【P5】逸れた影──“見捨てられた道を行く者”
あなたは、道を外れた。
それはどこか、敗北のようでもあり、自由な意志の証明のようでもあった。地図の
示す「正道」を拒否し、あなたは自らの感覚と直感のみに従って森を彷徨い始める。
だがその森は、予想以上に深かった。
木々の密度が増し、空気は停滞し、まるで地そのものが眠っているような重苦しさが広がる。足元には、倒木や古びた金属片――人が使っていたはずの器具――が散らばっている。
やがて、視界の奥に黒ずんだ塊が見えた。近づいて確かめる。
それは――人だ。いや、かつて“人”だったもの。骨と化した体には破れたマントがまとわりつき、首からは、あなたの地図と似た羊皮紙の断片が垂れていた。
「俺の……道……では……なかった……」
風の音か、亡霊の声か。あなたはその場を離れようとするが、足元の地面が
かに震えた。どこかで太鼓のような音が、一度、鈍く鳴った。
そして次の瞬間、頭の中に声が刺さるように響いた。
「選ばれぬ者は、声となって森に残る」
記憶の霧が再び濃くなる。ここに来る前、何者かがあなたに警告していたような、そんな幻聴。
しかし不思議なことに、亡骸のそばに落ちていた地図断片に、新たなルーンが一つだけ刻まれていた。“幻視”の印だった。まるで、それがまだ機能しているように光っていた。
選ぶことは、奪われることだ。
あなたは再び、道を選ばなければならない。
【選択】
- 幻視の印を拾って先に進む → [P9へ]
- 石畳の道に引き返し、導きに従う → [P6へ]