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22 座敷わらし、この世界を知る

 ここは『インディアム国』と言う王国の中の『リーニアの町』。


 霊峰テンゴウ山の魔物の氾濫を抑えるため冒険者の町として機能している。

 この町で働く人間の食料確保のために畑を広げ、採取されたもので魔道具なども製作し、素材も商品として、商売を発展させた町らしい。


 担当眼鏡も言っていたが、この辺りには少しずつ間隔をあけて似たような町がいくつか存在するそうだ。


「この世界には魔法が存在するのか?」


「えーと、当たり前すぎて、その質問の意図がよくわからないけど。人間はみんな魔力を持って産まれるって言われているよね。魔力量が多い者だけが魔法使いになれるんだけど……周りにはひとりもいなかったのかい?」

「私はまだ、誰かが魔法を使っているところを見たことがない」

「……じゃあ、知らなくてもしかたないか」


 少し驚いた風であったが、善良青年は私の言葉を否定するようなことはなかった。


 ギルドの登録だが、手をかざすことでその人の魔力を感知して登録しているらしい。一人一人魔力が異なるので個人の特定ができるんだとか。

 ということは、十也も私も魔力が感知されたことになる。私の場合は霊力があるのでそれかもしれないが、十也はもしかすると魔法が使えるかもしれない。検証する必要がありそうだ。


 人種は人間、エルフ、ドワーフ、獣人と多種多様だが、それぞれ生活圏を分けており、この辺ではあまり見かけることはないらしい。

 人間以外の人種に会いたければ王都の様な大きな都市に行くか、それぞれの村へ訪ねていくしかないが、友好的ではない種族も多いので、危ないから接触するのはやめた方がいいと言われた。


「三頭身はどんな種族だ」

「さんとうしん?」

「青獅子荘の男子のことだ」

「ああ、あの人は人間だよ。あの体形の人たちは普通の人間同士から産まれるからね。昔から神の祝福を受けてるんだって言われていて、病気にならないから普通の人より長生きらしいよ」

「そんな人間もいるんだな」


 それを聞いた十也も「普通の人なんだ」と小さくつぶやく。


 金銭は銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、白金貨と十枚で上の硬貨と同じ価値になる、白金貨の上にも硬貨はあるらしいが、一般の平民は一生手にする機会がないそうだ。


「冒険者は何人かでパーティを組んで依頼をこなしながらランクを上げていくのが普通かな。みんな上を目指しているけどBランク以上になるとその人数も極端に少ないんだ。五十歳前後くらいまで続ける人が多いけど、ほとんどがCランク止まりで引退している」


「お主はすでにCランクなのだろう。すご腕なのではないのか」

「うーん、それはどうだろう。Cランクまでは案外簡単になれて、Bランクまでが遠いって感じかな」


 自分では謙遜しているが、善良青年は二十六歳ですでにCランクなのだから相当腕が立つということではないだろうか。


「冒険者の依頼で一番多いのはやはり魔物討伐だ。採取や仕事の手伝いなんかもあるけどね」

「その魔物の中では何が一番最強なんだ」

「竜種だろうね。俺は飛竜しか見たことがないけど古代竜っていうのがいるそうだから、それだと思う」


 飛竜や古代竜とはいわゆるドラゴンのことだろう。好奇心をくすぐる名前だ。ちょっと見てみたい。


「それなら武器はどうやって決めたらいい。自分の好きな武器でいいのか」

「自分の適性をセンターで調べてもらえるよ。適性があると能力の伸びが違うから、それを武器として冒険者をやっている人が多いと思う」

「武器を決めたとして、それはどこで買えばいいのだ」

「武器や防具は中古屋で買う方が安いけど、目利きが出来なければ騙されて高値で買わされることもあるから店選びは注意が必要だ。良ければ俺が懇意にしている武器屋を紹介してあげるよ」

「それは願ったりだ。よろしく頼む」


 薬は陶器の瓶入りで液体の万能薬があるが、説明を聞いた限りでは元の世界の健康ドリンクに似ている。成分によって値段が変わるらしい。傷薬は軟膏があり、十也の頬を見て、あとで塗っておくといいと善良青年が手持ちをひとつくれた。これは小さな木の皮製の箱に、緑色の練り物が詰まっている。

 この世界にはポーションとか、掛けたらすぐ傷が治るような便利な薬はないようだ。

 高度な治療は魔法使いの中でそれを専門にしている治療師が治療院を開業してる。金さえあれば誰でも診てくれるが、治すにも限度があって、失われた四肢などを再生させる魔法はないらしい。


 十也の頬の傷のことを聞かれた時に、私を守ろうとして冒険者に殴られたところだけ、掻い摘んで話をしてみる。


「冒険者同士の争いは表立ってはないけど、それでも町の外では明らかに人の武器で殺されている者もいるんだ。誰もが善人という訳ではないから気をつけた方がいいよ」と善良青年が言った。


 純真無垢な人間かと思ったがCランクになるくらいだ、世の中の後ろ暗い部分も十分把握している。

 盗賊や人攫いが街道沿いに出没するので、その規模によっては冒険者に討伐の依頼があって、場合によっては殺し合いにもなるのでつらいと嘆いていた。

 それでも悪人を取り除かなければ商人や町の人間が危険に晒されてしまうので仕事として割り切って受けているようだ。


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