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コードバディ×トゥルーラブ  作者: エレン


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愛&りょう・菜穂&真!Wデートはドッキドキ!?③

 真はいきなりの不意打ちに上手く対応できず、焦った。

「ハッハァ‼お前が最近俺たちに嫌がらせしている男だろう⁉丁度いい機会だ、ここでいつもの仕返ししてやるぜ‼」

「えっ……な、何⁉」

 愛はいきなりの出来事に混乱した。真を襲っている人物は、ニット帽をかぶり上下黒いスウェットを着た男だ。お化け屋敷は灯りがついても明るくはないのでわかりづらかったが、ちゃんとした人間のように見える、が……。

「ンンンンッ、ンンンンンンンンンッ‼」

 真は何か言っていたが、口をふさがれているためちゃんと喋ることができない。

「ここはオレの土地なんだよ‼その場所に、こんなダッセェ遊園地なんか作りやがって……しかもそこらじゅうでカップルがいちゃついてやがる‼もう我慢できねぇ‼」

「ンンンンッ‼」

 愛は真の訴えるような瞳で、直感的になんとなく察しがついた。

「トゥルー・ラブ・チェンジ‼」

 愛は変身し、ピュア・ラ・ブレイドを持って切っ先を男に向けた。

「うげっ……⁉まさかお前……⁉」

 男は動揺し、しかし真は抑えたままでたじろいだ。

「トゥルーラブ・シャイニング‼」

 愛は剣から光を発し、真ごと男にそれをあてた。

「あ……」

 男は光り輝いて消えていった。

「ぶはっ‼……はぁ、はぁ……」

 真は解放され、息を喘いだ。

「だ、大丈夫?」

「お前……よくあいつが実体化したリューフだってわかったな」

 真は呼吸を整えながら愛を見て言った。

「キャア――――‼」

「うわぁあ――――‼」

 お化け屋敷のあちこちから叫び声が聞こえてきた。

「な、何⁉」

「どうやらここに居ついているリューフが実体化して客を襲っているらしい。天園、お前の『アロットフ』で一斉に浄化してくれ‼」

「え……でも、あれは広いところじゃないとできないよ!ここじゃ狭いし、壁とかを傷つけちゃう」

「じゃあ俺が壊す」

 真顔で言う真に、愛は信じられないという表情をした。

「駄目だよ‼建物を故意に壊しちゃ……」

「お前なぁ‼遊園地に来てる客とここら一帯の壁と、どっちが大事なんだよ‼」

「そ、それは……」

「トゥルーラブ・チェ……」

「ちょ、ちょっと‼目の前で変身しないでよ‼」

 チャームを持ってかけ声を唱えようとする真を愛は慌てて制した。変身する時は衣服が変わるだけではなく、一瞬肌が見えるのだ。普通の人が見たならただ姿が消えたように見えるだけだが、トゥルーラブは片方が変身すればその様子は始終見えてしまう。

「チッ、暗いから見えないだろ。後ろ向いてろ」

 久々に舌打ち、と愛は一瞬イラっとしたが、そんな場合ではない。

「トゥルーラブ・チェンジ‼」

 愛がまだ後ろを向いていないのに真は勝手にかけ声を唱えて変身した。

「キャッ⁉」

 愛は慌てて顔を両手で隠して後ろを向いた。

「じゃあやるぞ」

「もー‼信じらんない‼」

「ごたごた言ってる場合じゃないんだよ‼早くしないとリューフたちがこっから出るだろ‼」

「……わかった」

 真はトゥルーソードを使い迷路の壁を一部だけ破壊した。

 愛はその場所で仕方なしに剣を構えると、ぐるりと回転した。

「トゥルーラブ・シャイニング・アロットフ‼」

 剣から光が溢れ、お化け屋敷中のリューフを一掃した。

「よし、行くぞ‼」

 真はトゥルーソードで天井を壊し、そのまま上へ飛び上がり穴から外に出た。

「あとで謝っとかなきゃ……」

 愛はボソッとつぶやくと、飛び上がって真の後に続いた。



「キャアァァ――‼」

「うわぁああ――‼」

 外に出ると、お化け屋敷にいたような闇のリューフと同じような者たちが遊園地中で客を襲っていた。

「こ、これは……⁉」

 愛と真は辺りを見回した。

「ルビーローズ‼トゥルーサファイア‼」

 エーラとジェルがはばたきながらやってきた。

「エーラ!これはどういうこと⁉」

「よく分からねぇが、黒いリューフが実体化してやがる。それに……」

 話の途中で、聞き覚えのある男の声がした。

「また会ったなお前ら!あんなんじゃ俺は消滅しないぜ!」

 振り向くと、そこにはさっき浄化したはずの真を襲った男のリューフがいた。

「お前、なんでまだ……⁉」

「さぁ、なんでだろーな?」

 男はにやにやと真を見ながら言った。

 襲われていた客たちはぐったりと倒れ、実体化した他のリューフたちが愛たちを取り囲むように集まってきた。

「ルビーローズ、もう一回アロットフを……」

「そうはさせないぜ‼」

 老若男女、様々な黒いリューフたちが霧状化して愛と真を襲った。

「きゃあ……‼」

「っ‼」

 遊園地中にいた黒いリューフが密集して霧状になり、二人にまとわりついているため、たまったものではない。

 真は霧を払おうとトゥルーソードを振った。だが、悪霊は霧状化しているためうまく払えない。

 空に飛び上がり、霧をかわしつつ一気に後ろに下がり、そのまま主犯者の男のいる方へ地面を蹴って飛び、剣を振り下ろし男に光を当てた。

 リューフは光って散ったが、再び黒くなり、再構築された。

「何故だ⁉」

 通常なら一度浄化すればそれで終わりだ。しかし現にこの男は復活している。それがなぜなのか真はわからなかった。

「真、愛ガ……‼」

 愛は黒いリューフの霧に纏わりつかれている。

 ジェルは焦りながら真に言った。

「くっ……何でだ⁉答えろ‼」

 真は霧につかれながらも男の首元をつかんで揺さぶった。

「それは……言えねぇ……」

 男は揺さぶられながらも口を割らなかった。

「トゥルーラブ・シャイニング・アロットフ……‼」

 次の瞬間、愛が技を発動させ、愛と真に纏わりついている霧と主犯者の男が消えた。

 愛はふらふらとよろめいた後、地面に倒れた。

「ルビーローズ‼」

 真は駆け寄り、腰を落として愛を見た。愛の顔色は大分悪かった。

「ちょっと……叫んだ時に、霧を吸い込んじゃって……」

「無理して言ったのか」

「ごめんね、二人で……倒さなきゃいけないのに、足手まといになっちゃって……」

 真の瞳孔が大きく開いた。

(二人で……?)


 もやもやと黒い霧が辺りに現れ、消したはずの悪霊たちが実体化して出てきた。

 主犯者の男以外の、他のリューフたちも実体化して辺りに立っていた。

「はっはっは‼そろそろ冥土へ行く覚悟はできたかぁ~?」

 真は不敵な笑みを見せると、愛に耳打ちした。

「次でとどめだ‼襲いかかれお前ら‼」

 男を含むリューフたちは霧状になり、四方八方から二人に襲いかかった。

 真は愛の体を支えて立ち上がり、一緒にピュア・ラ・ブレイドを持って叫んだ。

「トゥルーラブ・シャイニング・アロットフ‼」

 二人は旋回し、先ほどよりもかなり強い光が周囲を照らし、悪霊たちは叫び声を上げて消え去った。

「ぎゃぁああああああ‼」

 悪霊を浄化し終えると、真は回転を止めて愛は再び倒れ込んだ。その直後、自然に愛の変身が解けた。

「ルビーローズ、トゥルーサファイア‼」

「大丈夫⁉」

 エーラとジェルが二人の近くへ飛び寄った。

「無理させた、悪い……」

「ううん。支えてくれて、ありがとう」

 ジェルは体を光らせ、愛におでこをくっつけ羽を二回羽ばたかせた。

 愛のおでこから体全体に光が行き届き、愛の顔色が良くなった。

 ジェルは完全な天使なので、治癒と浄化する力を持っているのだ。

「ありがとう」


「一人だけの技じゃ浄化できないなんて、どういうことなんだ?」

 二人が変身を解いた後、真がエーラに尋ねた。

「それは……」

 エーラが考え出した時、お化け屋敷の方からりょうと菜穂が走ってやってきた。

「愛―!」

「やべ……後で落ち合うぞ!」

「ゴメンね、ワタシはお客さんたちを浄化しに周ってくるカラ!」

 そう言うとエーラとジェルは慌てて飛んでいった。



「やっと見つけた!二人ともどこにいたの?」

「なんか変な叫び声とか聞こえるし、外の人たちは倒れてるし、どうなってるんだ一体⁉」

「え、えっと……」

 菜穂とりょうの問いに愛が困っていると、真が前に出た。

「変な奴らが遊園地を荒らしてたんだ。警察が来てことは収まったから大丈夫だ。ただここの人も結構取り込んでて、乗り物の再開にまだ時間がかかるみたいだ」

「そうなの?」

 りょうが訝しんだ顔で言った。

「……うん、あたしたちはなるべく被害が来ないように離れた所にいたから」

「ふうん」

 菜穂が半分納得した顔で呟いた。

「変なことは起こるし乗り物は止まるし、災難な日だな」

 りょうはため息を吐いて後ろ頭を掻いた。

「そうだ、遅くなったけどお昼食べようよ。飲食店はやってるよ」



 変な事件はあったが天気は未だ快晴ということで、愛たちは屋台から少し離れた広場の芝生の上で昼食を食べることにした。広場の時計は午後二時を指していた。

 愛が家から持ってきたピクニックシートを芝生の上に敷き、そこで北側に右から真、りょう、りょうの前に菜穂、真の前に愛と向かい合う形で座り、屋台で買ったホットドッグとサンドイッチを食べた。

「美味っしいー‼」

 菜穂はサンドイッチを頬張りながら目を輝かせた。

「遅くなったもんなー」

 りょうも喋りながらホットドッグを頬張る口を動かす。



「風浜、風浜、こっち向いて―」

 昼食を食べ終わり四人は一息ついていた。

 菜穂はデジカメを取り出し、りょうに向けてシャッターを何度も切った。

「なんだよ、藤野、なんで俺?」

「じゃあ次は高嶺くんとツーショットで」

 菜穂はりょうの横に移動し、絶妙な角度で二人の写真を撮った。


 菜穂は通りかかったカップルの男の人に撮影をお願いし、四人の写真を何枚か撮ってもらった。



「大変お待たせして申し訳ありませんでした。只今乗り物のメンテナンスが終わりました。停止していた乗り物は通常通り運転を開始いたします」

 午後三時頃、ファンタジーランド内のカフェで時間を潰していた愛たちは場内のアナウンスを聞いた。

「やっとか!」

 りょうはガタッと立ち上がった。

「ジェットコースター乗ろ‼」

 菜穂も立ち上がり、急ぐように言った。

「えぇ⁉また~?」

 愛は憂鬱そうな顔をしながら、走ってカフェを出て行く菜穂とりょうを追った。



 大体の乗り物に乗った後、四人は歩きながら軽く伸びをした。

 愛は腕時計を見た。時刻は五時で、日が暮れ始めている。

「時間的にどうする?移動もあるし、五時半にはここ出ないと」


「最後に観覧車乗ろうよ‼かなり景色いいって評判なんだよ‼」


 菜穂の提案で、四人は観覧車の前に来た。

「二人ずつで分かれた方がいいからじゃんけんしよ。グーとパーね」

 愛と菜穂がグー、真とりょうがパーになった。

「やったー‼愛、乗ろっ♪」

「う、うん」

 菜穂に背中を押され、愛はゴンドラに入っていった。



「うわー高―い」

 愛が北、菜穂は南、と向かい合うように座った。

 菜穂は窓に張り付き、どんどん遠ざかっていく外の景色を眺めていた。

「ね、愛、景色すごいよ」

「うん」

 愛は両手を膝の上に乗せ、姿勢を正して東の窓の外を見ている。

 どこか寂しそうな愛の表情に、菜穂は顔を無表情に戻した。

「……もしかして、高嶺くんと一緒が良かった?」

 愛はびっくりして開いた目を菜穂に向けた。

「え、えぇ⁉別にそんなこと思ってないよ‼」

 愛は少しだけ頬を染め、両手を大げさに動かして否定した。

「……ほんとに?」

 愛は頬を染めたまま黙った。

「ほんとは最初から高嶺くんとペアが良かったんでしょ?」

「え……」

「見てればわかるよ。愛、顔に出やすいから」

「そうかな……」

 愛は頭を掻いた。


 ゴンドラが一周し、元の地点に着き、降りる直前、菜穂が愛の耳元に口を当てて言った。

「最後、上手くやるから一緒に乗りな」

「えっ」

「ちゃんと愛から誘うんだよ‼」

 菜穂は観覧車から降り、先に降りていたりょうの所へ行った。

「りょう!今度はあたしと一緒に乗ろ!」

 菜穂はりょうの腕をつかみ、ゴンドラへと引っ張っていった。

「えっ⁉何で⁉」

「いいじゃん、まだ時間あるし」

 菜穂はほとんど無理やりにりょうとゴンドラへ乗り、一瞬愛を振り返ってウインクし、ドアを閉めた。



 取り残された愛と真は呆然と突っ立っていたが、観覧車へ乗る客が次々に侵入し、二人は列から離れた後ろの方へ移動した。

「何だ、あの二人……」

 真は理解できないという風に後ろ頭を掻いた。

(菜穂……)

 愛は腕時計を見た。五時半まであと十五分しかない。

 愛は心臓を高鳴らせて横に立っている真を見た。いつものクールな表情で、少しずつ動く観覧車を眺めている。

「あの、高嶺くん‼」

 愛は勇気を出して大きな声で言った。

「……何?」

「じ、時間あるし、一緒に乗らない?」

「……いいけど」

 真は意外にあっさりと了解した。



 菜穂とりょうが乗ったところから六つ離れたゴンドラへ入り、愛が南、真が北に座った。

 一緒に乗ったはいいものの、何を話したらいいか分からない愛はチュニックをつかんだまま下を向いていた。

 真はそんな愛の様子には気づかず、外の景色を眺めていた。

(どっどうしよう……意識しすぎちゃって緊張するよ……)


 沈黙の中、真が景色を見ながら言った。

「今日は災難だったな」

 愛は少しホッとし、顔を上げて横を向いている真の顔を見ながら言った。

「うん……でも、みんなと遊べて楽しかったよ」

「そうか」

 真は景色から目を離し、正面を向いた。愛と視線がぶつかる。

 愛はあわてて左に目線を逸らした。

「どうかしたのか?」

 真は不思議がって愛に尋ねた。

「な、なんでもないよ‼」

「なんか顔が赤いぞ。熱でもあるんじゃないのか」

 真が愛の方に正面から顔を近づける。

 ドクン、という心臓の音が聴こえる。

「天園」

 真が愛に片手を伸ばす。

(……えっ⁉)

 愛は目を見開いて真を見た。

 至近距離の真に耐えられなくなり、ぎゅっと目をつぶった。

「埃、ついてる」

 真は右手でパンパンと愛の左肩をはらった。

(な、なんだ……)

「お化け屋敷の事故んときかな。なんにせよ今日は早く帰った方がいい」

「大丈夫だよ‼顔が赤いのは、夕日のせいじゃないかな⁉それと日中、けっこう日に当たってたし!」

「……そうか」

 真は意外に早く納得した。

「高嶺くんは?今日、楽しかった?」

「うん、楽しかった」

 真は目を細め、口角を少し上げて笑った。

 滅多に見せない真の笑顔に、愛は心臓の音が再び鳴った。

 再び顔が赤くなりだした愛を、真は怪訝そうに見る。

「……やっぱり熱あるんじゃないのか」

「そ、そうかもね」

「大丈夫か?」

「……今日は早く寝るよ」



「おつかれー‼」

 先に降りていた菜穂とりょうが愛と真を迎えた。

「二人も一緒に乗ってたんだねー!」

「う、うん」

 愛の顔はまだ紅潮していた。

「なんか天園、熱あるみたいなんだ。今日はこれで帰らないか」

「そうなの?」

「なんだよ愛、大丈夫か?」

「う、うん」

「日も暮れてきたし、改札口まで行くか」

 真の言葉に三人は賛同し、四人は出口まで歩いていった。


 改札口を出たところで愛は三人と別れた。

「またね、菜穂、りょう、高嶺くん」

「バイバーイ!」

「また来ようぜ!」

「ああ」


 駅の改札口を出てしばらく歩き、人気が少なくなったところでエーラがポシェットから顔をのぞかせた。

「よお、今日はどうだったんだ?」

 紅潮した頬も大分熱が引き、夜の涼しい風に当てられて気分が良かった。

「うん、楽しかったよ」

 愛は抑揚のある声で答えた。

「なんだ、やけにしんみりしてるな」

 エーラが右肩の辺りを飛びながら不思議そうに言った。

「別に……あのあとエーラたちはどうだったの?」

「あ?ちゃんとジェルが香水を吹きかけて人間たちの記憶は消したぜ」

「そう……」

「それより真とはどうだったんだよ。観覧車で二人きりになったんだろ?」

 愛は何も言わず、薄暗い住宅街を歩いていた。

「……どうした?愛」

 愛は、暗くなって青みがかった、ゆっくり動く雲を仰ぎ、息を吸った。

 遠くから聞こえる自動車の滑走音が、意識の外で微かに聞こえていた。

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