【P6】石の回廊──“影を封じた者たちの通い路”
あなたは地図の印に導かれ、小川を越え、石畳の道へと足を踏み出した。
そこはもはや森ではなかった。木々のざわめきが遠のき、空気は無音の静けさに
包まれていた。
石畳は自然に覆われながらも、時折、模様が浮かび上がっては沈んだ。太古の
遺構、あるいは意図的に隠された道。いずれにせよ、これは人の造形ではない。
やがて道は切り立った岩壁に突き当たり、その表面には大きな門のような文様が彫られていた。中心には、短剣の柄に刻まれていたものと同じルーン。
あなたが短剣を近づけると、それは反応し、青く輝いた。石壁が低く唸りながら左右に割れ、内側に暗い回廊が現れる。
中は、まるで時間が凍ったかのように静かだった。
天井も壁も、青白い鉱石のような光で照らされている。そこに描かれていたのは、この世界がいかにして誕生し、幾度滅び、再び巡ってきたかという神話だった。
“この森は、かつて神々が試した箱庭だった”
“失われた記録は、言葉としてではなく意志として刻まれた”
……読めぬはずの文が、あなたにはなぜか理解できた。
誰かがあなたに、これを見せるためにここへ導いた――。
あなたは、進む。次の扉の先に、何があるのかを知るために。
→【P8】