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51 座敷わらしと孤児院の妖精 5

「屋敷妖精風情がどれだけわたくしを待たせれば気がすむのかしら」


 一瞬、部屋を間違えたかと思ったがそうではなかった。


 目の前には上半身は金色の胸当てだけ、首元にはサファイヤの宝玉がメインのとても豪奢な首飾り、下半身は薄いレースが何重にも重ね合わさっている前面と後ろ面で長さが違うスカートを履き、頭から白いベールを被って顔を隠している怪しい女がベッドに腰かけている。


「このわたくしが、お前の呼び出しにわざわざ応じたのよ、人間との共存とやらを早く話しなさいな」


 まさかその日に、孤児院の何かが静水館まで訪ねてくるとはこれっぽちも思いもしなかった。


 トウヤは隣であたふたしている。私も女が何者かわからずにいた。気配からすると大妖精クラスではあるが私の話を聞きにきたらしいので、やはり悪い類ではないらしい。


 急いで部屋へ入り鍵をかけた。


「わたくしはエウリュアレ、お前のようなちっぽけな妖精の進言に耳を傾けてあげるのだから光栄に思いなさい」


「え? エウ、エウリュ何でしょう?」

「お前、わたくしを怒らせたいの。だったら見せてあげるわ」


 名前に心当たりがなかったので聞き直したことに腹を立てたのか女は被っていたベールをとって姿を見せた。


「メデューサ!? 様?」


 全身を現した女はそれはそれは艶めかし美貌の持ち主だが、髪が無数の青い蛇でできており、人間が見れば卒倒すること間違いない。


 ゲームや映画なんかでトウヤは免疫があったからか倒れはしいないが金縛りにあったように動けずにいた。


「それは妹よ!! 腹が立つことにたいていそう言われるわ。わたくしはエウリュアレよ! 覚えなさいエウリュアレ!!」


 よく神話や魔物として存在するメデューサ様の姉らしい。妖精より神に近い存在だ。ここまで大物が隠れていたとは驚いた。


「わたくしを召還した娘が日に日に衰えているの。お前がどうにかしなさいな」

「娘はフェルミという子どもでしょうか。いかなる方法で?」


「それをわたくしが聞きに来たのでしょう。ここへ呼んだのはお前だわ、愚か者」

「申し訳ございません。ではまず娘に会って現状の把握を致します。さすれば良い解決法も見つかりましょう」


「それなら、館で待っているわ。今すぐいらっしゃい」


 そう言うとエウリュアレ様はふわっと消えてしまった。


 そのとたん私はその場にへたり込んだ。十也も同じようで2人で床に手をつき顔を見合わせていた。


「びっくりしたー。何あの頭、あんなのゲームでしか見たことないよ」

「言葉遣いには気をつけろ。機嫌を損ねたら一巻の終わりだぞ」

「お楽がそれ言う? だけどさっきのお楽は別人みたいだったね」


「妖精の世界は上下関係が厳しいんだ。エウリュアレ様が相手では私なんぞ消滅させれらてしまう」


「そう言えばネコちゃんは? え、まさか」

「それは大丈夫だ。こちらから手出しさえしなければ、エウリュアレ様クラスは些末な存在には見向きもしないと思う」

「だったらいいけど心配だな」


「それより孤児院に今すぐ行ってくる。十也はここでネコを待っていてくれ」

「僕がついて行ってもまた金縛りにあうだけだと思うけど、一人で大丈夫なの」

「ああ、思った通りあの方は人間との共存を望んでいるようだ。だったら滅多なことにはならないだろう」


 それからすぐにトウヤを部屋に残し孤児院へと急いだ。その途中ネコに会ったのでエウリュアレ様のことを伝え、トウヤが心配しているので部屋へ帰るように言っておいた。

 ネコは先ほど部屋に入る前にエウリュアレ様の気配を感じたので急いでその場から離れたらしい。


 孤児院に着くと院長がフェルミの部屋へ案内してくれた。事前にフェルミが私が訪ねて来るから部屋へ通して欲しいと告げていたらしい。


 今はエウリュアレ様がフェルミと一緒に部屋にいるのがわかった。ネコのように背中がゾワゾワしてしまう。


「座敷わらし、ただいま参りました」

「やっと来たのね。待っていたわ」


 エウリュアレ様が腰かけているベットの横に同じように橙色の長髪の娘が青白い顔をして座っていた。


「呼び出してごめんなさい。フェルミと言います。エウのこと本当に力になってくれるんですか」

「まずは一から顛末をお聞かせください。その上で対策を練りましょう」


 娘はこくんと頷きこれまでの経緯を話し始めた。


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