130 座敷わらし、リーニアの町へ帰る
「寂しくなりますね。皆さん、是非またいらしてください。お待ちしています」
じぃ…………。
「オラク君?」
じぃ…………。
ぱしっ
「うっ」
十也に久しぶりに頭をはたかれた。叩いた十也も自分の手をさすっている。だったら叩かなきゃいいのに。
「お楽、何やってんのさ。失礼すぎだよ」
「いや、こうやって見ると、確かに魅力的な女性だと思ってな」
「まあ、光栄ですわ。でも、突然どうしてしまわれたんですか」
「いや、何でもない。――またメテヴァスの町に寄ることがあったらよろしく頼む、では」
「はい。道中お気をつけくださいませ」
そうして私たち五人とネコはリーニアの町に向けて出発した。
復路も往路とほぼ一緒だ野営地まで歩き三日目に見慣れた場所までたどり着いた。
「まだ時間も早いし何か狩ってから町に入るか?」
「そうだね……」
ラトレルさんはフェルミの心配をしているようだ。狼が出るような場所まで行くつもりはないのだが、万が一と言うこともある。
「いざとなったらわたくしがどうにかするから大丈夫よ。いちいち気にしていたらフェルミは冒険者でやっていけなくなってしまうわ」
「あたしも魔法の練習したいです」
「じゃあエウちゃんに任せるよ。だけどその姿で大丈夫かい」
「ええ」
エウリュアレ様はリーニアの町が近くなったため再び幼児の姿に戻っていた。
そして相変わらずラトレルさんが運んでいる。
少女姿を知ってしまったので、抱き上げることを最初は戸惑っていたラトレルさんも、三歳児の姿の時はあくまでも幼児として扱うことにしたらしい。
ちなみに私の装備も元の地味なものに戻してある。
羊兎の群れを見かけた場所で狩りを始める。今日は小動物はいても、なかなか獲物に巡り合えなかったので、大物は諦めてフェルミと十也の修行に切り替えたのだ。
もちろん、十也はエウリュアレ様から、恐ろしい加護を外してもらっている。
加護有のまま練習で撃ち落としたとして、もし他の冒険者がそれを拾ってしまい、センターに持ち込まれでもしたら大惨事になってしまう。
威力がすごくてもそのままにしておくわけにはいかなかった。
フェルミは感情がなかった時の感覚が残っていたのか確実に腕を上げている。風魔法を使い魔鳩を撃ち落とししていく。
命中率は六割というところだが以前のようにすべてを吹き飛ばしてしまうことはない。
「僕も頑張らなくちゃ」
ラトレルさんと話していたのだが、十也の成長が止まっているのは現在使用しているスリングショットの限界だからではないかと思う。
もっと殺生能力が高いものに変えれば、もう少し大物の魔物も狙えるのではないだろうか。
町に戻ったら髭もじゃに相談してみよう。それに十也の防具もそろそろちゃんとしたものを揃えたい。
アーサーと合流するまでに十也をDランクにすることも考えると早急に検討する必要があった。
二人が狩った魔鳩や山鼠を持って、私たちはリーニアの町の西門までやって来た。
町へ入る直前、突然十也が足を止める。視線は西門を超えた先に向かっていた。
ひとり動かずそこに立ち止まったままだ。ラトレルさんたちも不思議に思ったのか十也の元に戻ってくる。
「どうした」
「あれ、僕の学校の制服だ」




