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花に魅せられて

作者: 夢野ありか
掲載日:2025/12/19

 クルミは毎日、仕事帰りに寄る花屋が好きだった。店内は、色とりどりの花々が溢れ、心がほんのり癒される場所だった。特にお気に入りだったのは、カオルという中性的なイケメンの店員。彼の柔らかな笑顔や、花を扱う優雅な手つきに、クルミは毎回釘付けだった。


「こんばんは、クルミさん。今日は何のお花をお探しですか?」カオルが声をかけてくると、クルミの心臓はドキドキと早くなる。何を言おうか、一瞬頭が真っ白になるけれど、彼の目を見ると勇気が湧いてきた。


「うーん、今日はチューリップが元気に咲いてるね。これにしようかな。」そう言いながら、クルミはチューリップの束を指差す。カオルはさっと丁寧に包みながら、「これ、春の訪れを感じさせる最高の一品ですよ。」と微笑む。


 数回通ううちに、クルミは少しずつ彼と親しくなっていった。ときどきおしゃべりをし、時にはクルミの選んだ花に対してカオルがアドバイスをくれる。彼との距離が縮まっていくのが嬉しかったクルミは、次第に彼に対する思いが大きくなっていった。


 ある日、ついに思い切って告白することを決意した。心の中で緊張と不安が渦巻いていたが、彼女は素直に自分の気持ちを伝えた。「カオルさん、私……、あなたのことが好きです。もしよかったらデートに行きませんか?」


 カオルは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに微笑んで「えっと、考えさせてほしいな。」と答えた。その反応に胸が高鳴り、何か特別なことが始まる予感がした。


 数日後、カオルから返事があった。「クルミさん、デート、行きましょう。」その言葉に、クルミは嬉しさでいっぱいになり、夢心地でその日を待ちわびた。


 デートの日、二人は素敵なレストランで食事をしたり、お花を見ながら散歩したりした。楽しい時間はあっという間に過ぎ、帰る道すがらカオルが急に真剣な表情になった。「クルミさん、実は私には言わなければならないことがあるの。」


 その言葉に、クルミは緊張した。何を告白されるのか。心の中に不安が広がる。カオルは続けた。「私は……女性です。割とジェンダーニュートラルな感じに見えるかもしれないけれど、本当に女性なの。」


 一瞬、言葉が理解できなかった。クルミは驚きと混乱が入り混じる中で、カオルを見つめた。すると、カオルの目が不安に揺れているのを見て、自分の心のどこかがほっとした。


「ありがとう、教えてくれて。私もあなたが誰であっても、好きです。」クルミは、彼女自身の気持ちを明確にした。


 それからの時間は、二人にとって新たな始まりとなった。カオルはクルミにとって花のような存在であり、同時に互いの心を開く素敵なきっかけとなったのだ。花に魅せられて出会った二人が、これからどんな物語を紡いでいくのか、クルミの心は期待でいっぱいだった。

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