学園生活、幕開け
少年は真っ白な壁に囲まれた清潔感のある部屋で寝ていた。雰囲気は病院に似ているが少し違うみたいだ。
「ん、ふわぁぁぁあ」
ベッドで寝ていた少年、新庄連哉が目を覚ました。まだ寝ぼけているのかあたりを見回しながらほうけた表情で腰を起こした。
「なんだコレ?」
少年の右腕が真っ黒に染まっていた。黒も黒、不吉なものを連想させる様相だった。昨日までの連哉の腕はこんな色はしていなかった。
「とりあえず、ここはどこだ?病院?にしては窓もドアもないのはおかしいか」
そう、窓はともかくドアもない病院なんてそんざいするのか。
「とりあえず、どうやってここから出るかを考えないと」
連哉は、自分が寝ていたベッドから一番遠い壁まで歩いていった。この部屋の家具の配置から考えるに、通常そこに扉がある位置だと判断したからだった。連哉が壁に触れると、壁に「暗証番号は?」と書かれ、その横に1~9までの数字とアルファべットがならんでいた。どうやらタッチパネルのように使うらしい。
「・・・・・・。しらねぇよ。適当に打ってみるか。」
そうつぶやくと、連哉は適当に押しまくった。常識から考えて数字とアルファベットで何桁かもわからない暗証番号を解くのがどれだけ確率が低いか連哉も理解している。が、なにもやらないよりはいいと判断したのだろう。
「どうだ!」
無反応だった。
「よし、もう一回!」
連夜が再び数字を押そうとすると、いきなり壁が10センチほど手前にずれて横にスライドし始めた。
だが、連哉が適当に押したのが正解だったわけではないようだ。
「お、やっとおきたのか。・・・なにやってんだ?」
ドアを開けたのはこの声の主らしい。声の主は床に仰向けでひっくり返っている連哉に軽く戸惑っているようだ。
「・・。まぁ、開いたならいいや」
なぁ、と連夜は続ける。
「ここはどこだ?勝」
「移動しよう」
ドアを開けた勝と呼ばれた少年は、面倒くさそうに一言言って先に部屋から出て行った。
どこかもわからないところに1人で取り残されるのはいやだったので連哉も急いで後に続く。
「なんだ、ここか」
連哉も来たことがある場所だった。というか、能力を発現させる機械の部屋へと連れて行かれるまえにいた部屋だった。
「ほかの連中は?」
ほかの連中とは、萩原と本城のことだ。
「今は学校に行ってる。」
「学校?今はゴールデンウィークだろ?」
補習か?などとかんがえていると、
「もうゴールデンウィークは終わってるぞ。お前3日間も眠ってたからな。今からお前も学校行くぞ。これ、制服と指定鞄、転校に必要な書類は提出してある。何か質問は?」
「えっと、転校って何?」
「簡単に説明すると、学校に通っている生徒が何らかの理由でほかの学校にうつることだな。」
「そーゆーこと聞いてんじゃねーんだよ!なんで俺が転校しなきゃなんねーんだって聞いてんの!」
「あまり騒ぐな。耳に響く。朝は苦手だ。」
勝はコーヒーをのみつつ説明を始める。
「なんでって、能力を発現した学生がこっちに転校してくんのはとうぜんだろ?それに俺たちと同じ学校にしたんだ。心強いだろ?」
「能力、って昨日のアレか?アレなんの能力なんだ?」
「昨日じゃない、3日前だ。だが、アレがなんの何かはわからんが、能力の1つであることは確かだ。それも強力な。その右腕についてもさっぱりだ。だから、こっちの学校で少しずつしらべればいいだろ。」
「そっか・・・。」
連哉は右腕をしばらく眺めていたが、制服に気づいて目をまるくする。
「本城学園って超有名私立高校じゃねぇか!俺そんな学費だせねぇぞ!ん?本城?」
「お前の学費については学園が免除してくれるらしい。特殊な事例だから研究対象になるかもな。あと、お前が思ってるとおり、美千香の父親の学園だ。」
本城美千香、テレポーターな彼女だ。
「今は時間がないから詳しくは帰ってから話す。とっとと着替えてくれ。」
「お、おう。」
急いで着替えた連哉は、黒塗りの高級車におっかなびっくり乗り込むと、勝と一緒に本城学園へと送られていった。
ここから、いろんな能力者を登場させるよていです。
よかったらまた見てください。