役人がこの屋敷に来るので食事の用意を頼んでおいた。


「ほぅ、ニホン国の役人でございますか」

「ええ、恐らくこの国の事は触り位にしか知らない筈ですので、少し贅沢な位の食事内容の物を提供して下さい」

「なるほど、食事を見ればその国の重要な穀物類や肉野菜の一端が知れますからな。了解致しました、では一品だけ、王都の特産品を出して置きましょう」

「へえ、何を?」

「やはり持て成しとなるとあの料理が欠かせません。アクアマンデ王国と言えば水海、水海と言えば一番大きな獲物は鯨です。本日は空鯨の良いのが入りましたので、ご期待下さい」

「へえ、空鯨って云うのは?」

「体長1レルデス(約8.3メートル)と8レルカナ(約6.64メートル合計約15メートル)程のひれの長い鯨で御座いまして、海竜に追われたりすると6レルデス(約50メートル)程水面から跳躍しますので、空を飛んでいるようだと名付けられたと言われております」


 ティアンムがさらっと数値を述べるが、頭の中で一々(いちいち)日本の単位に計算し直している陽介の暗算能力は残念な物であった。

 その為に正確な数値は出てこなかったが、実体験で覚えていた大体の感覚で数値を把握する。


「(え~と12~14メートル位か? 計算がややこしいんだよ! 暗算苦手なんだよ<泣>)飛び魚みたいだ、でも魔法のある世界とは言え流石に空を飛ぶ鯨はいないようですね」

「左様ですね、伝説では大海洋に空を飛ぶ白い巨鯨の話もありますが、実際に見たという話は聞いた事がありませんので」

「この世界の伝説って実は実在していそうで油断ならないですけど、分かりました。では夕食を楽しみにしています」

「畏まりました」


 陽介が外務省の人間を待つ間に、書斎に保管しておいたこの国のレポートを並べて復習していると、机の横のベルが鳴った。

 一階事務所の受付に備わっている各階の呼び出しボタンに連動して音が鳴るようになっており、簡単なまじないが掛けられている工芸品アーティファクトである。

 陽介は外務省の人間が来たのかと思い、書類を文箱に入れて階段を降りていった。

 一応、失礼のない程度の服(この国で買った洋服)を着込んで階段を降りて行く。

 一階の事務室に顔を出すと受付嬢をしている事務員の女性が頭を下げて用件を告げる。


「旦那様、『ニホンコク ガイムショー』の方がこの手紙を持って面会に来ました、勇者様のサインが入っていたので応接室の方へと案内しております」


 そう言いながら件の手紙とやらを陽介の前に差し出す。

 手紙の表には勇者マエダのサインが記されており、宛名は長田陽介殿となっていた。

 現在の陽介は前田の部下となっているので問題はない。

 手紙には外務省の役人の杉田大作参事官が日本の先兵としてこのアクアマンデ王国の事を調査に来たので、もてなして貰いたいと言う大体伝言であった事と同じ内容だった。

 ふむふむと頷くと陽介は応接室の扉をノックして室内に入る。

 そこには怜悧な雰囲気の黒いフレームの眼鏡を掛けた三十代の男性がキチッとしたスーツに身を包みソファーに掛けていた。


「こんにちは、えーと杉田参事官。長田陽介です」

「やあ、外務省の杉田だ。幾つか質問があるのだが、いいかな」

「ええ、モチロンです。私の知っている事ならお話しします」


 陽介は久しぶりの日本語の会話に少々心を弾ませながら、向かい側のソファーに座る。


「キミのレポートを読んだけど実に読みづらい、ちゃんと教育を受けて来たのかい? 何処の大学を卒業して来たの?」


 だが、彼の放った言葉は、いきなり攻撃的な物だった。

 だがしかし、陽介的には最初から大学に行こうと言う気もしなかった様な人間なので、こう言われても仕方ないなと思ってしまう。

 何しろ学生時代はそれほど勉強熱心では無かったのだ。

 だがどちらかと言うとこれは相手を貶める事で自分が優位に立ちたいと云う戦術だろう。


「……いえ、専門学校に在籍していましたが、この世界に来てしまったので、最終学歴は高卒です」

「ああ、だろうね。そんな感じだよ。うん、もう良いから。ゴクロウサマでした」

「あ、そうですか。自衛隊の駐屯地の候補地の方は」

「キミ、素人が出しゃばってもプロの我々の邪魔になるだけだよ、我々が直接王国と交渉するから、その件に関しては口出しをするな」

「あ、はい。そうですか。一応大使館の候補の方も調べて置いたのですけど」

「あっははは、おいおい、国交も樹立していないのに大使が来る訳ないだろう。良い所、参事官だから領事館なら分かるがね、それ位、常識だよ」

「そうですか、分かりました。調べて置いた資料の方は」

「必要ない、私たちがきちんと仕事をするからね。キミは黙って見ていなさい」


 ピシャリと杉田に言い切られてしまったので思わず絶句する陽介だったが、そう言えばお願いしておこうと思っていた事があったので取り敢えず聞いてみようかと口を開く。


「そうですか……、あ、俺は日本に帰れないらしいのでこの国に移住を考えてるのですが、何処で手続きとかすれば良いんですか?」

「それこそ領事館の仕事だよ、キミ。一応、私の方で書類は用意できるが、今日は疲れている、風呂に入って眠りたいのだが」

「お風呂なら何時でも入れます、食事の用意もしてありますが」

「……まだこの国の衛生状況や食品に害はないか調査が出来ていないのでね。これで済ませるわ」


 そう言うと彼はアタッシェケースから黄色い箱を取り出すと目の前で振って見せた。


「そんな、屋敷の人達に折角用意して貰ったのに」

「これが王宮で王族が開催する宴なら別だけど。悪いね、だが、敵の塩を受けず、と言う言葉もある。で、風呂と寝床どこ?」

「私たちは敵ですか。ふぅ、取り敢えず案内します、メイドさんに着いて行って下さい」


 そう言って些かがっくりと気落ちした陽介が表で待機していたメイドに指示を出すと、扉を開き猫耳メイドが顔を出す。


『お客様、ご案内しますなぉ』

「長田陽介くん、キミの趣味にとやかく言うつもりはないが……」


 杉田はケモ耳メイドの姿を見た瞬間、嫌悪感も露わに陽介に口を開いた。

 確かに元の世界にはいなかった人種ではあるが、こちらでは歴とした人間である、この大陸のこの国で外交官としてやって行くならば人種差別はやめて貰いたい物だ、と陽介は顔に出さずに憤慨する。


「彼女がどうかしましたか? この国では奴隷制度もなく人種差別もほとんど無いので、彼女のような獣人族でも」

「絶壁だな!」


 陽介は唐突な彼の言葉に面食らった。

 そして混乱した頭でその言葉の意味を咀嚼するべく考えを巡らす。


『絶壁? 後頭部の形状の事だろうか、いや、彼女を見ながら言った訳だからロングヘアーの彼女の後頭部の事ではあるまい、と言うと胸か。この娘さんは獣人族だからな』


「はい? えっと、あの、獣人族は発情期と妊娠後期から授乳期以外は乳房の膨らみは無いです、ハイ」

「なんと、それは事実かい?」

「はい、セントール族は普通に常時巨乳ですが、獣人族の大半は普通のほ乳類みたいにペッタンですし、エルフは薄いです、はい」

「何でそれをレポートにして前田元総理に渡しておかなかったんだ、最重要だろ、男として」


 陽介がこの世界の民族毎の身体的特徴を口にすると、杉田はそんな些細な事はどうでも良いとばかりに陽介に苦言を申し立てる。

 だが、陽介としては精一杯やった結果なのだ、反論の一つもしたくなると言うもの。


「いえ、男云々は良いとして、他の文章を翻訳しているだけで時間が有りませんでしたし」

「言い訳はいい、ああ、なんと云う事だ。出世コースから外れてまで夢とロマンとおっぱいを求めてこの新天地に赴任したというのに。ステキなケモ耳娘のおっぱおがナインのペターンだとは。これは大変な失望だぞ、キミっ!」

「ちなみに複乳です」

「ベリーナイスッ! 流石異世界、そうでなくっちゃいけないよ。いやあオラ何だかワクワクして来たぞ」

『この人何をしにこの国に来たんだろうか。何か夢とロマンと、此処までは良いとして、おっぱいとは。色々と問題のある人物では有るまいな』


 陽介は目の前の人物の先程までの言動と現在の様子が異なる事から、彼がどの様な人間なのか大変に不安になった。

 だが、目の前の人物が日本を代表する人間である以上粗相は出来ないなと思い胸に関する事で提案をしてみる。


「もし良かったらその手の娼館を紹介出来ますが。如何しますか?」

「それはダメだ。良いか? キミは分かっちゃいない、キミは分かっちゃいないぞキミ」

「そ、そうなんですか」

「そうとも、確かにの総統曰くおっぱいプルンプルンの揉み心地と来たら天にも昇る心地良さだ。だが、おっぱいの神髄はそこにあらず、むしろ視覚に訴える効果こそが人間の雄としての本能を刺激するのだ。元々はと言えば乳房が母性としての象徴でなくなったのは人間が直立歩行を始めたことに始まる。」

『おいおい、何かスイッチ入っちゃったみたいだよ』


 陽介が内心億劫に思いながらひきつった笑みで観察を続けていると、何やら自らの性癖を暴露した杉田は右手を強く握り左手で机を叩くと勢い良く立ち上がった。


「我々の祖先が類人猿の祖先と袂を分かち、人類として歩み始める以前の事、それまで雄は、雌が発情し子作りが可能になった事を顔の前にあった臀部と女性器の視覚とフェロモンの分泌によって判断していた。

 だが、直立歩行を始めることにより性器は顔から遠ざかり股の間に収まり目立たなくなっていった、そのままでは発情期を見逃し子孫繁栄が難しくなる可能性があった為に、人類は生存戦略として女性の身体を改造し始めたのだ。

 発情した女性器を模して赤い唇を示し、発情した臀部を模して張り出した乳房を示した。」


 彼は大学で聞きかじったのだろうか、人類の進化に於ける体型の変化と行動パターンの変化について語り始める。


「そこ迄は人類が生殖を進める為に必要な共通の進化の方向であるが、ここから男性と女性に差別化が現れる。

 極論すれば男性は数多くの女性との間に子孫を残す事を生存戦略の基本とし、女性はリスクを抱えて生み出した自らの子供を成人するまで育て上げる事が生存戦略となったのは当然の事だろう。

 そうなると妊娠期間と非発情期の、更に子供を抱えた母親が性交によってつがいを繋ぎ止める為に一年中発情する様にホルモン分泌を改造し、尚且つ番の男が性欲に支配されるように性欲を高める事までした。

 勿論、女性自身が出産をいとう事の無いように、出産というリスクに対して女性には男性の四倍と言われる性感をご褒美として与えているのだ」


 つまりは男が助平なのは女性に都合が良いからそのように進化させられたのだ、と主張し始めた訳である。

 後半は、幼い頃には女の子が男の子の事をスケベで不潔と言っていたのが、適齢期に入ると女は男以上に助平になる、事もあると言う例だが、個人差が大きいので単なる目安に過ぎない訳だが。


「つまり、性欲を女性の生存戦略の一環として高められた男性としては、女性に性欲を抱く事は生物として当然の事であり、五感の中で視覚が最も強い人間としては視覚に訴える物こそが性的関心を抱くに値すると言うものだろう。」


 いつもは何かに抑圧されてでもいるかの様に杉田は活き活きと持論を主張している。

 自らを論理で統べている論理的な人間である杉田は何かの秘密を打ち明けるかの様に陽介に顔を向けて、目で語る。


「結論を述べよう、男はおっぱいがプルルンと揺れる様を目撃する事にこそ性欲を刺激させられるのだ、それを揉む事は二次的な物に過ぎない、否、それは乳幼児の、口唇期の残滓に過ぎない下らない感情、いや、反射行動だ。男としての本質はたゆんたゆんのおっぱいを鑑賞する事にこそ存在するのだよ、分かるだろう、キミ」


 何と言うべきだろうかと判断に迷う事を言う杉田参事官であったが、陽介が返事を返す前に闖入者によって遮られた。

 開け放たれた扉の脇には、呼び出されたは良いがそのまま放置された猫耳メイドさんが自分の知らない言語で色々叱責されていると思ったのか耳を伏せて縮こまっていたし、その後ろには銀縁眼鏡のレンズを不気味に光らせたタイトスカートの女性が青筋を浮かび上がらせながらその言葉に聴き入っていた。

 髪の毛には天然パーマが掛かっているだろうか、くるんくるんとしたショートカットの黒髪が怒髪天を突くとばかりに立ち上がり、物凄い怒りを感じさせる。

 因みに胸は薄い。


「なにをっ!? 言ってっ!! いるんだお前はぁぁっ?!」

「げぇええっ、小梅ぇぇぇ……もう話は済んだのか」

「ああ、女王陛下との謁見は無事終了した。しかし、お前はまた持論を強要しているのか。呆れた男だな、相変わらず」

「ちっ、残念な胸をしている癖に」

「……女は骨盤だ、女に必要なのは骨盤が如何に発達しているかが重要なのだ。女が女たるのは子供を産む事であるからして、胸などただの飾りですよ」


 何やら突然やって来た外務省の役人と名乗る二人が乳繰り合い出したのを見て陽介はどうしたものかと悩んでしまうが、取り敢えず後から来た美人に自己紹介を始めた。


「初めまして、わたくし、前田前首相、と言うよりも勇者マエダに個人的に雇われた長田陽介と云う者です、この屋敷を任されていますので、ご要望が有れば何時でもお申し付け下さい」

「ほぅ、これはこれは、わたくしは外務省に属する花畑小梅参事官と申します。こちらの杉田大作参事官の同僚ですね。よろしくお願いします。それから、あれから内閣の交代がありましたので前田さんは前総理から元総理になっています」

「そんなことも知らないで良くこちらの世界の持て成し役を引き受けられた物だよ」


 杉田の問答無用の口撃に陽介はイラッとしたが、取り敢えず我慢をする。


「……初耳です、何しろ次元の壁に隔絶されていますから。分かりました、元首相、了解です。さて、他に何かニュースは無いでしょうか。情報が何も入って来ないもので、現在の魔王軍の侵攻状況は女王陛下から知らされたかと思いますが」


 勇者が日本に戻ってから非常にヤキモキさせられた身としては元の世界の事は非常に気になる案件である。

 なので陽介は目の前の外交のプロ達に、現在の社会状況を訊いてみた。


「そうね。現在このアクアマンデ王国は魔王と云う存在に襲われている事を確認しました。現在、元の世界では国連主導による多国籍軍が整備されつつあります」

「多国籍軍ですか! ああ、じゃあ日本で独占した訳ではないんですね」


 てっきり情報を独占した日本が、世界に秘密裏にこの世界へと手を出したのかと思い込んでいた陽介としては、多国籍軍と云う言葉に過敏に反応せざるを得なかった。


「まあ、前田元総理が日本に帰ってきた時に、全世界に中継されていたウェブ配信の動画で勇者の装備を使って中国人民解放軍を殲滅させてしまいましたから、隠すのは無理でした」

「何があったんですか? 日本で人民解放軍なんて、もしかして中国が戦争を!?」

「似たような状況ね。もっとも、尖閣に手を出して手痛いしっぺ返しを食らってからは国内で何か騒動を起こして居るみたいで、国交が切れているから何をしているのかサッパリ分からないのが現状かな、外務省うちのチャイナスクールのバカどもも何も分からないみたいだしー。お陰でこちらに手を出す余裕が出来たんだけどね」

「俺のいない一年と半でとんでもなく国外情勢が変わってしまったんですね」


 花畑の話を聞いた陽介は唖然としてしまう。

 戦後にきな臭い事はあったが、ここまで海外との関係が変化していたとは驚きを隠せないのも無理はない。


「軍事的には尖閣の時に中国の連中と一緒に北と南の朝鮮半島の連中が電子戦を仕掛けてきたし、特定アジアとアジア諸国の区別が国民にしっかり根付いたのが最大の成果かな。今では特定アジアは世界から閉じこもっていて、それを各国が取り囲んで防衛している、と言う社会情勢になっています。これが簡単に言えるニュースですね」

「ああ、ありがとう御座います」


 中国だけでなく、以前から日本に対して反日を国家的戦略として来た全ての国が実際に行動に移る等と云う追加情報を貰い、更にそれらに対する国民感情の変動と、ただの学生だった頃には良く分からなかった事が、今では良く分かるようになっていた。

 その為、素直にお礼が言えたのだが、杉田の方が空かさず口撃を加えてくるのはそう云う性格だからなのか、それとも二人で連携して上げて落とす作戦なのか。


「ふん、そんな事、言われなくても分かるだろうと思うがね。外交のセンスのない君には出番はない、おとなしく宿屋の主人でもやっていたまえ」


 とにかく理不尽な言い掛かりには呆れてしまう陽介だが、そうも行かないのが世の常である。


「ご忠告は承りました。取り敢えず日本に帰れない以上、私はこの国に骨を埋めなくてはなりませんから、日本の外交に口を出す気はありませんよ」

「ふむ、賢明だな」

「あのー、もしかしてこいつ、貴方に素人は口出しするな、とか言ったのですか?」

「ええ、まあもっともな話ではありますが、ここ半年ばかり自衛隊の駐屯地の候補とか一所懸命調査とかしたのもいらないとなると、ガックリしてしまいます」

「へぇ、取り敢えずその資料は私の方で頂きます。で、私たちでミーティングとかしたいのですけれど、防音された部屋とか貸していただけません?」

「ああ、それなら客室で大丈夫です。アレをする時の絶叫でも遮れますので、大声を出しても大丈夫ですよ」

「例えがアレだけど、了解したわ」


 前もってこの国の性的なオープンさは知識として知っていただろうが、良い所のお嬢様が慣れ親しんだ昭和時代に最高潮を迎えた性的な物を隠す文化からすると、この例えは些かゲンナリとする物だった様だ。


「では『すまなかったね、この二人を部屋に案内してくれないかな』、この娘に着いて行って下さい」

「あら、ネコミミが。『ヨロシクね』」


 花畑が大陸共通語で猫耳メイドに挨拶したのを見て陽介は、流石は外交官、外国語を覚える事に精通しているぜ、と感心した。

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