私のプロローグ
現在詰め込んだ設定の矛盾を修正してます。
分かりにくい所が多々ありますが、是非読んで頂けると嬉しいです。
魔力を持たない『人族』と魔力を体内に宿す『魔族』が共存する私たちの世界は人魔界と呼ばれている。
大気に流れる、『魔原素』が生命を育み、様々な現象を生み出す。『魔原素』にはいろいろな種類があり、火、水、土、雷、風、闇、光が存在する。それらの総称を、『魔力』と呼び、それらを操り、技とした物を、『魔法技術』と呼ぶ。『魔法技術』は『魔法』、『魔術』、『魔技』の三つ別れる。
およそ数百年前魔族によって人族は支配されていた。
赤い角を持ったかつて紅蓮の魔王と呼ばれた存在、『紅角王』は大陸全土を支配し、唯一無二の絶対王として君臨していた。
絶大にして無限の魔力をその身に宿した彼に誰もかなわなかった。
多くの人民が奴隷の様に扱われた時代。
木は枯れ、土地は荒れ果て、人々の心は荒んで行った。
そんな彼の時代も永遠には続かなかった。
黄金の聖衣を纏いし、金の髪の青年が、聖なる剣を持って紅角王を打ち倒す。
その者の名前を『フラン』と言い、当時騎士だった青年が生まれたこの国は、尊敬と献辞の気持ちを持って、『フランナイト王国』と名付けられた─────
─────くだらない。
私は王宮の図書室にある古い歴史書を読みながら思った。本は所々痛んでいて、長い歴史を感じる。図書室の中の本棚には分厚い本がギッシリと並べられている。
木製で出来た、古めかしい雰囲気を醸し出すこの部屋は私の心を落ち着ける。
中はとても静かなものだ、どうせ誰もこの部屋には入らないから。
本を閉じ外を眺める、そこには途方も無く果てしない空間が広がっている。
此処はフランナイト王国王都ゴロッゾその中心。
貴族街と呼ばれるその中心に私の住む宮殿がある。『フランナイト宮殿』と呼ばれる此処は平民街から50メートルの高さにある貴族街、その中で一番高く大きな建物、ゴロッゾで一番高い所に位置している。
ここからなら貴族街も、平民街も全て見渡せた、様々な住宅が建ち並んで居る。今では娯楽施設として魔法闘技場と言う物があるらしく、歓声がこの宮殿まで響いてくる。
貴族街よりも平民街よりも奥に野原が見える。野原はフランナイト平原と言われていて、木や草、虫や動物、人や魔物、様々な物に溢れ、賑わう。
魔石造りで出来た白石色のこの城は、周りの風景にとけ込む様に堂々と存在する。
ここから見渡せる景色は近くにあるようで、とても遠い。籠の中の鳥は、どんなに望んでも、自由に空を飛ぶ事はかなわない。
この宮殿は私を縛る鳥籠でしかなかった。金にも困らないし、食事や衣服にも不自由しない。だが此処での生活は退屈な物だった。
「姫様ぁ!! 何処におられるのですか!?」
ふいにドアの向こうから誰かの声がする、誰の声かは大体予想はついた。
やがて木で出来たドアが開き、一人の女が姿を現す。
「はぁはぁ、姫様こんな所におられたのですか!? 困ります、勝手にうろつかれては」
声を荒げながら、メイド姿の女が言う。
彼女の名前はメイ、栗色の首まで伸びた髪をカチューシャでとめ、丸い眼鏡を付けた、私直属の使用人だ。
メイは私がまだ幼い頃に父に雇われて、今では立派に業務をこなしている。
「何の用? 私、今誰とも話したくないんだけど」
「そんな事仰らないで下さい、早く今日のパーティーの仕度をなさって下さらないと、私が旦那様にしかられてしまいます」
メイは困った様な顔を向けてくる。
「パーティ—? 何それ?」
私がそう答えると、
「お忘れになられたのですか? 今日リッドカルド卿の屋敷で行われるパーティ—ですよ」
成る程と、大体の事が理解できた。
(あぁ、確かにそんな事父上に言われていたわね)
金を持て余した貴族が父にこびを売るために開かれるもの、そう認識していた。
所詮パーティーにやってくるのは、金と権力しか脳の無い豚どもと、他人の力に依存して自分を大きく見せたいだけの淫乱な売女。そんな奴らの冷笑に似た作り笑いを想像するだけで吐き気がする。
「わかったは、すぐ行くから衣装室で、今日着るものを見繕ってて頂戴……」
何処までも下らないと思いながら言った。
俺と私とクソヤロウの意味は
俺→男主人公視点
私→女主人公視点
クソヤロウ→作者視点
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