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パーティー

誤字、脱字、意味の分からない表現あったらすいません

 パーティーは夜におこなわれる事が多い。子供の時からこういった宴会に招かれる事が多かった父に連れられ、こういった風景は見慣れているんだが────



 ────(はぁ……帰りたい……)

 メイに頼まれ、断れなかった事を後悔した。パーティー開始5分後にはもうこんな状態だ。これから後何時間もあるかと思うと心労で倒れてしまいそうだ。

 この重苦しい格式ばった雰囲気は昔から好きになれない。

 多彩な装飾が施された銀製の食器、金とガラスで出来た豪華なシャンデェリア、無駄に広いパーティー様の部屋、塵一つ見受けられない清掃の行き届いた床には赤い絨毯が広々と置かれ、白いテーブルクロス掛けた机には高級料理が並んでいる。

(部屋から自己顕示欲が滲み出る様ね……、まぁ、そんな事にしか楽しみを見いだせないのだから仕方ないけど)と思いながらも、自分がその一人である事に言いようの無い苛立ちを覚え、歯噛みする。

(あぁッもー!! イライラするッ! なんなのよッ!)

 次第に冷静になり、頭を右手でかき、気分を落ちすかせようとしていたら、ガチャガチャと耳障りな音が聞こえてくる。

(庭の方からかね、全くこなくても良いのにアイツら……)

 屋敷の外には、『ホーリー騎士団ナイツ』と呼ばれる王族直属の魔法騎士隊が、くる筈のない魔物や俗の侵入備えている。

(ここを何処だと思ってんの? その無駄な労力をもっと別の所に舞わせないのかしら……)

 異様なまでに明るいシャンデェリアの光がリッドガルド卿の邸宅を包む。周りに居るのは大人ばかりで、まだ14歳の私にとってここはとても窮屈な場所でしかなかった。

(同年代の奴はいるけど、アイツは論外ね……)

 などと嫌な顔を思い出していると、緑を主体とした黄色いボタンの服をきた男が近づいてくる。

「おぉ!! これはこれは姫様!! 相変わらずお美しい!  私の事覚えて要らしゃいますか? 前に宮殿で開かれたパーティーでお顔を拝見させて頂いたのですが?」

 その男は、30〜40くらいにみえた。茶色いヒゲに丸い顔、脂肪で突き出た腹をベルトでくくり、無理矢理ズボンに突っ込んでいる。

(ん? 誰だったっけコイツ?……ああ確か……)

 私は慣れた作り笑いを浮かべながら、

「もちろんですともヨーゼフ様、お元気そうで何よりですわ」

「姫様もお元気そうで何よりです、いやぁ! てっきり私の事を覚えていらっしゃらないのかと、肝を冷やしておりました、ハッハッハ!!」

「嫌だヨーゼフ様たら、ご冗談を仰らないで下さい」

「これはこれは失礼いたしました、ハッハッハ!」

 ヨーゼフは前の王宮で行われた、私の生誕記念パーティーで見かけたことがあった。

(確かに覚えているわよ、貴方の事は、父に媚を売る愚鈍な猿としてね)

「ところで今日はお父上殿はどちらに? 出来ればご挨拶に伺いたいのですが……」

 私の父マルクはこの国の王、かつて世界を救った騎士フラン、その末裔────。

(本当はそっちが目的でしょ、イライラするわね)

 そんな気持ちを押し殺し、

「父上ならあちらの方におられた様な気がしますわ」

 適当な方向に指を刺し答える。

「そうでしたか、姫様にお手数をお欠けして申し訳ない……、このお礼はいずれ改めていたします」

「いやですわお礼なんて!! 大した事じゃありませんし……」

 誰がお前の様な奴に施しをうけるか、そう思う。

「いやいや、そう仰らずに後日には使用人届けさせます、ご安心下さい」

「はぁ……、そうですか。では有り難く頂きますね」

 きりがないと思い仕方なく頷く、もういいから早く消えてくれ。

「おおこれは有り難き幸せ! では私はこれにて」

 と言うとヨーゼフは私の刺した方向に向けて歩いて行った。

(やっと行ってくれたわね、何で私があんなの相手にしなきゃなんないの……疲れるわ)

 一人に慣れた事に安堵していると、聞き慣れた声が急に、

「エリザ!? エリザじゃないかい!! ひさしぶりだねぇ」

 となれなれしそうに私の名前を呼ぶ、不愉快な声が聞こえる。

 そんな奴一人しか思い浮かばない。私と同年代の男......

 そう私の、『婚約者』しか……。

 


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