『魔技』
活字なれしないといけないですねorz
私はその瞬間を目撃した、少年の剣が青く輝くのを。
男の放った炎は、火の属性を持つ下級攻撃魔法、『猛火』。対人戦闘において絶大な効力を発揮する魔法。単発の威力だけでも肉を焼き、辺を一体に被害をあたえる筈のその一撃を黒髪の少年は避けるどころか迎え撃ち、切り裂いた。
(イヤ……あれは切り裂くなんて物じゃない……)
一国の王女としてあらゆる魔法技術の英才教育をうけた少女は理解する、黒髪の少年が放った攻撃はこの国の、『魔法』では無い。おそらくあれは────
(────魔技!?)
『魔技』、東の国に伝わる魔法技術。空気中の魔力を組み立て生成される魔法とは異なり、魔力の流れをコントロールし武器にクロスオーバーさせる。魔力を素材に生み出されるのが魔法とするならば、魔技は魔力そのものを技に乗せ、はなつ。
(おそらくあの男は自分の剣に『火』の属性とは反対の性質を持つ『水』の属性の技をぶつけ、カイウスって男の攻撃を対消滅させたのね)
騒然とした光景に放心状態に陥いっている大人達のいる中、私はその現象を冷静に分析する。
周りの野次馬もやがてどよめき出し、
「おいおい何が起きた?」
「さっきの魔法か?」
「……俺、鳥肌たっちゃった」
次第に口々に騒ぎ出す。
(この騒ぎを街の憲兵が嗅ぎ付けたら少々面倒ね)
そう思い私が店を抜け出そうとすると、
「何処行きやがる糞女! 待ちやがれ!!」
黒髪の少年がこちらの様子に気づいたのか、怒りを顔に表し向かってくる。
「このおとしまえ、どうつけてくれるんだ! あぁん!!」
黒髪の少年はどうやらカイウスって奴より質が悪そうだ。私は何時もの様に猫を被り、適当にあしらおうとする。
「おとしまえだなんて……私はただ、怖くて……」
「そんな事、俺は知らねぇーよ、誠意をもって謝罪するのが先じゃねぇのかよ!? おぉぉん!?」
まるでチンピラの様に絡んでくる少年の態度が妙に苛立たしい。だが悪いのはコチラだ。
(癪に触るがしかたない……)
「本当にごめんなさい!! そして助けて頂いた事を感謝します」
私はいやいやながらも少年に頭を下げ、感謝と謝罪の言葉を告げる。
(全くめんどくさいわね、これでいいんでしょ、ガキを相手にするのは本当に疲れるわ)
私は改めて自分がふところの深い女でる事を実感した。この容姿にしてこの性格、正にパーフェクト。全ての人が私を称え慕うだろう、そして目の前にいるこの少年も私のあまりの度量のデカさに感激し、面食らっているようだ、いきりたった顔がいまでは驚きと戸惑いのまのぬけた顔に変わる。そしてひと言─────。
「……何だ、御礼ぐらいは言えたんだな『貧乳』のくせに」
「あぁ!? なぁんつったこらぁ!?」
私は目の前に立っているクズに拳をぶちかます。