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コードバディ×トゥルーラブ  作者: エレン


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第二話 愛と真の修行!?凸凹コンビはガッタガタ!!①

 辺り一面白い世界。

白いバラが咲き乱れる花畑で、ドレスを着た愛は座っていた。


 花畑の向こうから、人を乗せた白い馬が近づき、愛の傍まで歩いてきた。

「天堂先輩!」

 愛は立ち上がり、翼を見上げた。

「迎えに来たよ、天園さん」

 翼は手綱を持ったまま愛に微笑みかけた。

「先輩……」

 愛は頬を赤く染めてうっとりと翼の瞳を見た。

「君を乗せていくのは僕の馬じゃないけどね」

「え……?」

 翼は遠くを見ると、

「ほら、来た」

 と、自分が来た方向を顎で促した。

 黒い馬に乗った、青を基調とした服を着た真が手綱を引いて近づき、二人と少し距離を置いたところで止まった。

「彼が君の相手だろう?」

 真はすこぶる機嫌の悪そうな顔をして愛を睨みつけていた。

「いや、ち、違います……」

 愛は背中に汗をかきながら首を振った。

「天堂先輩、お願いです、私を乗せてください!」

 愛はすがるように手を翼の方へ伸ばした。

「駄目だよ、だって君は昨日その人とパートナーになったばかりじゃないか」

 愛はショックで目の前の風景がガラス状になって割れたような錯覚に陥った。

「残念だけど僕は君を乗せて行けない。だから別の相手を探すよ。じゃあね」

 そう言って翼は馬を走らせて言った。

「せんぱいぃ~‼」

愛は手を伸ばしたまま涙目で花畑に崩れ落ちた。



「あぁあぁあぁあ~……」

 ベッドの上で起き上がったまま、愛は頭を抱えこんで奇妙な声を発していた。

 時計の時刻は六時半を指している。

「なに変な声出してんだ」

 愛は顔から手を放し、そばで飛んでいる黒い翼の疑似コウモリ・エーラを睨みつけた。

「ほんっとに冗談じゃないわよ……」


 昨日さくじつエーラを殴った後、愛はトゥルーラブを降りると言った。


「そういう話なら無理!こんなの絶対的なカップルじゃないと成立しないもん!」

「そりゃ無理だ。トゥルーラブになったら余程の事情がないと解約できない」

「余程の事情だよ‼」

 愛とエーラのやり取りを聞いていた真は苛ついた表情でじろっと愛を見た。

「……そんなに俺と組むのが嫌かよ」

「当たり前でしょ‼なんで好きでもない人と本当のパートナーにならなきゃいけないのよ‼っていうか好きな人いるならその人と一緒にやれば良かったじゃない‼」

「……さおりさんを戦いに巻き込むわけにはいかない」

 「なにそれ⁉パートナーは、あ……愛をはぐくまなきゃいけないのに……頭いいくせに矛盾したこと言ってない⁉」

愛は言いづらそうにそう言うと、「っていうかさおりさんていうんだ」とその後に呟いた。

「俺だって知らなかったんだよ」

 真は後ろ頭を掻いた。

「ただ、トゥルーラブになって使命を果たせば、つまりディグレイドを全員倒すことができたら、その後一人につき一つ何でも願いが叶えられる」

 愛はその言葉に食いついた。

「えっ⁉それ、本当⁉」

「ですよね、女神様?」

 真は壁の中の女神に尋ねた。

「ええ、本当よ。それぐらいの報酬はなくちゃ」

 それを聞いた瞬間、愛の目が輝き始めた。何でも願いが叶えられる――ということは、どんな不可能なことだって……

「つまり、なんとかうまくやってディグレイドを倒して、その後に二人別々の人と結ばれる願いを叶えて貰えばいいんだ」

真の冷静な言葉に、愛の頭の上に妄想が膨らむ。

――天堂先輩と、結ばれる……⁉

 それを頭の中で言葉にした瞬間、愛の顔が赤く染まり、気体が湯気のように上昇した。

「そうだね、そうすればいいよね!」

「そんなんでうまくいくわけねーだろ」

 浮かれ気味の愛の頭の上に、エーラが言葉で冷水をかける。

「なっ……」

「ディグレイドってのは手強いんだ。一代目が五人で挑んでも勝てなかった。そいつらがパワーアップしてんだ、余程の『真の愛の力』がないと勝てない。そんな適当な心構えでやれると思ったら大間違いだぞ」

「じゃあ、あたしやめます」

「だからそれは無理だっつってんだろ。これは使命だ。あきらめてこの男とくっつけ」

「そんなぁ~‼」

愛の声が、人気のない路地裏にこだました。



 エーラは天使のくせに人の目に見える。現在は愛が二階の自分の部屋に住まわせているが、家族に見つかったらまずいので出入りは窓から、部屋は押入れ、あまり家にいないようにすることを条件にした。

「……っとにもう……やめることができないとかありえないし……」

 愛はブツブツ言いながらパジャマのボタンをはずした。

「いいじゃねーか。真は顔はかなりいい方だろ?力も強いし背も高いし、言うことなしじゃねーか」

「でも無理」

「なんでだ?」

「っていうか着替えるんだからちょっと押入れに入ってくれる⁉得体の知れない生物に見られたくないし‼」

「あぁ~⁉別にお前の着替えに興味ねぇよ!アーハイハイ、わかったわかった」

 エーラは愛の部屋の押入れに入り、ふすまを閉めた。

「なー姉ちゃん、誰と話してんの?」

 間一髪、ふすまを閉じた奇跡的なタイミングで健が愛の部屋のドアを開けた。

「ちょっと健!今入ってこないで!」

 上半身だけ下着姿の愛は慌てて健の開けたドアを閉め、鍵をかけた。


 学校の制服に着替え終わった愛は、鞄に入れるものを準備していた。

「おい、終わったら終わったって言えよ」

エーラがふすまから出てきた。

「あー、ごめん」

 愛は鞄に教科書を入れながら生返事をした。

「ところで、メシは?」

 愛は横目でエーラを見た。昨日は夕食のハンバーグ、ご飯、さやいんげんの煮つけの残りを食べさせた。文句を言わないでもぐもぐと食べていたところを見ると、どうやら人間界の食べ物は美味いらしい。

「……ちょっと待って、今持ってくる」

 愛はだるそうに立ち上がった。

「なあ愛、その……さくらんぼはあるか?」

「は?」

「だから……あの赤くて丸い実だよ」

「なに?コウモリって、そんなもん食べるの?」

「だぁーっ‼いい加減それ言うのやめろ‼コウモリじゃねぇって言ってんだろ‼」

「……あんただってあたしのこと最初人間って呼んでたくせに」

「だって人間じゃねぇか」

「……私の名前は、愛なんですけど……ちょっと待ってて」


 愛はしぶしぶと一階へ降りていった。

「あら愛、おはよう」

 美奈子は台所で朝食の用意をしていた。今朝のメニューはコーンスープとポテトサラダとロールパンだ。

「おはよう愛」

 愛の父・誠二はキッチンのテーブルでテレビを見ていた。

 愛は冷蔵庫からコーヒー牛乳を出し、グラスに注いだ後口をつけた。

「昨日の午後五時ごろ、かがやき市の陽花シティ東通りで、刃物を持った十代の少年が十代の少女に軽傷を負わせたという通報が入り、警察は厳重に調査を進めています。通報者によりますと少年は鎌のような凶器を持ち誰もいない場所で一人で喋っており、その後少女に近づき刃物で襲ったということです」

 愛は飲んでいたコーヒー牛乳を吹き出した。

「まあ物騒ね……この近くじゃない。愛は大丈夫だった?」

「あたしは大丈夫だよ。昨日は友達の家に言ってたから」

 心配する美奈子の問いかけに、愛はとっさに嘘をついた。


「しかし少年が……ほんと世の中ひどいもんだな」

「そうよね」

 愛は二人に見えない角度で苦笑いをした。昨日起こったことを話せば説明はつくのだが、エーラに「トゥルーラブのことは誰にも話すな」と固く言われているためそれはできなかった。

「……変な事件だよね」

 愛は事件をテレビで見て初めて知ったかのように呟いた。

 テレビ画面が別のニュースに切り替わったところで健が二階から降り、家族四人は朝食をとった。

食事が終わった後、愛は冷蔵庫を開けた。

「……あるし……」

 愛はさくらんぼを数個掴み、二階まで持って上がった。


「おはよう愛~!」

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