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婚約破棄しなかった結果、王子が不幸になる~私の愛を受け止めて 編~

「クリスタル・オルブライト公爵令嬢、私が真に愛する者を見つけたため婚約を破棄する!」

「ちょっと待ってくださいませ、イライジャ・アップルガース第二王子様。それって、もしかしてシンシア・バグウェル男爵令嬢のことですの?」

「そうだ!」

「.........」

「なんで、無言になる!?」

「失礼ながら、イライジャ・アップルガース第二王子様。男爵令嬢の身分では、王族の正式な妃にはなれませんのよ」

「何だと!? 男爵令嬢の身分を馬鹿にするのか!!!」

「馬鹿にしているのではありません。常識です」

「俺は知らなかったぞ!」


こんな馬鹿なやり取りをしておりますが、場所は学園の食堂。

人が集まる昼食の時間帯。

静まりかえった空間に、無言になる人続出。

頭が痛い、この婚約者様。

まさかの常識知らずとは。

成績『だけ』はよかったので、まさか特大・超・基本の身分制度を理解されていないとは。

このわたくしにとっては、本当に予想外ですわ。

あら、シンシア様はあまりのことで大口開けて固まっておられますわ。


ところ変わって、王様の御前。

王様は、イライジャ・アップルガース第二王子様が身分制度を理解されていないことにビックリしすぎて言葉を紡げずにいますわ。

そして、周りの者たちも。

「あー、イライジャ・アップルガース第二王子。もとい、我が息子よ。クリスタル・オルブライト公爵令嬢と婚約破棄しても、男爵令嬢の身分の娘だと婚約者にできないぞ」

「何ですと!?」

「当たり前ですわ。イライジャ・アップルガース第二王子様、歴史ある身分制度での昔からの決まり事ですもの」

「そうだ」

「ですので。イライジャ・アップルガース第二王子様、私と結婚されるのでしたら、側室でも愛妾でも認めましてよ」

「よいのか?クリスタル・オルブライト公爵令嬢。馬鹿息子のために、そこまで」

「もちろんですわ、王様。私は第二王子様の正妃になるための教育を受けてきましたもの。公爵家の娘として、国に仕えるのは当然ですわ」

「そうか、さすが私が認めた男の娘だ」

「なら、父上。私が真に愛するシンシアと結婚してもよいのですね!」

この場の雰囲気をぶち壊したイライジャ・アップルガース第二王子様。

雰囲気をぶち壊されて、キレている王様を父が羽交いじめにしていますわ。

「条件がございますわ、王様」

「うむ。申してみよ。超絶馬鹿息子イライジャのわがままを通すのだ。それぐらいは、この国の名にかけて叶えて見せよう」

「ありがとうございます。王様。私の条件とは、イライジャ・アップルガース第二王子様との結婚生活を『白い結婚』とすることですわ」

「ほぅ」

感心したようにつぶやき、続きを足す王様。

「婚約期間中に堂々と不貞をした挙げ句、それを悪いことだと気付かずに、公爵令嬢のわたくしを馬鹿にし蔑ろにし見下したからですわ。そのような互いを尊重できない関係の男の子を身ごもるなんて虫ずが走ります」

「確かに。婚約期間中に堂々と他の娘と関係することはあってはならないことだ。するなら、結婚後まで隠しておきその後に側室か愛妾を迎えるのが、常識」

この国では、婚約期間中に他の女の影をチラつかせてはいけません。

家同士のパワーバランスの関係で。

するなら、正式な手順で婚約を破棄してからその女性と婚約するのが一般常識ですわ。

まあ、庶民と貴族社会では違いますが。

「そうだ、クリスタル・オルブライト公爵令嬢。もし、超絶馬鹿息子イライジャが白い結婚の約束を破ろうとしたならどうなるのだ?」

「父上、私が約束一つ守れない男とでも!」

「何を言っておる、超絶馬鹿息子イライジャ?それが、今の状態のおぬしであろう。クリスタル・オルブライト公爵令嬢、申してみよ」

「はい、王様。私の『愛(物理)』を受け止めてもらいますわ」

この時のことを父はこう言いましたわ。

空気の読めないイライジャ・アップルガース第二王子様以外を威圧した輝くような笑顔を浮かべていたと。(イライジャ・アップルガース第二王子様はもちろん、威圧に気付かなかった)

世継ぎのことですか?

世継ぎは、シンシア・バグウェル様が生むことになりました。

と言いますか、世継ぎを生まなければいけない義務が生じました。

愛妾ではなく、側室にする条件というものです。

恋に浮かれているシンシア様は簡単に了承しました。

これを見たわたくしは、シンシア様の親であるバグウェル男爵夫妻がちょっと可愛そうだっと思いましたわ。

聞いた話では、このことを聞いたパグウェル男爵夫人がショックのあまり倒れたと聞きましたもの。

父と母に相談して、パグウェル男爵夫人にお見舞いの品を贈らなければ。

世継ぎの件とはいうと、顔を真っ青にした父と王様が超特大全力で私の希望通りしたようですわ。


結婚後は、シンシア様とわたくしは良好な関係を築きました。

シンシア様はわたくしが煩わしいと心底思っている部分を側室として引き受けてくれましたわ。

これで、公務を思いっきり充実できますわ。

アレとかアレとかしたいのですのよね。

まず、孤児の生活環境を向上させたいのですのよね。

シンシア様は、かつて庶民の底辺で生活していたお方。

よい知恵を拝借できるかもしれませんわ。


シンシア様の妊娠が判明した後、イライジャ・アップルガース第二王子様はわたくしに妃としての役目を果たせと夜に寝室で迫ってきましたの。

まあ、自分の欲望に素直な人。

馬鹿ですの。制約を忘れるなんて。

もちろん、わたくしはそんな都合のいい女なんてなりませんわ。

さあ、私の愛(物理)を受け止めてもらいませんと。

私は、イライジャ・アップルガース第二王子様に殴る蹴る投げ飛ばすという愛(物理)を受け止めてもらいました。

あぁ、この快感。病み付きになりそうですわ。

この時、変な声がイライジャ・アップルガース第二王子様から聞こえてきましたの。

「ぐふぅっ」「ゴホッ」「ブヘッ」「ヒデ●●」とか。

謎ですわね。

この時、見ていた侍女は『あの目は、獲物を殺る目だった』と顔を真っ青にして怯えてしまったという。


この後も、シンシア様が妊娠する度にイライジャ・アップルガース第二王子様は私の寝室まで来て迫ってきましたの。

その度に、わたくしはイライジャ・アップルガース第二王子様に愛(物理)を受け止めてもらいました。

シンシア様は七度目の妊娠。

『もう、七回も妊娠出産したんだから十分だよ』とシンシア様はおっしゃていましいたわね。

そろそろ、愛(物理)も第二段階。愛(調教)に移行したいですわね。

シンシア様に相談して、愛(調教)に変えるべきですね。

ふふっ、楽しみ。

わたくしは、これからの愛(調教)に思いを馳せ笑みを浮かべるのでした。

●クリスタル・オルブライト・・・武闘派貴族令嬢。護身術にはまってしまって、必要以上の戦闘能力を身につける。これを知っている彼女の父と王様は、自分たちにその能力が向かってこないようにするのに必死。


●シンシア・バグウェル・・・日本からの転生者。イライジャ・アップルガースとの結婚前に、両親に泣きつかれて自分の行動がいかにまずかったか気付き、クリスタルに謝罪する。

クリスタル自身は全く気にしていなかったので、親友という関係になった。

七度目の妊娠後、もろもろの事情によりクリスタルに泣きついた。


●イライジャ・アップルガース・・・常識欠如の王子様。シンシアの七度目の妊娠後、クリスタルに愛(調教)を受けるようになった。原因は、彼の超強力すぎる性欲を去勢させるため。去勢完了後は、クリスタルに恐怖心を植え付けられた。




ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

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