(^ω^)【辺境の村に勇者が来てもそんなん知らんわってなる話】のようです
懐かしのブーン系SSです。
辺境の村に住む農民二人の前に、勇者を名乗る男性が現れました。
今回ギャグは少なめになっておりまして、異世界風の世界観をなんとなく楽しんでいただけましたらと思います。
【森】
(^ω^)「ふぅ~野犬狩りも疲れたなぁ」
('A`)「そうさな。ここらで一旦、休憩するべ」
(^ω^)「そんだら、弁当持ってきただが、オメェも食うか?」
('A`)「食うに決まっとーが。ほい、水と交換だ」
(^ω^)「はっはっは。ほれ、握り飯」
('A`)「具は?」
(^ω^)「そんなモン入っとりゃせんよ」
(^ω^)「最近はお上からの徴発も多いで」
('A`)「はぁ~全く。国は取るだけ取ってなぁんもしてくんねぇでかんわ」
(^ω^)「なんでも、近々隣国と戦争するんだって。村長が言っとった」
(^ω^)「だから畑のモンも、育ってねぇのに取っていきやがるんだ」
('A`)「バカバカしい。なんで戦争なんかすんだって話しだ」
(^ω^)「王様は、国が広けりゃ広いほど良いと思っとるんだで」
('A`)「はん。自分で耕しもしないのにか?」
(^ω^)「王様が土いじりなんかする訳無いだ」
二人が愚痴を言い合っていると、ふと、背後からガサガサと草木を揺らす音がした。
('A`)「なんだべ?犬か?猪か?」
(^ω^)「いや、こりゃ獣じゃないな……」
(・∀・)「私だ」
(^ω^)「誰だお前はッ!?」
('A`)「おい達の背後を取るとはッ!中々の手練と見えるッ!!」
(・∀・)「待て。怪しいものではない」
(^ω^)「そんな深くローブを纏っている奴が怪しくないワケないだろ!」
('A`)「野良魔法使いかッ?」
(・∀・)「野良魔法使いってなんだ。違う違う。私は勇者だ」
(^ω^)「『ゆうしゃ』ッ!?なんだそれは!?」
('A`)「有識者の略かッ!?」
(・∀・)「え?勇者をご存じない?」
(^ω^)「知らん!!」
('A`)「田舎モンを馬鹿にするなよ!?」
(・∀・)「えぇ~……まじか……大臣嘘つきやがったな……」
(^ω^)「おい!『ゆうしゃ』って何だ!?」
('A`)「別に知らないだけで、教えてくれれば理解するぞ!?」
(・∀・)「あ、はい。すいません。じゃあ説明しますね」
勇者【ゆう-しゃ】
・王国教会から勇者の神託を受け、かつ王国軍将校より一定数の支持を集めた後に推薦され、国王による認定を受けた者を指す。
・任期は5年(国王により特別認可を得た者については無期)。
・勇者は、災害・事件、野生動物または魔物による被害を受けた者・もしくは受ける可能性のある民衆を、それら被害を軽減させる事を目的とし、王国全域を周り、人民の警護に当たる。
・勇者は、国家防衛に関する有事が発生した際には、その原因である『国家の敵』の排除を最優先の目的として行動する義務を負う。
・勇者は、上記の目的を達成する為に、罪人、野生動物、及び魔物に対する殺傷行為が無条件で認められる。
・勇者は、国王の名の下に発効される、あらゆる税が免除される。
(・∀・)「こういうことだ」
(^ω^)「はぁ~王様が認めたねぇ~」
('A`)「そりゃすごいこった」
(・∀・)「逆になんで知らなかったんですか。これまで、どんな小さな村の人でも知ってましたよ?」
(^ω^)「あ~そりゃあ多分」
('A`)「おいとあんたらじゃ宗教が違うでな」
(・∀・)「は?」
(^ω^)「勇者ってのは王国教会で神託を受けるんだべ?」
('A`)「おい達はそんなモン信じとりゃせんし」
(・∀・)「は?王国の教会だぞ?そんな事ありえんだろ!」
(^ω^)「はぁ~全く……中央の奴らは野蛮だの」
(・∀・)「何をッ?」
(^ω^)「ここは昔っからおい達の部族が暮らしとっただ」
(^ω^)「それを、そっちの王様が、自分の国に入れただけ」
(・∀・)「と、いうと……争いがあったのか!?」
('A`)「別にないけど?」
(・∀・)「無いんかい!!」
('A`)「昔はおい達の部族も貧しかったらしいで、そりゃあでっかい国に入れるなら入るわ」
('A`)「効率のいい農法を教えてくれたし、学校や病院も出来た」
('A`)「こっちの神様も認めてくれとるし」
(^ω^)「ま、その分徴発は苦しいがな!」
(^ω^)('A`)「はっはっは!」
(・∀・)「それは笑い飛ばしていいものなのか?」
('A`)「死ぬまで搾り取られるわけじゃないしな」
(・∀・)「……まぁ、いいか。ここは辺境だし、そういうこともあるか」
(^ω^)「んだんだ」
('A`)「そういや、勇者さんは何でこんな所まで?」
(・∀・)「ああ、近々戦争があると聞いてな……」
(^ω^)「お!噂はホントだったんか」
('A`)「じゃあ、おい達のことも守ってくれるんだな?」
(・∀・)「いや、逃げてきた」
(^ω^)「は?」
('A`)「なんで?」
(・∀・)「さっきも説明しただろ。勇者になったら有事の際には最前線送りなんだよ」
(^ω^)「おう。大変だな」
('A`)「頑張れ」
(・∀・)「馬鹿野郎。死んでたまるか」
(^ω^)「勇者って勇敢な人って意味じゃ無いんか?」
(・∀・)「大勇は闘わずとも言うだろう?」
('A`)「オメェ免税特権受けてたんだろ。行けや」
(・∀・)「嫌だ!逝きたくない!」
(^ω^)「そもそも義務から逃げて大丈夫なんか?」
(・∀・)「見つかったら教会による贖罪刑があるな」
(^ω^)「そんだけ?」
('A`)「やっぱり上級国民に対しては刑が軽いな」
(・∀・)「端的に言うと死刑だ」
(^ω^)「Foo↑」
('A`)「教会さんもやるねぇ!!」
(・∀・)「いや、こっちとしては言葉通り死活問題だ」
(・∀・)「なんで勝手に選ばれて、勝手に殺されなければならないんだ!!」
(^ω^)「しらんがな」
('A`)「そんな宗教信じとるお前に問題がある」
(・∀・)「自己責任論は止めろ!!」
(・∀・)「という訳で匿ってくれ!!」
(^ω^)「どういう訳だ」
(・∀・)「アンタ達、宗教が違うんだろ?」
(・∀・)「なら、村に教会もないし、密告される恐れも少ない!」
(^ω^)「でもなぁ~」
('A`)「こっち側にメリットがないし……」
(・∀・)「なんでもする!なんでもするから!!」
(^ω^)「いや、何かして国にアンタの存在がバレても困るがん?」
('A`)「おい達まで罰を喰らうのは嫌だで?」
(・∀・)「そこをなんとか!この通りだ!」
(^ω^)「こんなところで拝まれてもなぁ~」
('A`)「拝んどる先の神様も違うわけだしなぁ~」
(・∀・)「なら、金だ!俺の財産を全てやる!」
(^ω^)「いやぁ~そこから足が着くかもしれんしなぁ~」
(・∀・)「……もういい!!貴様らに頼んだのが間違いだった!!」
('A`)「そう思うで」
(・∀・)「今に見ていろ!!必ず天罰が下ると思え!!」
(^ω^)「いや、だから神様が違うし……」
('A`)「清々しいまでの捨て台詞だな……」
数か月後……
【畑】
(^ω^)「ふぅ~草むしりも疲れたなぁ」
('A`)「ここらで一旦、休憩するべ」
(^ω^)「そうだ。オメェ新聞って知っとるか?」
('A`)「ん?……ああ、徴税人が売っとる奴だろ。国が作ってるっていう」
(^ω^)「そうそう。昨日、そいつが特別に一部くれたんだよ」
('A`)「はぁ~あいつらにも人の心があったんか」
('A`)「で?それがなんだ?」
(^ω^)「今持ってきてんだよ」
('A`)「なんで?」
(^ω^)「オメェ、確か文字が読めるんだろ?」
('A`)「なるほど。おいに読めと」
(^ω^)「ほれ、握り飯」
('A`)「しょうがねぇなぁ……どれどれ」
('A`)「……あ」
(^ω^)「どうしただ?」
('A`)「この前の勇者、捕まったって書いてある」
(^ω^)「あ~あ……ナマンダブナマンダブ」
('A`)「しかも、匿ってた人も一緒にだってまぁ」
(^ω^)「くわばらくわばら」
('A`)「天罰ってのは怖いねぇ~」
('A`)「あ、戦争が起きそうなのは、丁度おい達の村とは逆の地方だと」
(^ω^)「ちゅーことは、こっちにゃ戦禍は来んちゅーことか?」
('A`)「ん~まぁ流石に来んとは思うが」
(^ω^)「よかったよかった。田畑が荒らされんで」
('A`)「ホントにな」