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コードバディ×トゥルーラブ  作者: エレン


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ディグレイドのリーダー・堕天使ルファイン②

(……パトロールかぁ)

 愛は今日は手芸部には行かず、一人で校門へと歩いていた。

 美術の時間に見た色相環の青と白が脳内にちらついていた。

(あたしは、一体どっちが……)

 ふと校門の方を見ると、見覚えのある黒塗りのベンツが止まっているのを目にした。

「えぇっ⁉」

 その直後、愛のスマホにラインが届いた。

 そのメッセージを見た時、愛はますます驚いた。

「えぇっ⁉ちょっと、待ってよ‼」

 愛があたふたしながらスマホとベンツを見比べていると、車から一人の少女が出てきた。

 百七十センチはある背丈に、サラサラの長い水色の髪、整った完璧な顔立ち。少しだけたれた綺麗な二重の目は潤み、鼻は高く、唇はピンク色に輝いている。肌はものすごくきめが細かく、高級そうで女性らしい白いワンピースを着てプラチナのように光るサンダルを履いていた。

「雪‼」

 愛は少女の方へ駆け寄った。

「久しぶり、愛」

 雪と呼ばれた少女は笑った。笑顔もまた、完璧だった。

 彼女は道野雪。愛の幼い頃からの親友で、中学までは同じ学校に通っていた。高校は聖マリアージュ学園というお嬢様学校に通っている。

「どうしたの⁉今日は仕事、ないの⁉」

「うーん、あるといえばあるんだけどね。愛に会いたくて、来ちゃった☆」

「えぇー⁉言ってよぉー‼」

 愛は雪に抱きついた。

「ねぇ、あれ、道野雪じゃない⁉」

「え⁉芸能人の⁉」

「うわマジ⁉超ヤベー‼」

 校門の周辺がざわついてきたところで、雪は愛の頭を撫でて言った。

「車に乗りましょうか」



 雪は大手洋服ブランド会社のお嬢様でありながら女優やモデル、歌手などの仕事をこなしている。実績はCDを数枚と、映画やドラマにも何本か出演している。

 愛と雪はマネージャーの運転するベンツに乗り、人気のない所へ移動した。


「もぉー、来てるんなら言ってよね‼いきなりラインで『久しぶり』なんて、びっくりするじゃん‼しかも目の前に車止まってるし‼」

「ちょっと驚かせたかったのよ」

「あっはは……そういうとこ変わらないよね~」

 愛は若干、苦笑しながら言った。

「仕事はどうなの?忙しい?」

「まあね。たくさんオーディション受けてるけど、落ちてばっかりよ」

「えぇ、嘘でしょ⁉けっこうドラマ出てるのに‼」

「それでも、主演はまだ二回だけだし」

「いや、普通に凄いよ‼っていうか、せっかく学校来たなら光や菜穂にも会ってってよ‼菜穂なんてすっごく会いたがってるよ⁉」

 その直後、マネージャーの携帯がピリリと鳴り、運転席の男性が数秒話した後、雪に言った。

「雪、十六時からnan-naの撮影。その後グラビアだから」

 それを聞くと雪は愛の方を向いた。

「ごめん愛、本当は二人にも会いたかったんだけどもう時間ないの。また絶対時間つくるから、その時まで待って」

「うん、いいよ。ていうか雪、グラビアもやってんの⁉」

「当たり前でしょ。仕事だし」

 雪はチラッと腕時計を見た。

「ごめん、愛、もう行かなきゃ」

「うん」

 マネージャーは適当に走らせた車を校門の前に止めると、愛を降ろした。

 車は愛から離れ、あっという間に見えなくなってしまった。



(なんか、どんどん住む世界が遠くなっていくような……)

 愛は車が走っていった道路をぼんやり眺めていると、校門から出てきた光と菜穂に声をかけられた。

「何してんだ?愛」

 愛はくるっと勢いよく体を回転させると、仰天した光と菜穂に急速に近づいた。

「光、菜穂‼さっき雪に会ったの‼」

「ええっ⁉」

 菜穂は愛に負けない大声で反応した。

「マジで?来てたんだ」

 それに反して光はそこまで驚かず、割と普通の反応をした。

「なんで教えてくれなかったの~⁉会いたかったのにー‼」

 菜穂は大きい猫目をさらに大きく開かせて愛の肩をつかんだ。

 菜穂は雪のファンで、個人的に雪のCDや出演したドラマや映画のDVD、グッズも全部持っている。

「ほんとは会わせたかったんだけど、雪、これから撮影で」

「そうなんだぁ~。残念~」

 菜穂はがっくりと肩を落とした。

「雪もすげーよなぁ。もうすっかり芸能人で」

 光はそう言いながら遠くを見つめた。

「うん……なんだかもう別の世界の人に見えるよ……」

「でも、友達っていうことには変わりはないからな」

「それは当然だよ!」

 光と愛は目を合わせると、お互いににやっと笑った。

「それはそうと、これから三人で街行かね?今日はあたしも菜穂も部活休みなんだ」

「えっそうなの?……って」

 愛は二週間ほど前のことを思い出して複雑な心境になった。

「街に行って大丈夫なの⁉ホラ、不審者の件が……」

「ああ、それ?先生に聞いたけどもう大丈夫だって」

「ほ、ほんと……?」

「だいじょぶだいじょぶ。うちのクラスの子も何人か行ってるぜ?」

「今、期間限定のクレープ出てるんだよ。ねー愛、食べたいよぅ。それだけ食べたら帰るからさ、いいでしょぉ?」

 菜穂のキラキラしたネコのような瞳で見つめられて、愛は拒否できなくなった。

「う……うぅ、わかった、いいよ……」

 愛は少し不安だったが、眉尻を下げて笑った。



「うわー、このワンピースかわいい‼」

 菜穂は街のショッピングモールで洋服を見ていた。クレープを食べた後、菜穂がどうしても洋服を見たいと言うので愛と光は仕方なく付き合うことにしたのだ。

「クレープ食べたら帰るんじゃなかったのかよ……」

 光は呆れ顔で買い物中の菜穂を見ていた。

「ねー光、これ私に似合うか見てー‼」

 光はやれやれといった具合に菜穂の所へ行った。

 少し離れた所に小さな靴屋があり、愛はそこの商品に目を奪われた。

(あっ、このパンプス可愛い……)

 愛は靴のそばに行くと、パンプスを眺めた。淡いピンク色の生地に、キラキラした小さなガラス石が散りばめられたデザインだ。値段を見ると、四千円を少し超えていた。

(高い……)

 バイトもしていない高校生にとっては四千円は高い値段だ。貯金で買えないこともないが、今の財布の中身では足りない。


「こんにちは」

 よく通る優しげな声に耳を奪われて顔を上げると、そこにはカジュアルな格好をした金髪でミディアムヘアの男の人が立っていた。色白で線が細く、優しく整った顔立ちはどこかの王国の王子のようだった。

(きれいな顔……なんとなく、天堂先輩に似てる……?)

 男性は愛を見るとにっこりと笑った。

「きれいな靴だね。それが欲しいの?」

「え、いや、まあ……でも少し高くて、どうしようかなって」

「買えばいいじゃない。君に似合うよ」

「えっ……?でも、衝動買いはちょっと……」

 愛は購買をすすめてくる男性に、一瞬ここの店員かと思ったが、なんとなくそうではないような気がした。

「もし」

 男性は間を置き、愛は怪訝な顔つきで彼を見た。

「もし、君の欲しいものが自由に手に入る世界だったら、どう思う?」

「え……?」

 愛は眉をひくつかせた。

「靴も、洋服も、宝石も、バッグも何もかも」

「……あの」

「聞いてるんだ。どう思うか、って」

 その男性のきれいな碧眼の、瞳の奥の得体の知れない何かに、愛は恐怖を感じた。

「ど、どう思うか、って……そんな世界、ありえるわけないじゃない。私たちは働いて、お金をもらって、欲しいものを買う。そうやって生活してるわけでしょう?」

 男はフッと微笑すると、

「君の答え、想像以上につまらない」

 と言い放ち、愛を蔑むような目で見た。

「な……」

 愛は困惑し、唇を震わせた。

「でも、やはり君だよね、ルビーローズ」

 耳元で囁かれ、愛の体に悪寒が走った。

「あなた……⁉」

「トランスフォーム」

 男が呟くと、一瞬で服装が白を基調としたコスチュームへと変わった。背中にはひだの多い銀色のマントを羽織り、腰には金色のベルトをつけており所々にチェーンが光っていた。膝まである白いブーツにはそれぞれ二匹の蛇が絡まったような模様が描かれてあった。

 愛が呆気に取られている間に、男は菜穂の方へ歩み寄った。

「お嬢さん」

「えっ⁉」

 菜穂は男を見た瞬間、目を開かせ顔を紅潮させた。

 男は片手で菜穂の肩を押さえ抱き寄せ、耳元で何か囁いた。

 その瞬間、菜穂の目が虚ろになり、頬を赤くさせたまま男に身を預けるように倒れ込んだ。

「菜穂⁉」

 一瞬、光の方を見ると、まるで時間が停止しているように表情が止まって動いていない。

 ハッとして視線を男の方に戻したが、男は既に菜穂と共に消えていた。

「菜穂っ‼」

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