表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/17

俺と豚小屋

現在詰め込んだ設定の矛盾を修正してます。

分かりにくい所が多々ありますが、是非読んで頂けると嬉しいです。

 激しい激闘の末、俺は糞ガキを撃破、見事に勝利を収めた。

 糞ガキはどうやら俺を盗賊かなにかと勘違いしたらしく、襲って来たらしい。

 偉い勘違いだとわかると、糞ガキは深々と俺に頭を下げ来た。

「本当にごめんよ、兄ちゃん」 

 よく考えれば糞ガキはこの街の人間だ、街についての情報が知りたい、友好的に接し、情報収集にあたる。

「まぁいいよ、間違いは誰にでもあるさ」

 そう寛大な心をもって答えた。

「変わりと言っちゃ何だけど、頼みがあんだけど」

「何? オイラに出来る事なら何だってするぜ」

 余りに素直な反応、糞ガキは俺並みに良い子らしい。

「その......街の事について教えてほしいんだ、俺田舎からこの街に来たばっかで……」

 そう言うと、糞ガキはキョトンとした顔になり、再び笑顔に戻ると、

「いいよ!! 立ち話もなんだかから内にあがってよ!!」

「おっ、ワリーなサンキュー」

 そして糞ガキは手を刺しだし、

「オイラの名前は、エミル、『エミル・サスペンス』よろしくな、えーと……」

 俺はにっこりと笑い、

「俺の名前は、『マオ』──よろしくなエミル」

 そう言って、エミルの手を握り返した。 

 

 




 その後エミルの家に案内された俺は、あまりの光景に驚愕する。

(なんてボロい家なんだ、まさしく豚小屋だな......) 

 内心そう思いながら辺を見渡した。

 外見以上に所々痛んだ壁、うす汚れた机と椅子、小汚いガラス製の食器、床を歩けばミシミシと音を立て揺れる。

「汚い所だけど、くつろいでいってね!!」

 エミルは純粋な笑顔が俺に向けられる。だがここは汚すぎる、どうくつろげば良いか俺は思案する。

 ふとある事に疑問を覚え、はエミルに言った。

「なぁエミル、お前の家族は何処いんの? 仕事か?」

 そう言うとエミルは浮かない表情となり黙り込む。

 そして再び顔を上げて、笑顔で俺に言って来た。

「母ちゃんは俺が赤ん坊の時に魔物に襲われて死んじゃったんだ……」

 聞いてはならない質問をしてしまったと、思慮の浅い自分を自己嫌悪した。

「すまん……」

 申し訳のない気持ちになり、エミルに謝った。

「えっ! 良いんだ気にしなくても!」

「いや、だけど」

「それに父ちゃんは生きてるし......今まだ帰って来てないけど、じいちゃんと暮らしてんだ」

 そう言いエミルは再び笑顔になる。

(そうか、よかった......) 

 過去の思い出が脳裏によぎる、自分が昔持っていた大切な存在......。

 そんな事を考えていると、扉の開く音が聞こえた。

「あっ!! 噂をすれば、じいちゃんお帰り!!」

 エミルの視線の先に目をやると、そこには白髪を生し、痩せこけた今にも倒れそうなじいさんが目を丸くして俺を見ていた。

「これはこれは、こんなボロ家にお客さんとは、珍しいの」

 全くだと俺は思いつつ、社交辞令としてじいさんに挨拶をする。

「邪魔してます……」

 じいさんは観察する様にみた後こういった。

「フムフム、見慣れない服装じゃの、それにその黒い髪……あんた旅人か?」

 どうやらエミルより物わかりの良いじいさんらしい、俺の風貌をみて石を投げて来たり、不信に思ったりという感情はじいさんからは見受けられなかった。

「それにしてもその背中に刺している剣、随分と変わっとるのぉ?」

「えっ? そっすか?」

(え? マジで? そうなのか?)

 この剣は家においてあった物をかってに拝借して来た物だ、確かに改めて見ると、刃も柄も全て真っ黒と言うのはおかしい。

「この地方で見た事がないデザインじゃの、ロングソードに近い……ちょっとその剣を良く見せてくれんか?」

「ああ別に良いけど……」

 何気ない気持ちで剣を差し出した。じいさんが剣を握り俺が手を離すと……。

「ぬおぉ!! なんじゃこれは!?」

 じいさん手から剣がこぼれ落ち地面に落下した。鈍い音が響き渡る。

「オイオイじいさん何してんだよ? 俺の大切な相棒けんに傷が付いたらどうすんだ?」

「すまん……しかしこんな重い剣、急に渡されたら誰だって手を離すわい」

「何言ってんだ、剣なんて皆こんなもんだろ?」

 訳が分からなかった、今まで相棒とどれだけ戦って来たと思ってんだ。

「何を言っとる、こんなもん魔法で肉体を強化せにゃまともに振れんぞっ!!」

 じいさんは飽きれた様に言って来た。

 最近町中にでてきていろんな発見が出来る物だ、どうやら相棒は非常に重く、まともに持てた物じゃないらしい。





 




 豚小屋のようなエミルの家で世間知らずだった俺は、自己紹介を住ませた後、エミルとじいさんから色々とお話を聞かせてもらった。

 まずこの街のこと、歴史、軍隊、『貴族街』や『平民街』といった街の形態など、途中からじいさんの武勇伝に話がそれたが、まぁそこは気にしないでおく事にしよう。

 じいさんは昔武器商人を営んでいたらしく、ガイモンと言う名前らしい。

 そしてどうゆう訳か……。

「ねぇ!! マオ兄ちゃん!! 今日は泊まっていくでしょ!!」

 何故かエミルになつかれてしまった。

(冗談じゃねーぞ!! こんな豚小屋で誰が寝るか! 俺は今日もうけた金で宿屋で休むんじゃ!!)

 冗談では無いと思い、穏便に断ろうとする。

「おいエミル、じいさんが困るだろ、今日は色々教えてもらったし、これ以上甘えられねーよ」

 爽やかスマイルを浮かべながら答えた。

「いやいやマオさん二人だけの食事も寂しいもんじゃし、今日は泊まってもらうかのぉ」

(糞じじぃぃぃぃぃぃ! 何言い出すんだ!! 空気読めよハッたおすぞ!)

 じいさんの許可がおり、エミルはキラキラと目を光らせながらこっちを見て来た。

(おいこっち見んな!!)

 こんなにも純粋な目を向けられると、腐った心が痛い。

「全く仕方ない奴だな、じゃあ今日はありがたく泊まらせてもらうぜ」

 豚小屋が今日の宿屋となった瞬間であった。


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ