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お兄ちゃん誕生

色々と前の部分も変更しました。

ご了承下さい。

「とは言ったものの、この世界では全てが一発勝負……二週目は存在せずだよな」


 ギャルゲーの世界では当然複数周回が基本的な流れになっているし、通常同時にいったら好感度が足りずルートに入れない。


「だが逆に考えるんだ、時間制限がないのだから地道に攻略していけということだと」


 ゲームでは時間が限られている、選択肢が限られている、たが数多くのイベントが盛りだくさんというものが多い。


 その枷がないというのは強み、だがイベントは自分で。そういうことだろう。


「とりあえずはルートに入る前にイベント進行が優先だな」


 無理にルートに入ろうとしても入れないのがギャルゲーの世界。そもそも攻略対象多すぎて攻略しないキャラ事の必須イベントも多いし。


 というわけで意を決してギルドに入るとどういうわけか物凄い見られる。


 なんだろうか、別に何も珍しい見た目はしてないはずなのにと思ったがどうやら杞憂であったよう。


 ジンの姿を確認した中の強面の方々はすぐに元の行動に戻っていった。たぶん毎回チェックしているのだろうというくらいのスムーズな動きであった。


 例えるなら授業開始直前の教室に、先生方が入る扉から勢いよく生徒が入ってきた感じだろうか。


 あれ狙ってなくてもなんか気恥ずかしいんだよな。


 幸薄リリーからも聞いた通りこちらのギルドで登録さえしておけばこれからの生活はそこそこなんとかなるだろう、モンスター狩りでもおうけい、素材採集でレア物ゲットの一攫千金狙いもおうけいの夢の世界へ。


 なんだかそれっぽい受付に向かい、それっぽい感じの人に話しかける事にした。


「すいません、ギルドに冒険者登録したいのですが」


「始めてのかたですね? こちらに書かれている必要事項を確認し記載をお願いします。」


 それっぽい感じの人は受付で合っていたもよう。見た感じ某ハンティングゲームの受付嬢みたいな感じだったので合ってて良かった。


 あの服装、生で見ると可愛いなと思わないでもない。ゲームでも充分に可愛いが生はやっぱり三割増しよ。


 受付のお姉さんにもらった資料を確認すると色々と記載事項があった。


 よくある名前の確認から目指す職業とかそのあたりまで。


 なんだろう、目指す職業を書くってことはそこに向けて何かしてくれるのだろうか。サービス行き届いてるな本物は。


 いやでもこれあれか、ネトゲとかだと最初の職業決めのところか? 職業決めたらその適性値があがるとかそういう。


 いいね、胸が高鳴るよそういうの。


 しかしよく考えたら少し変な事も確か。


 普通職業選べるのが書いてあったりするんじゃなかろうか。


 幸薄リリーも適性を教えてくれるとかうんたら言っていたし。


 こっちの世界の知識が結構あるといっても所詮はにわか知識、ほぼないに等しい。ぶっちゃけ記憶喪失みたいな扱いでお願いしたいところだったよ神様。


 さてここでどうしたものか。


 前のネトゲと同じ職業、あの大量の中から選ぶか……?


 だがせっかくの新しい環境。


 無茶してみたい感じ満載の心意気。


 さらさらっと記載。漏れがないか二重チェックしてから受付のお姉さんにパス。


「はい、全て記入されておりますね。確かにお預かり致します。確認して参りますのでこちらで少々お待ちください」


「ありがとうございます。よろしく頼みます」


 うむ、なんか普通に何も突っ込まれなかった寂しい。


 お兄ちゃんと書かせてもらったけどまじで確認してこないとわからないのだろうか。


 普通に何かあるだろ。お兄ちゃん……? どういう職業でしょうか? 的なさ。


 そこで俺が何がどうして性癖を語ってからの訝しげな視線をもらって混乱させたい。


「つーかまじで良いのか」


 実際に通ったら何に適性があるのかと小一時間問い詰めたい。


 可愛い受付のお姉さんなら小一時間問い詰められたい。


 妹に連絡いってお兄ちゃんの妹は私だけなんだからねとか凄い言われてみたいどうしよう高まってきた。


 たぶんそんな反応はしてこないだろうけど夢みちゃうだろ。


「ジンさんですね、こちらへどうぞ」


 そんなことを考えているとお呼びの声が。


 先ほどの受付のお姉さんではなく、なんかいい感じにイケメン男が来た。パッと見三十代前半で髪の毛は金髪、身長は百八十くらいだろうか。


 イケメンは羨ましい。この西洋風な世界観に日本人顔は受けが悪いと思われる。


 案内されるがまま奥の区切られたスペースに行く。


 イケメンと対面で座って改まれると軽く劣等感を感じるのはきっと俺だけではない。


「こちらの記載事項なんですが……」


「何か問題でもありましたか?」


 イケメンが困った顔で話しかけてくるから食い気味に確認。顔で負けてるなら気持ちは負けちゃだめだろスタイルで。


「このお兄ちゃんという職業ですが、具体的にどのような職業でしょうか? なにぶん初めて見るものですので」


 お前じゃないんだよ受付のお姉さんで頼むよ。


 でも初めての職業を目の当たりにして自分達の落ち度かもと思えるこの青年好感もてる。


「妹という存在をご存知でしょうか?」


「ええ、はい」


「私はその全ての妹に対して常に兄という存在でいたいと考えております。実際に妹がおりますが、その妹に対して無償の愛を捧げるとともにその他の妹にも誠意を込めた兄でいたいと考えております」


「……?」


「その他の妹、こちらは私がそうと決めた人物たちのことです。例え年上だろうとなんだろうと妹は妹です。妹という存在はそれだけ言葉では語り尽くせないものです」


「……」


「もし可能であるのならば年下が好ましくはありますが、そんなことは関係ありません。私が兄でいたいとそう思えるように、また相手も妹でいたいと思えるそんな関係を望んでおります」


「……?」


「よってお兄ちゃんという職業はその妹たちに絶大な信頼を得られた称号のようなものです。姉だろうと妹にする。それがお兄ちゃんという職業です」


「……」


 終始無言だが大丈夫だろうかこのイケメン。


 いや俺の頭が大丈夫かと問われればそれまでだがこの反応の薄さは逆に押しきれる兆し。


 もう少し畳み掛けてみるかと思ったところで相手から。


「わかりました。受諾いたします」


 するとさっきの資料とは別の資料を取り出し、何やら呟き始めた。


 やっといてなんだけどあれで良いのかギルド。


 かなりの無茶だがあれで通るならなんでも通るような気がするがどんな職業が今まであったんだよ。


 ぶっ飛んだやつでも許されるぞこれ。


「それではジンさん、あなたの職業は今日からお兄ちゃんです」


 言うと同時、呟き続けられていた資料から強めの光がこちらに向かってくる。きっと職業決定しましたとかそういうのだろう。


 全身が光に包まれるととても温かく、体の内側から何かしらのパワーがみなぎってくるような感覚がした。


 

もしよろしければ感想欄にでも出して欲しい職業などありましたらお願いします。概念でもいいです。曲解しながらねじ曲げていきます。

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