表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/30

【P7】記憶の扉──“その片鱗は汝の中にあった”

 あなたは、恐れよりも欲求を選んだ。

 短剣をそっと収め、両の掌を装置の窪みに重ねる。ぴたりと合った刹那、

音もなく、世界が反転した。

 空間が沈んでいく――いや、沈んでいるのはあなた自身だ。

 視界は真っ白に染まり、森の音、空気の重み、全ての感覚が脱落していく。

 そして、見えた。

 ……雪に覆われた石橋。火に焼かれた塔。

 誰かが手を差し伸べ、誰かが振り返らずに去っていく。

「境の森」の入り口に立ち尽くす、あの後ろ姿――それは、かつての“あなた自身”。

 声がする。

「記憶とは重さだ。持つ者は削がれ、持たぬ者は空ろとなる。ここで得るものは、同時に“現在”を犠牲にしている」

 脳裏に流れ込んできたのは断片。だが確かに“過去”だった。

 幼いころに見たはずの書物。封印の存在。森の神性。

 そして最後に、あなたの中にいた「問い」が呼び起こされる。

 ――もし選び直せたとして、君は再び同じ道を歩むか?


 その瞬間、光が砕けた。

 あなたは倒れこむようにして現実に戻る。

 だが、石碑の地紋がうっすらと掌に刻まれていた。

 あなたの地図が変わっている。“選択の間”への道が刻まれている。

 扉は、開いた。


 → [P19]



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ