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110 座敷わらし、アーサーの噂を聞く

 センターを出てから情報収集のため歩き回っているうちに、私たちはいつの間にか屋台が密集している場所まで歩いてきていた。


 そこで情報を得るため焼き鳥を買う。

 ぶつ切りにした魔鳩(マバト)を焼いただけのものだが、魔物はもともと素材の味が強いので、鳥類は味付けをしていなくてもそれなりに上手い。

 しかし肉食獣は獣臭いものが多いので串焼き肉を買う時は、何の肉かをはじめに確認することをおすすめする。



「アーサーって奴を知っているか」


 食べながら店主に尋ねてみた。


 店主は私とフェルミとエウリュアレ様をひとりづつじっくりと見てから、なぜか可哀そうなものを見る目つきになった。


「お嬢ちゃんたち。あいつだけは、やめておきな」


「は?」


「俺はあそこまでの女好きを見たことがねえ。被害がすくないうちに忘れちまいな」


「何を言っているのかわからないんだが」

「あたしたち、その人のこと何とも想ってないよ」

「仕事がらみで会いたいんだけど、どこにいるか知りませんかね」


 ラトレルさんがそう言うと、店主の顔は渋面から安心したような顔つきに変化した。


「なんだそうだったのかい。俺はてっきりあいつに声をかけられてその気になっちまったのかと思ってよう。アーサーなら定期的に町に帰ってくるから、もうしばらくすれば山から下りてくるんじゃねえかな」


「やっぱり山の中か」

「待つしかないようだね」


 私とラトレルさんが残念がっていると


「見た目はどんな感じですか。特徴とかあれば教えてください」


 十也が自分から店主に話しかけた。


 この世界に来た頃は人見知りが激しくて、知らない人のことを怖がっていたのに。


「そこそこ色男でな。鮮やかな赤髪だ。横は短いが後ろ髪だけ長くしてひとまとめにしている。装備も髪の色に合わせて赤系統で統一しているな。全身真っ赤なのはあいつだけだと思うから会えばすぐにわかるはずだ」


「ありがとうございます。助かります」


「まあ、そっちのお嬢ちゃんたちなら、あいつの方から話しかけてくるんじゃねえかな。でも気をつけろよ」


 この店主の話だとどれだけ女好きなんだと思うが、噂話なんて尾ひれがついていることも多い。


 どっちにしろ会えるまでは、この町で依頼を受けて待つだけだ。


 ロックチョウの卵も取りに行きたいが行き違いになると困るのでアーサーと話ができてから考えようと思う。

 それまでは通常通り日帰りで行ける場所で狩りをすることにした。


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