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竹中半兵衛

作者: 福星由雨

 私は、中学の頃から竹中半兵衛と言う武将が大好きだった。


 短命で、仰々しい兜を身につけ洗浄を疾駆する勇猛果敢な姿はないけれど、怜悧冷徹に策士をこなす伝記の数々に、僕の心は自然に彼へと向かっていた。


 例えば、稲葉山城の乗っ取り事件。


 まさか二十人にも足らない兵力で、十万の平でも落とせぬ見城とうたわれた稲葉山城を、華麗な策で場内を翻弄し、斎藤龍興の首に迫るあのわくわく感。あの時から、半兵衛の策士としての才能は絢爛豪華な桜のように花咲いており、天下に号令する武将の誕生だったのだろう。


 そして織田信長に国半分と交換する交渉を蹴って、その乗っ取った稲葉山城を呆気なく、斎藤龍興に返上するなんて、器のデカさ。


 稲葉山城乗っ取は彼の活躍の中で最もスケールが大きいイベントだが、それ以外の活躍も、かれは才能あふれる策士をしている。


 姉川の戦いは、彼なしに戦い抜くのは困難だっただろう。いや、不可能と言っても過言にならない。事実、木下秀吉は織田信長を逃がす為に囮を志願したが、あれは普通に合戦をしたんじゃ到底生き抜けない。


 だがその分、中国攻めは悲しかった。


 半兵衛の病気の悪化。


 だが彼は武士として戦場で死ぬと、秀吉の忠告も聞かずに戦場へ赴き、武士を貫いた。


 あっぱれ。


 あっ晴れ! 


 天晴れ! 半兵衛!


 あれ程の、策を思いつくのは、どう考えても無理だ。


 彼には未来でも見えていたのだろうか。


 いや、彼は未来を創りだすほどの巧妙な策を、持っていたのだ。


 一度でいいから、彼と会話してみたい。


 だが私は、どう足掻こうが、平成時代人であり、戦国時代をかける半兵衛と会話したり、彼に自分がどれだけあなたを尊敬しているかを表現したりできないのだ。


 だが、諦めきれないのが半兵衛を尊敬する私だ。


 私は、もともと得意科目で、勉強に手を抜かなければそこそこ良い大学に進学できるだろう文係の道を捨て、苦手な理系の勉強に努めた。


 無知の淡い妄想かもしれないが、タイムマシーンを作り出したかったのだ。


 そして勉学の成果は咲いて、私は理系の勉強をした大学を卒業し、研究職に着いた。


 時空の研究。


 そしてそれから30年。


 ついに、完成した。


 ただし、タイムスリップするのは私の脳の記憶情報である。


 つまり、対象者の記憶情報を別の時代に送り、その時代人の脳に侵入する。後は簡単だ。乗っ取った時代人の自分の記憶を与え、赴くままに行動する。そして、時間が過ぎたら記憶情報を回収し、現代に返す。


「さぁ試そう。私の記憶情報は戦国時代に行き、半兵衛と会話するんだ」


 精々、過去を変える事だけはしないようにせねばと、心の中で誓約しながら。



































 べちゃ、べちゃちゃちゃちゃ



 黄金色の液体が天から降ってきた。


「おっと、半兵衛、すまんなションベンがかかってしまったわい」


 斎藤龍興がなんの罪悪も無くそう言って、笑いながら去って行った。


 私は、とんでもないミスをしたようだ。


 ああ、どうする。


「間違えて、半兵衛の体を乗っ取ってしまった……」


 斎藤龍興にションベンをかけられた復讐心から、半兵衛は稲葉山城の乗っ取りを決意する。


 過去を変える事は、出来ない。


 半兵衛はあれ程の策を思いつく半兵衛は、私だったのだ!

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