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森の奥

現在詰め込んだ設定の矛盾を修正してます。

分かりにくい所が多々ありますが、是非読んで頂けると嬉しいです。

「いやぁー、今日はたんまり稼げたな」

 俺は今日の試合で手に入れたファイトマネーに目をやった。

 小袋につめられた金貨が達成感をより確かな物にした。

 金貨はこの国の硬貨で一番高価な物だ、その下に銀貨、銅貨とがある。

「それにしても、一試合金貨五枚ってすげーなこの街は」

 人魔界南に位置するフランナイト王国、その王都ゴロッゾでは多くの商人や旅人、買い物客や観光客などがにぎわっている。

 石と砂で舗装された地面がブーツをコツコツと鳴らす。

 でかい。それが感想だった。無数にも見える人ごみ、立ち並ぶ木材で出来た建物、街の中央に堂々とそびえ立つ宮殿は『フランナイト宮殿』というらしい。

 そして俺が今居るのは、そんな街の一角。

 テント状の店が建ち並ぶ簡易商店街で、街を訪れる、旅人や貴族に商品を売りつける。

 貴族や騎士といったお偉い方も見かけられ、随分とにぎやかな街だなと思う。

(田舎の故郷とは偉い違いだな......ん? なんか甘そうな香りが) 

 市場に売り出されている青々とした新鮮な果物が、食欲そそった。

「おばちゃん!! そのリンゴ一個売ってくれ!!」

「あら元気の良いボウヤね、はいッ、一個おまけするわ」

「うおっ!! サンキューおばちゃん!!」

「フフ、おネーサンといいなさい」

 と言うと果物屋のおねーさんは、リンゴを二つ手渡して来た。

「ありがとう!! おネーサン、ハイこれお代」

 さっき手に入れた金貨をお代として渡す。

「ちょっと! 貴方これ金貨じゃない!? もしかして貴族のお坊ちゃん?」

 おねーさんは驚いた様に尋ねて来た。どうやらこの街には貴族と言う者がいるらしい、俺みたいな子供が金貨こんなもの持っていると、貴族か領主の子供に間違われる。だがそう言った物では決して無い。

「違うよ、これはさっき街の闘技場で手に入れて来たんだ」

 投げかけられた質問に答えた。

「へぇー成る程ね、貴方、騎士の息子ってところかしら」

 騎士の息子という訳ではないのだが、面倒なので仕方なく首を縦に振った。





 俺はさっき買ったリンゴをかじりながら街の中を散策していた。今日この街によった目的は他にあるのだが、まずは今日泊まる宿を見つけなければ話にならない。だがこの街は広い上やたらと入り組んでいて、地下の隠し通路なんてのもあるらしい。『オイオイ……』と思いながら俺は迷路の様な道を進んでいた。石造りで出来た重厚な道に太陽の日差しが照り込む。

「あぁーーーーー!! ウゼェーーーーー!!」

 人目も気にせず叫んだ。

 なんだこの街は? 俺の生まれた村が三桁くらい入るのでは無いかと思う。

 街を歩いていた人の何人かが俺の方を不思議そうに見つめている。俺はそんな視線を一蹴すると街の奥へと足を運んだ。

 やがて人混みは消え、住宅や建物でさえも見受けられなくなった。

(あれ? もしかして道間違えた?)

 気づけばそこは街の外れも外れ、宿屋どころか人っ子一人いない草木に覆われた森の奥。虫や鳥の鳴き声が響いてくる。

(なんとなくこっちの様な気がしたんだけどなぁ......)

 どうやらゴロッゾの裏手の森に出て来てしまったようだ、自分の方向音痴には少し呆れる。

(チェッ、引き返すか)

 と思い頭を抱えながら、もと来た道に引き返そうとする、すると────。

「ん? なんだあれ?」

 視界の端に何かがある、そう思い、そちらに向いて目をこらすと、そこには古めかしい家の様な者があった。いやむしろ古めかしいというより───ボロい。

 田舎育ちの俺でもそう思うくらいのボロさ。木で出来た家は、所々に穴があき、ガラスの窓は乱暴に割れている、風通しがよさそうだ。

「オイオイ、豚小屋かよ......」  

 その瞬間、後頭部に痛烈な痛みが走る。

「いっっっっってええええええッ!!」

 絶叫するや否や後方を確認する。その痛みの正体は大人の拳サイズの大きな石ころ……いや岩か。

「何が豚小屋だって」

 声のする方に目をやった。そこには俺と同じ黒い髪の男の子供が次弾を打ち出そうと石を構えていた。瞳の色は黒く、日に焼けた肌にボロボロのシャツとズボンを身に纏っていた。

「なんだあの糞ガキは……」

 ついうっかり心の声を発音してしまった、糞ガキはさらに石をおもっきり投げつけて来た。

「うおッ!!」

 驚いて俺はそれをとっさにかわす。なんて糞ガキだ俺を殺す気か?

「オイラは糞ガキじゃない、エミルって言う立派な名前があるんだ!!」

 そう言って黒い瞳を向け睨みつけてくる。

 やれやれ飽きれたものである、一体どんな教育をすればこんな育ち方をするのか。

(まぁ、ここ俺が大人になって穏便に事をすますか)

 慈愛に満ちた表情を少年に向け、大人というものどうゆう者か、少年にその身を持って分からせようとする。

「ねぇ君、さっきはごめんね、お兄さん実は……グフォ!!」

 三発目の石が俺の顔面にクリンヒットした。

「なぁぁぁにしやがる糞ガキャ────ッ!!」

 俺は糞ガキをドツく。

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