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コードバディ×トゥルーラブ  作者: エレン


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第七話 希望の三人目 輝く太陽の光・シャイニーファイン①

「今日はどうすっかな~……」

 光は隣町の道場の練習風景を見に行った帰り道を歩いていた。

 時刻はまだ午前十時で、光なりにお洒落をして隣町へ出てきたからにはこのまま家へ帰るのももったいないなと感じていた。

 今日の服装は黄土色のボーダーのシャツに黄色のパーカーを羽織り、下半身は茶色のダボっとしたズボンと白地にオレンジの星のマークが入ったブランドもののスニーカーだ。頭にはキャップをかぶり、肩には茶色のショルダーバッグを下げている。


 土曜日は部活の練習試合で、今来ている街とは違うところに部員と一緒に行っていた。そのため遊園地には行けず、今週の日曜もなんとなく暇でこうしてブラブラしている光だったのである。


(なんかいい店ないかな)

 光は穴場な喫茶店やCDショップを探すのが好きだ。スマホで地図を見ながら近くの店を調べていた。


 その時ふと、近くの駐車場で小さな悲鳴が聞こえた。

「おじさん悪い人じゃないから。ね、一緒に行こ」

「いや、放して!」

 そちらを見ると、中学生ぐらいの女の子が五十代ぐらいの眼鏡をかけた男性に腕をつかまれているのがわかった。女の子は無理やり手を引かれ、連れ込もうとしている車のドアは開いていた。

 光はすぐさまスマホをしまい、そちらへ全速力で駆け出した。

「何してるんだお前!!」

「えっ⁉」

 光は二人の間に割り込み、男性から女の子を引き離して距離を取った。

「なあに君?ちょっと邪魔しないでくれないかなあ」

 男はにやにやと笑い、怪しい手つきで光に近づく。

 女の子は光の腕を掴みながら怯えた目で男を見ている。

 光は目を光らせると、一歩前に出、男性の腕を掴み、体を地面に思いっきり叩きつけた。

「ぎゃああ‼」

 男性は悲鳴を上げて地面に倒れた。

「警察呼ぶぞ」

 光は男を見下ろしながらスマホを取り出し、一蹴した後容赦なく「110」を押した。

「すすす、すいま、すいませーん‼」



 警察に連絡した後、陽の当たる明るい公園に来た二人はベンチに腰かけた。

「オレンジジュースで良かった?」

 近くの自販機でジュースを二本買った光は一本女の子に差し出した。

「あ、あ、あ、あの‼」

 女の子はジュースを受け取らず、光の顔を真っ直ぐ見て言った。

「抱いてください‼」

「はあ⁉」

 光は思わず缶ジュースを落っことしそうになった。

「私、あなたに一目惚れしました……」

 光は困惑して少女の顔を見た。顔の色は真っ赤だった。

「え、いや、あのね……」

「お願いです‼私、心臓の病気で余命があと半年しかないんです……‼」

「えっ」

 突然のカミングアウトに、光は声がうわずった。

「……それ、本当?嘘はダメだよ?」

「嘘じゃないですよ……」

 少女は呟くと、両こぶしを握りうつむいた。

「……いや、でも」

 どう言うべきか少し考え、女の子はそんな光の方をちらっと見た。

「……だめだよ、始めて会った人にそんなこと言っちゃ。もっと自分を大切にしないと」

「あなたがいいんです」

 聞く耳を持たない少女に、光は少し呆れた。

「名前教えて下さい!」

 目を輝かせながら聞いてくる少女に、光は後ろ頭を掻いた。

「……あけみや、ひかり…」

「光さんですか!いい名前ですね、かっこいい!」

「……君は?」

 光がそう聞くと、女の子は複雑そうな顔になり再びうつむいた。

「みらい……」

「みらい、ちゃん?」

 みらいは間をおいた。

「……自分の名前が嫌いなんです。私には未来なんて無いのに」

 一瞬、光の頬に冷たい風があたった気がした。

「でもいいんです!光さんは、名前で呼んでください!」

「……いいの?」

「はい!」

 みらいの元気な声に、光は少しホッとした。

「ね、映画見に行きましょうよ!私あれ見たいんです、『蓮と嘘』‼続編が出てるって聞いて」

「えーと…」

 光は右頬をかいた。

 みらいのしょんぼりした顔に、光は少し申し訳ない気持ちになった。

「……わかった、いいよ」

「え、ほんとですか!?」


 二人は商店街を通ってショッピングモールの中に入った。休日なので、他の学生たち、親子連れ、カップルやOLなど、様々な人々がそれぞれ楽しそうに過ごしていた。

 光とみらいは上映時間までショッピングモールの中を歩きながら会話をした。


「面白かった‼」

 上映後、映画館を出た二人はファーストフードの店でハンバーガーを食べていた。

「前作は見てないけど、純愛って感じの映画だね」

「光さんはどこが印象に残りました?」

「やっぱり主人公がヒロイン二人のどっちを選ぶのかが最後まで分からなくて、あーそういう結末か、って納得したし、だいぶ感動した」

「そうなんですね、私は話の中盤で主人公が茶髪の方のヒロインを抱きしめるところが良かったです」


 その後、二人はショッピングモール内で一緒に小物雑貨を見たり、CDショップに行ったり、カフェに行ったりして時間を過ごした。


「もう2時か……」

 光は腕時計を見た。とりあえず出会った場所である公園まで歩いていくことにした。

「光さんてロックすごく詳しいんですね!私普段Jポップしか聴かないから、今度ロックも聴いてみようかなぁー」

「うん……」

「あ!あの店にも行きましょう?」

 公園の方に向かおうとした光の服の袖を掴んで、みらいはタピオカ店の方向を指さして引っ張った。

「あのさ」

 光は少し強めの声で言った。

「……帰らなくていいの?」

 みらいは立ち止まって、表情を強張らせた。

「……抜け出してきたんでしょ。皆、きっと心配してる」

「……いや」

「みらい」

「ねえ、やっぱりこんなの駄目だよ。発作が出たら大変だし、もう帰ろう」

「やだ‼」

 みらいは光を置いて走り出した。

「みらい!!」

 その時、ちょうど前にいた女性にみくるはぶつかった。紫色のウェーブがかった髪、赤色のロングドレス、黒いハイヒールを履いている。

「あらあら、どうしたの?そんなに慌てて走って」

 振り返ったアナディアナは肌が不健康的に白く、美人だが、瞳が蛇のように鋭い光を放ち、艶やかだが不気味だった。

(……何、こいつ……⁉)

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