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彼女が視ているもの

「あれ?乙川さん、それ……」


 次の日……フラワーフェスティバル当日。  

 土曜日なので学校は休みで、生徒は朝早くからお祭りのボランティアとして会場設営などを手伝っている。 

 僕が、コンクール会場で生け花を飾るための机を出していると、乙川さんが見たことの無い生け花を抱えて会場へ入ってきた。


 僕に気付いた乙川さんは、生け花を大事そうに抱えてこっちに歩いてきた。


「おはよう、堀部君。これね、昨日家に帰った後作り直したの。ほら、ここの花とかはね、そのまま使ってるんだよ」


 そう言われてみれば、同じ花が使われているところが何ヵ所もある。なのに、前までとは全然違って見えた。


ーーー周りの花が変わるだけで、こうも違って見えるのか。


 僕は、改めて乙川彩葉の凄さを知ったのだった。


「審査は午前中に行われるから、急いで間に合わせたんだ」


 そう言った乙川さんの顔は、今までに見たことがないほどに晴れやかだった。


「そっか。花はあっちに持っていってね」

「分かった。ありがとう!」


 乙川さんは、一度満面の笑みを浮かべた後、作品の出品に行ってしまった。


「………三栗さんの、彼女を思う行動が………乙川さんを変えた」


 突然背後から聞こえた声に驚いて振り返ると、そこには澪がいた。


「……乙川さん……きっと、今回も最優秀賞だ」

「……どうして?」

「……だって、乙川さんは自由に作品を作れた。…今までの作品と………私には全然違って見える」


 そう言いながら、澪は乙川さんを眺める。


 そして、そんな澪を何気なく見ていた僕を、得体の知れない違和感が襲った。


ーーー何だろう、何かが……違う。


 文字に置き換えられるようなモノじゃない。直感……とでも言うべきだろうか。彼女……澪は、乙川さんを見ているようで、見ていない。……乙川さんを通り越して、もっと別の………僕たちが見ていないような、「何か」を見ている。なぜか分からないけど、そんな気がして、僕はーーー





「澪、君は……何を()てるんだ?」


 どこか儚げな彼女に、そう問う。




 

澪の秘密が、あと一歩のところで語られず……!

次回、澪が視ているものが明らかに!

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