【P3】森の奥へ進む──“時の沈黙と水の声”
あなたは茂みから聞こえた物音を無視し、耳に心地よく届いていた川音の方角へと進むことにした。心のどこかで、森の声ではなく、自然そのものの音を信じた
かったのかもしれない。
地面は次第にぬかるみを帯び、苔の中に骨のような白い根が絡まっていた。森は深く、葉は日に焼けることのない深い緑を保ったまま、頭上をぎっしりと塞いで
いる。温度が急に下がり、皮膚の上で冷気が這う。
やがて、せせらぎの音がはっきりと聞こえた。茂みをかき分けると、澄んだ小川が現れる。白い岩を撫でるように流れる水は、どこか不思議な微光を放ち、まるで空のない世界で、森の心臓が呼吸しているようだった。
川のほとりには古びた石板があり、苔の隙間からかろうじて文様が見える。それは地図の隅に刻まれていたルーン文字と酷似していた。あなたがそれに手を伸ばすと、淡く石が震え、足元の地面に“道”が現れた。
人工のものとは思えぬほど自然に溶け込んだ石畳。どこかの時代、誰かがここを通り続けた痕跡。それはただの通路ではなく、意思を持った「導き」のように
感じられた。
そのとき、森のどこか遠くで、鈍い太鼓のような音が一度だけ響いた。誰が、
何のために?
あなたは小川を越え、石畳の始まりに足を置いた。
地図は新たな光点を示し始めた。そこには、こう記されていた。
「正しき迷い人、石の回廊へ辿れ」
【選択】
- 石畳に沿って進む → [P6へ]
- 道を外れて自由に探索する → [P5へ]