第九話 狙われた愛!怠惰の呪いは超キケン!!①
「……おい」
エーラが短い手で愛のほっぺたをつんつんとさわった。
「もう3時間は寝てるぞ、いい加減起きろ!」
愛は外から帰ってきて昼食も食べずに寝ている。もう午後の三時だ。
「……うるさいなぁ……」
愛はごろんと寝返りを打った。
「休みなんだからほっといてよ……疲れてるんだよわたし……」
「昨日の夜もちゃんと寝ただろ⁉どんだけ寝るんだよ‼それに四時から真とパトロールの約束だろ、準備しなくていいのかよ⁉」
「めんどくさい……今日はパス」
エーラはショックで顔がビシッと音を立ててひくついた。
「真くん、なんの本読んでルの?」
「経済学」
「なんだかムズかしそうね」
コンコン、と窓からノックの音がして、真は本をたたんで机に置いた。
「エーラ」
真は椅子から立ち上がりガラッと窓を開けた。
「どうした?」
「……なんか、愛の様子が変なんだが……」
真とジェルは顔を見合わせた。
「帰ってきてから部屋でずーっと寝てて……4時から見回りだってのにあいつ、パスとか言ってるし」
「なんだって?」
真は顔をしかめた。
ピンポーン
「はーい」
天園家の玄関のドアが開き、美奈子は来客を見て驚いた。
「愛さんは御在宅でしょうか」
「あ、あら……どちら様?」
「同じクラスの高嶺真です。文化祭のことで話し合いたいので家に来ました」
ドンドン、と階段を上る音が大きくなってきた。愛はうっとおしそうに顔をゆがめる。
「……うるさいなぁ……」
「おい、天園‼」
ドアをガチャッと開け、エーラとジェル、真が入ってきた。
「……なに……?」
「あっ!」
寝ぼけまなこの愛を見て、ジェルが気づいた。
「何か、茶色いオーラが見える」
「茶色?」
真が訊く。
「愛ちゃんにまとわりついてるワ。昨日はなかったのに」
「……それが原因か」
「お母さん、こっちの水やり終わったよ」
「ありがとう乙葉。部屋で勉強してていいわよ」
バラ、ユリ、チューリップ、スイートピー、アマリリス、水仙など、様々な色や種類の花が並ぶフラワーショップ「natulala」で、乙葉は花の世話をしていた。
乙葉はビニール手袋を外し、じょうろを片付けて二階へ上がった。
「……ふぅ」
自分の部屋に入り、机にノートを広げる。今日はどの範囲を勉強しようかと考えていると、すみれからメッセージがきた。
ヴヴヴ・・・
そちらに目をおとすと、
「乙葉ちゃん、一緒に図書館で勉強しない?」
とすみれからメッセージが来ていた。
いいよ、とメッセージを送ると、乙葉はトートバッグに勉強道具を入れて部屋を出た。
「おまたせー」
「じゃ、行こっか」
乙葉の家から出て、すみれと二人で歩いていると、上空に何かが飛んでいるのが見えた。
「……えっ」
青を基調とした服を着た、背の高い美男子がかなりの速さで空を飛んでいた。
「あ、あれ、何?」
びっくりした乙葉がすみれの肩を叩き、それを指さす。
「え?」
すみれが空を見上げるが、頭にはてなマークを浮かべたまま、別に驚いた様子はない。
「何も見えないけど……」
「えっ!?」
乙葉は男子とすみれ、お互いを交互に見て、困惑した。
「おい、見つかったのか!?グラッディの居場所は!!」
真は切迫した様子でエーラに問う。
「愛の方はどうなの?」
光がシェルルに尋ねる。
「まだ家でずーっと寝てて起きないノ…早くあいつがいる場所を見つけてなんとかしないと」
「天園は、今日の午前中、何をしてた?」
真がエーラに尋ねる。
「そういえば…光の空手道場の見学に行って、一人で帰ってきたな」
エーラが言う。
「明宮、場所は分かるか?」
「道場の場所なら…道草市花垣町◯-△-×番地だけど」
「時間は?」
「愛が帰った時間なら…10時30分に練習が終わったから、その後になるな」
「それで割り出せば…」
真は何やらブツブツと言いながら考え事を始め、しばらくするとピタリと止まった。
「…大体分かった。皆、俺についてきてくれ」
古い廃れた、人気もない寂れた場所のボウリング場に真たちは来た。
「トゥルーラブ・チェンジ」
真はクールな声で呟き、トゥルーサファイアに変身した。青い光が彼を包む。
「トゥルーラブ・チェンジ!!」
それにつられて、光もチャームを持って大きな声で叫び変身した。
「ここの地下に奴がいる」
真は神妙な顔つきで目を閉じ、トゥルーソードを思いっ切り地面に突き刺した。
ドスッ!!




