屋上で密会
お昼休み。私は学校の屋上でお弁当を広げている。
隣には相原さん、気を使ってくれたのか屋上への入り方を教えてくれた。
「いい場所だろ?」
私たち以外に生徒はいない。
この時間、他の生徒はみんな教室で食べるか、学食に行くか。
「誰も来ないんだね」
「まぁ、屋上は普段立ち入り禁止だしね」
そんなところへ勝手に入っていいのだろうか。
でも、今日に限っては好都合なのかもしれない。
ただ頻繁に来るのやめておこう。
「東条さん。あのさ、今朝の事なんだけど……」
相原さんが今朝の事を切り出してきた。
あんな事があったのに、何も話さないのはダメだよね。
私は手に持っていたお弁当を膝に置き、相原さんの方を見る。
「あのね、シュウが……。あ、あの黒い猫の事ね。多分あの子が何か知っていると思うの。それに、あの黒い犬。あの犬が他の世界でたくさんいて……」
自分で話していて訳が分からなくなる。
それでも、相原さんは真剣に私の話を聞いてくれている。
「他の世界で犬と戦ったの。この数珠にね、刀が入っていて、それで犬を倒したんだよ」
「そうなんだ……。その数珠見せてもらっても?」
私は手首から数珠を取り、相原さんに手渡した。
「普通の数珠に見えるんだけど……。あ、でも一つだけ中に何か入っているね。なんだろ……」
数珠の一つを指でつかみ空に向けて見上げている。
太陽の光が反射し、数珠は七色に光っていた。
「これって、刀? ずいぶん小さいけどここによく入ったな……。ずいぶん器用な人がいるんだね」
「それ、多分本物の刀なんだよ。別の世界で大きな本物の刀になったの。本当なんだよ?」
相原さんは数珠を私に返し、手に持っていたパンを食べ始める。
「本物の刀か……。あの黒い犬って何だろう? 今まで見たこともないんだけど」
「そう、だよね。私も初めて見た」
しばらく沈黙の時間が流れる。
「なーん」
屋上への入り口の陰から、猫の鳴き声が聞こえた。
声のする方に視線を向けると、そこにはシュウ座っており、こっちを見ている。
ゆっくりと立ち上がり、私たちの方に向かって歩き始めた。
「シュウ。いままでどこに行っていたの?」
シュウは私の隣に座り込み、膝に乗ったお弁当をにらんでいる。
お弁当、邪魔なのかな? 膝の上に乗ったお弁当を手に持つと、私の膝の上に乗り丸まってしまった。
「その猫、昔から東条さんの家にいるよね?」
「うん。ずっと前から飼っているみたい」
私も小さい頃何度かあの家に行ったことがある。
お盆とかお正月とか。少なくとも私の記憶の中にもシュウはいた。
「とりあえず、二人ともお疲れ様」
膝に乗ったシュウが声を上げた。
やっぱり話せるんだ。